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はじめに
おばんです!!
前回は運動麻痺回復のステージ理論における
”2nd stage recovery”
この時期に皮質脊髄路以外では
どんな神経回路が関与してくるのかというところをまとめていきました!!
気になる方はこちらからどうぞ!
今回は、その2nd stage recoveryで重要な
- 補足運動野
- 運動前野
この2つを賦活する為には
介入中にどんなことを意識すればいいのか!というところを話していこうと思います!!
最後まで読んでいただけたら嬉しいです!
// /運動前野・補足運動野を賦活させる介入方法とは?

それではまとめていきましょう!!
…の前に運動前野と補足運動野の機能について簡単におさらいしていきましょう!
これらの機能の中に賦活させるためのヒントにもなると思います!
運動前野と補足運動野の機能について簡単におさらい!
1次運動野は運動を発現させたり、制御することはできますが、
発現させるタイミングや何をする為に制御をすればいいのかが分からなければ機能しません…
運動に意味をもたせ,運動を行う目的を決めるための領域が
運動前野や補足運動野をはじめとする高次運動野になります!
運動前野と補足運動野にはどんな機能があるんでしょうか?
運動前野

運動前野は背側・腹側に分けることが可能でそれぞれ機能が異なります!
ですが、今回はおさらいなのでその点については飛ばします!!
運動前野の簡単な機能についてはこちら!
- 運動と動作の誘導
- 感覚情報と動作の連合
- 動作のプラン形成
運動前野で注目すべき点としては
様々な感覚情報において”視覚”が最も比重を占めるということ!
視覚情報が伝達されない
=処理する情報が少なく運動前野が活動しにくい
つまり、運動前野をターゲットとしたリハビリを行う上でのポイントとして…
- 意識障害の改善(特に急性期)
- 患者の目線の観察や誘導が必要
- 課題(運動)の準備段階を作っていく
- 課題を能動的(自分から)に行ってもらう
これらが運動前野を活動させるために必要になってきそうですね!
補足運動野

次に補足運動野についてです!!
補足運動野も2種類に分けられます
固有補足運動野
前補足運動野
この2つに分けられます!
大まかな機能についてはこちら!
- 随意運動の開始や抑制
- 順序動作の制御
- 両手の協調運動の制御
- 2重課題時の運動制御
補足運動野は…
1次運動野・運動前野
1次体性感覚野
頭頂連合野
帯状運動野
2次体性感覚野
主にこれらから入力を受け
以下の領域に出力します!!
皮質内投射(1次運動野と運動前野)
皮質下投射(大脳基底核、視床、赤核、橋核)
最も出力先として大きいのは1次運動野です!
このことから
補足運動野は
感覚情報に基づいた運動の選択や実行に中心的な役割を果たしていることが分かります!
この領域の傷害の結果、
- 適切な運動の選択(感覚運動連関)
- 自発的な発語や運動
これらが著しく障害されてしまいます!
また、
記憶と関連が深いと言われている大脳辺縁系との接続も強いため
記憶に基づいた順序運動などにも関連があるとも言われています!
姿勢制御に特化した二重課題では,ワーキングメモリに関連する背外側前頭前野の作用に加え,補足運動野の活動が重要であることが明らかとなった.
Hiroyuki Fujita :Role of the Frontal Cortex in Standing Postural Sway Tasks While Dual-Tasking: A Functional Near-Infrared Spectroscopy Study Examining Working Memory Capacity BioMed Research International Volume 2016
補足運動野は
記憶性運動制御にも重要な役割を果たしているようですね!!
SMA properでは単純な動作よりも複雑な時間構成を必要とする動作により活動が高まり、視覚誘導性の動作より記憶依存性の動作の方でより活動する。また動作の構成を新たに学習する時には活動が高まる。加えて課題と無関係な視覚刺激よりも体性感覚入力に強く応答する。 pre-SMAでは、動作の認知的構成をより強く要求したときや、動作の手順を新たに学習するとき、また動作の状況や要求が変化したときなどに活動が高まる傾向にあ る。さらに体性感覚応答より視覚入力に強く応答する。
渡邊 裕文 :中枢神経系の機能解剖 -運動出力系- 関西理学 5: 23–29, 2005
つまり、
補足運動野をターゲットとしたリハビリのポイントとしては…
- 複雑な構成を必要とする動作
- 記憶依存性の動作
- 新たな動作の構成・手順を学習させる
- 動作の状況や要求を変化させる
これらを意識することが重要になってくるようです!!
記憶依存性については読み進めていただければ分かると思います!
運動前野と補足運動野の機能について比較
では、運動前野と補足運動野についてまとめておこうと思います。
今までの内容だと運動前野と補足運動野には共通する項目が多いように感じますが
この2つの間において決定的に違う部分についてと介入路のポイントをお伝えします
視覚誘導性の動作遂行時に活動する
=動作時において視覚情報を用いて誘導された場合に運動前野の働きがより必要
✔︎介入のPOINT
- 視覚の誘導を伴う運動をさせる
- 課題(運動)の準備段階を作っていく
- 課題を能動的(自分から)に行わせる
非視覚誘導性の動作遂行時に活動する
=動作時において脳に蓄積された記憶情報に依拠して行った場合に補足運動野の働きがより必要
✔︎介入のPOINT
- 複雑な構成を必要とする課題
- 運動記憶を意識した課題
- 運動の構成や手順を学習できるような課題
このような特徴の違いがあります!
✔︎要チェック!
記憶について補足しましょう!
運動など身体で覚える記憶は「技の記憶」または「手続記憶」という種類に分類されます
手続記憶においてどんな種類の課題を行うかによって活性化する領域は違います
前運動野外側部は新課題の学習時に活性化し,補足運動野は逆に習熟したスキルの実行時により活性化する. 頭頂連合野は習熟,未習熟とも運動課題実行中に活性化するが,未習熟スキル実行時により活性化した.
橋本圭子 運動スキル学習に関する考察- 脳内経路の変化と記憶の固定をめぐって-
つまり、
運動前野を活性化したいのなら
”視覚情報を意識した課題””新しい課題に取り組ませる””同じ課題でも変化をつける”
補足運動野を活性化したいのなら”記憶情報を基にした課題””同様の課題を反復させて習熟させる”
このように考えることができますね!!
// /まとめ
ここからが本題ですが長くなりそうなので、次の記事にしていきます!!
そのまま読み進めたい方はこちらをクリックお願いします!
ここまでのまとめを載せておきます!!
- 運動前野や補足運動野は運動に意味をもたせ,運動を行う目的を決めるための領域
- 運動前野は感覚情報(主に視覚)と前頭前野の運動プランを合わせ運動野に出力する
- 補足運動野は感覚情報に基づいた運動選択・実行、記憶に基づいた順序運動を調整する
- 運動前野活性化→”新しい課題に取り組ませる””同じ課題でも変化をつける”
- 補足運動野活性化→”同様の課題を反復させて習熟させる”
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