【研究デザインとは?】研究初心者必見!!研究デザインの種類まとめ!

読んで欲しい人

研究初心者

研究デザインにどんなものがあるかわからない方

研究デザインの選び方がわからない方

  

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はじめに

おばんです!

前回は研究をするにあたって基本的な知識である尺度についてまとめました!!

今回は研究デザインについて少しでも皆さんに理解しやすい記事にして研究のハードルを下げることができたらなぁと考えています。

では早速まとめていきましょう!!

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研究デザインとは?

まずは、研究デザインってなんなの?と思う方もいるかもしれないので説明します!

簡単にいうと研究の予定を立てることです!

旅行を例に例えると、誰と?どこに?どんな方法で?期間は?ですが、

研究に置き換えると

  • 対象は?
  • 介入方法は?
  • 評価や測定方法は?
  • 研究の期間は?

こんな感じになりますね

研究したい内容がどのようなものかによって上の項目は変動しますので、研究を立案した時点でしっかり構築していないといけません。

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研究デザインの種類

次は研究デザインにはどのようなものがあるかをご紹介します。

観察研究

はじめに観察研究についてです!

簡潔に答えると

この研究は、介入は一切行わず

観察(収集したデータを分析)するだけの研究です。

観察研究には2種類あって、

比較対照があるか、ないかによって分けることができます

比較対照がある場合→分析的研究

比較対照がない場合→記述的研究

記述的研究は観察的研究に含まれることもあるそうですが、明確な区分はできていないようです。

では、記述的研究と分析的研究についてまとめていきましょう

記述的研究

記述的研究について!

記述的研究とは

現状のデータの記述のみにとどまる研究です。

介入や比較などをしていないため、

非実験的研究非比較研究とも言われています。

時間要因による分類においては

一般的に”横断研究”という分類になります

僕もでしたが、皆さんも意外と思うかもしれませんね。

データの取り方によって

前向き研究・後ろ向き研究にも分類されると言われています。

時間要因による分類については下記の分析的研究で

この研究デザインには症例報告や症例集積研究が該当します。

症例報告・症例研究とは?

英語ではCase reportやCase studyと呼ばれていますね。

未知の病態の経過などの情報をまとめて報告します。

ただし、単純にまとめた場合は症例報告ですが、

充分に文献的な検討まで行っているものに関しては、症例研究に分類されます!

僕自身、混同していた部分もあるので、しっかりと定義した上でこの二つの言葉を使い分けていきたいですね。

                 

余談ですが、この記事をまとめるために僕も色々調べた中で

症例研究=介入を実施した症例 と書かれているものもありました

色々と調べた結果、

単一事例実験デザイン(single-case experimental design)

と混同しているのではないかと思いました!

シングルケーススタディとシングルケースデザインってややこしいですよね?

正確にはexperimental:実験的がついているので

シングルケースデザインは実験的(介入)研究であるのは明白ですが、学会などでは省略されて使われることが多いです。

介入研究については下の方でまとめていますので、みていってください!

症例集積研究(ケースシリーズ研究)とは?

Case series studyと言われていますね

内容は症例報告とほとんど同じで

比較対照がなく、同様の疾患や病態を持った群を対象にします

加えて、症例報告が一例であったのに対して複数例を扱います。

                 

分析的研究

次に分析的研究について話していきます。

分析的研究は結果と要因の時間的な位置関係(調査したい結果が未来にあるのか過去にあるのか現在にあるのか)によって、4種類に分かれます。

                   

横断研究とは?

クロスセクショナル研究とも呼ぶようですね。

この研究の特徴として、

調査したい対象に対して、1回だけ!調査を行うデザインです。

その時に同時に要因と結果を検査・測定します

                    

上の図にも書いているように横断研究はある1時点を決めて調査するので他の研究と比べても比較的短時間で行えるため取っ掛かりやすいです。

しかし、欠点もあって

例えば、上の結果が「退院群と転院群を比べて退院群は栄養状態が良い患者が多かった」

という結果になったとしましょう。

横断研究の場合、「栄養状態が悪いから転院する」のか、「転院するほどの重度の脳卒中のため嚥下機能が低下して十分な栄養摂取ができないから低栄養になっている」のかなど

どちらが先にくるのか(因果関係)を明らかにすることができません。

                   

縦断研究とは?

英語では、longitudinal studyと言うようです!

先ほど、横断研究では、因果関係が説明できないと言いました。

そこで、その因果関係も含めて明らかにしていこう!

というのが縦断研究になります。

縦断研究とは、

定義としては、「時間要因によって分類し、過去にさかのぼって、または将来にわたって、ある特定の対象に対して暴露の有無などを調査し、ある程度の期間を得たデータをとる研究」

と言われていますが、簡単に説明すると

現在、その結果となった過去の要因がなんだったのかをさかのぼる(後ろ向き)

現在のある要因が未来の結果に影響するのか将来にわたって調査する(前向き)

                    

こういうものだと思ってください

次にその種類についてです。

縦断研究には上で書いているように

過去をさかのぼって調査(後ろ向き)

将来(未来)にわたって調査(前向き)

調査の方向性によって種類が分かれていますので説明していきます

コホート研究とは?

コホートとは”集団”という意味を持っています

その要因(特性)を持った群と持たない群に分け,結果(疾患の罹患や改善・悪化の有無など)を一定期間観察し,その要因を持った群と持たない群とでその結果の発生率を比較し、これらの関連性を明らかにする研究方法です

コホート研究は上でお話しした通り、

現在を起点にして、未来へいくのか

過去を遡っていくのかによって分類が変わってきます。

図で例も交えて説明しますね

現在から未来へ→前向きコホート研究

                  

過去をさかのぼる→後ろ向きコホート研究

後ろ向きコホート研究のメリットとして、

メリット

測定データなどはすでに揃っており、研究にかかるコストや時間が前向きコホート研究と比べて少なく済む

デメリット

全て事前に測定済みのためデータが欠損していたりバイアスがかかりやすい

前向きコホート研究は、その逆で

正しくデザインされていれば上記のデメリットを避けやすいです。

デメリットとしては、研究にかかる期間が長く、コストが高い

次は、症例対照研究についてです!

症例対照研究(ケースコントロール研究)とは?

縦断研究にはコホート研究の他にもう一つあります。

この研究は、ある結果(アウトカム)を持つ群とある結果を持たない(コントロール)群を比較する研究です

ケース=結果を持つ群

コントロール=結果を持たない群

という意味があるようですね。

よく、”コホート研究と逆のアプローチ”と説明されますが、

一体何が違うんでしょうか?

コホート研究では、

あらかじめアウトカムと関連がありそうな要因を予測したうえで、

その要因への曝露・非曝露のグループでアウトカムの発生率を比較しましたが、

ケースコントロール研究は

まず結果(アウトカム)をケース群とコントロール群に分けて設定し、そのそれぞれの結果にどの要因の関連性が高いかを群ごとに調査します

                     

ちなみにケースコントロール研究は

現在の結果から、その結果に関連する要因を過去の情報から検討するため

後ろ向き研究”に分類されます

この研究のメリット・デメリットは、

メリット

研究時間やコストが比較的少ない

臨床において使用頻度が少ないアウトカムを使用した検討ができる

デメリット

一回の研究で扱えるアウトカムが一つだけ(複数のアウトカムで検討できない)

バイアスの影響が入りやすい

コホート研究と違い、群間で比較ができない

次は介入研究に進みます!

介入(実験的)研究

次に介入研究です!

実験的研究とも呼びますが、僕ら理学療法士の中では介入研究の方が親しみが深いですね

観察研究は対象者に介入はせず、分析するのみの研究法でしたが、

介入研究とは、文字通り対象者に介入・治療してその効果(結果)を調査する研究です!

基本的に、前向き(未来に向かって調べる)研究です

介入研究にも色々種類がありますので、まとめていきますね!

介入前後比較試験とは?

before-after studyと言われています。

名前はぴんとこない方の方が多いかもしれませんが、

このデザインの特徴は

単一症例、または同じ症例・病態を持った群を対象に

介入の前後で調査したい因子・アウトカムを比較します!

                   

この研究のメリットとしては

対象者の前後を比較するだけなので比較的短時間で簡便に行えること!

デメリットとしては

比較対照がおらず、研究者の主観などに左右されやすかったりその他のバイアスも生じやすいためエビデンスが高くありません。症例報告・研究とほぼ同等のレベル。

ただ、エビデンスが低いのは事実ですが、どの有名な研究も初めはこのような研究デザインから症例数や比較対照を増やし、ランダム化比較試験と言ったエビデンスレベルの高いものに昇華させていったので、可能性はまさに無限大!

決して卑下しなくていい研究デザインだと私は思います。

ちなみに、介入前後比較試験よりも滅多に名前をみないものがあります

対照群をもたない研究

これ、どんなものなのかなぁと探しても全く具体例が出てこない…

僕の方でもまだ目を通していない書籍などを調べていこうと思いますが、知ってる方がいたら教えてくださると嬉しいです!

ランダム化・準ランダム化比較試験とは?

このランダム化比較試験と準ランダム化比較試験については

こちらの記事で紹介しました!

ランダム化比較試験は

”並行群間”研究(parallel study)とも言われています

少しかっこいい感じにいうと

パラレル研究とかパラレルデザインとか

なんだか、アニメの世界みたいな言い回し!!

                   

ランダム化(無作為化)を行うことで、

年齢・性別・既往歴のような測定された背景因子のみでなく、測定されなかった背景因子も含めて、患者背景が平均化されるため

様々なバイアス(偏り)を排除できる可能性が高くなります。

ただし、上で紹介した記事の中でまとめている”盲検化”や”サンプルサイズ”についても充分なデザインがなされていないと、バイアスによって信頼性が落ちてしまうので注意が必要です。

クロスオーバー比較試験とは?

英語だとcrossover trialsと言います。

交差試験・交互試験とも呼ばれていますね

カッコよくいうと”クロスオーバーデザイン”

先に紹介している、ランダム化試験と同様、

比較対照があるというところまでは同じ条件です。

また、ランダム化も可能です

このデザインの特徴として、

介入群とコントロール群の2群に分けて

介入群は一定期間介入し、コントロール群は未介入の状態でアウトカムを評価します。

その後、休止期間(ウォッシュアウト期間)を経てから

介入する側と未介入の側を交換して、同条件で介入、各群を再度比較します。

異なった介入方法を比較したいときは介入Aと介入Bを上記のように交換して比較します

                  

メリット・デメリットですが、

メリット

症例数が少なく済む

倫理的な問題が生じにくい

倫理的な問題が生じにくいというのは、

介入群・コントロール群双方ともに同じ介入を受けられるという点です。

対象者としては不公平感を感じないので比較的リクルートしやすいデザインかもしれません

デメリット

試験期間が長い

症状の変化が大きい場合、結果に影響を与えやすい

順序効果が影響する場合がある

順序効果とは?

課題の順番によって、課題そのものの効果ではなく、順番による慣れや疲労などの心理的変化が対象者の反応に影響を及ぼすことです

これらの影響、特にキャリーオーバー(持ち越し効果)を打ち消すためにウォッシュアウト期間を設けます。

これがうまくいっていない場合に結果に影響をきたしてしまいます。

順序効果の対策は他にもあります

  • 先に課題に慣れさせておく
  • 心理状態や疲労に配慮した研究計画を立てる

このように、ある程度長期的な計測ができて、症状が安定している患者を対象としないといけませんので、急性期など早期転院や症状改善の可能性が高い病期を対象にするにはハードルが高いと言えます。

研究デザインのエビデンスレベル

今まで、研究のデザインについてまとめてきましたが、

かなり長文になってきましたね

次は、先ほど紹介した研究デザインのエビデンスレベルについて紹介します!!

以下の図は「理学療法介入」のエビデンスレベルレベル分類を

今回の記事に合わせて一部改変しています

                   

エビデンスレベルがわかったところで、最後はこれらの研究デザインをどうやって選べばいいのかを下の項目にまとめていきます!

研究デザインの選び方

最後に研究デザインの選び方についてです!

まずは、自身が行いたい研究が対象者に治療・介入を行うかどうかで分けましょう

介入研究か観察研究かを分けられたら、

それぞれ、比較対照がいるかどうかで分けます

そうすると、

                

このように分けられました!

次は介入・観察それぞれに別れてまとめていきますね

まずは観察研究から!

観察研究の選び方

記述的研究は単一症例か複数症例かで”症例報告・研究”と”症例集積研究”に分けられます

分析的研究は要因と結果の評価が同時か否かで”縦断研究”か”横断研究”に分けられます

                    

さらに縦断研究は

研究の(時間の)方向で”前向き研究””後ろ向き研究”に分けられます

後ろ向き研究に関しては1つのアウトカムだけでも良いから、発生率が稀な

あるアウトカムを使用したい、複数のアウトカムを使用したいかで

”症例対照研究””後ろ向きコホート研究””に分けることができます。

前向き研究は前向きコホート研究になります。

                    

観察研究についてはこんな形で選択していけば、迷わないかと思います!

次は、最後に介入研究にいきましょう!

介入研究の選び方

介入研究を比較対照がいるかどうかで分けられたら、

比較対照がない場合は”介入前後比較試験””対照群をもたない研究”などとなります。

比較対照ができる群は、対象者を数十名以上集められるかどうかを検討してください

対象者をリクルートする上で、症例や研究期間などを考慮して数十名以上を見込めるようなら”パラレルデザイン”数名程度が限界であれば”クロスオーバーデザイン”に進みましょう

                   

※急性期など病状が安定せず、長期的な計測が困難な場合にはクロスオーバー試験は難しいです。そのため、その場合は対象者数が少なくバイアスが生じやすいことを理解した上でパラレルデザインの方を選択しましょう。

パラレルデザインについては、ランダム化の有無、パソコンでランダム化できる場合、サイコロやくじなどでしかランダム化できない場合で分けて終わりになります!

                   

図も挿入して説明しましたが、わかりましたでしょうか?

まとめ

今回は、研究デザインについてまとめました!!

種類がたくさんあって研究デザインを決めるだけでも大変ですよね!

僕もですが、研究が苦手な人はたくさんいます!

だから、その克服の第一歩を踏み出した方々は本当にすごい!!

それだけでも自分に自信を持っていいんです!

このまとめが少しでも役になってみなさんの研究の第一歩をサポートできたら本当に嬉しいです!

研究については最後に尺度と統計処理の関係についてまとめていけたらなと思います!!

この記事が参考になった方は下のボタンを押してくれたら嬉しいです!


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