【特徴は?予後は?】看護師・リハビリ向け!!脊髄損傷の種類・麻痺型についてまとめたよ!

脊髄損傷
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はじめに

今回から脊髄損傷のことについてまとめていきます!!

僕は普段、脳卒中を中心に記事にしています!


ですが、
臨床においては脊髄損傷の方も担当するのでいつか記事にしてみたいと思っていました!!

今回、そのきっかけになったのは臨床実習!

学生にとっては、脳卒中よりも脊髄損傷の方が苦手意識が強い傾向があるようです!!
(今回、たまたまかもしれませんが…)

確かに学生や若手時代の時は脊髄損傷に対して苦手意識があったなぁ…

こんな感じで僕自身にも身に覚えがあったため…笑
今回から脊髄損傷についてまとめた記事を書き始めようと思った次第です!

確かに…

運動麻痺

感覚障害

脊髄損傷の場合はこれに加えて…

自律神経障害

これらが髄節レベルごとに変化し、患者によって全く違う病態を示します!!

もちろん脳卒中も患者によって違いますが…
脊髄損傷ほどの幅は小さいように感じるほど脊髄損傷の障害像は複雑です!

急性期のリスク管理としても、気をつけなくてはいけないことは多いですし
評価項目もたくさんあります!!

今回は、まず脊髄損傷の種類・病型についてまとめていきたいと思うのでよろしくお願いします!!

急性期における脊髄損傷のリスク管理について知りたい方はこちらのページから!

脊髄損傷の障害像と急性期リスク管理についてまとめたよ!①

脊髄損傷の障害像と急性期リスク管理についてまとめたよ!②

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脊髄損傷とは? 

脊髄損傷とは

脊髄損傷(Spinal Cord Injury)とは…

脊柱に強い外力が加えられることにより、脊柱を通っている脊髄が損傷をうけた病態のことをいいます。

脊髄の損傷は外傷が中心です!骨折や脱臼により起こります。
(高齢者の場合は転倒による非骨傷性頸髄損傷などもあります)

その他にも…

疾病によるもの

脊髄腫瘍

ヘルニア

炎症

血管奇形など

先天性なもの

二分脊髄

脊髄空洞症など

これらが原因で生じます!!

脊髄損傷には
脊髄の損傷の程度によって種類・病型が分かれます!

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脊髄損傷の種類

脊髄損傷の種類は大きく分けて2つあります!

完全脊髄損傷

脊髄横断症候群

不完全脊髄損傷

ブラウン・セガール症候群

前脊髄動脈症候群

後脊髄動脈症候群

脊髄が横断的に損傷を受けて離断されると完全麻痺となり,運動と感覚の麻痺が起こる。 損傷が脊髄の一部の場合には不完全損傷となるが,その部位や損傷の度合いにより症状は異なる。

脊髄損傷 理学療法ガイドライン

このように…

脊髄を横断するような損傷の場合→完全麻痺
 損傷が一部分の場合      →不完全麻痺

このような違いがあります!!

引用文の通り、不完全脊髄損傷の場合は
それぞれ特徴がありますので説明していきます!

不完全脊髄損傷の種類と特徴

それでは不完全脊髄損傷の種類と特徴や違いをまとめていきます!!

不完全脊髄損傷には以下の4つが存在します!

これら全てそれぞれの特徴を有しています!

気になったものからどうぞ!!

中心性脊髄症候群

中心性脊髄症候群の特徴
  • 脱臼や骨折を伴わない非外傷性頸髄損傷として発症する
  • 既往に脊柱管狭窄(椎体後方骨棘や椎間板膨隆etc)が存在
  • 頸椎損傷がほとんど
  • 急激な四肢麻痺・多様な感覚障害・膀胱機能障害が主訴
  • 下肢と比較して上肢に強い麻痺を呈す
  • 麻痺の回復過程:下肢→膀胱機能→上肢機能→手指巧緻機能

このような特徴があります!!

なんで上で説明したような症状がでるの?
このように思った方はこちら!

中心性頸髄損傷は側索・後索の障害が主で,灰白質の障害は認めない

Bunge RP, Puckett WR, Becerra JL, Marcillo A, Quencer RM. Observation on the pathology of human spinal cord injury: a review and classification of 22 new cases with details from a case of chronic cord compression with extensive focal demyelination. Adv Neurol 1993; 59: 75-89. 


このように

脊髄の後索(後索路)

側索(皮質脊髄路・外側脊髄視床路)

これら2つの神経路で損傷の可能性があります!!

臨床では教科書のように全ての障害が出現するわけではないので
しっかり評価を行なっておくことが重要です!

不完全脊髄損傷の中では比較的有名な病態と個人的に思っていますが…

5年間のうち…

労災病院関連の28施設で登録された脊髄損傷1366名中
中心性頸髄損傷と診断されたのは19.1%!!

古澤一成,徳弘昭博,杉山宏行,池田篤志,住田 幹男,富永俊克.全国脊髄損傷データベースからみた中心性頸髄損傷の現状.日脊障医誌 2007; 20: 84-5.

僕の予想よりは少なかったですね…
労災病院という事なので、
高齢者の転倒・転落によるケースなどは含まれていないのかな?

当院だと、元々脊柱管が狭窄していた高齢の方が転倒や転落を契機に発症して入院されることが多いです!!

この脊柱管狭窄の程度は神経症状における予後予測因子としても知られています!

その他の因子についても紹介します!

中心性脊髄症候群の予後良好因子

40歳以下

広い脊柱管

上肢型損傷

早期MRI にてT1等信号・T2等信号

中心性脊髄症候群の予後不良因子

高齢(70歳以上)

脊柱管の狭小化

後縦靱帯骨化症(OPLL)例

早期MRIにてT1 低信号・T2 高信号

中心性脊髄症候群は比較的予後が良好な場合が多いですが
このように予後に悪影響を及ぼす因子があることも覚えておきましょう!!

中心性脊髄症候群には重症度分類も存在するので紹介します!

Ⅰ型(上肢優位型)

受傷当初から下肢の症状が全くないor極めて軽い

Ⅱ型(Schneider型)

受傷当初は上下肢共に症状が著しい
下肢は日常生活に重大な支障を与えぬ程度まで回復し上肢の症状も遅れて改善する

Ⅲ型(横断型不全損傷への移行型)

下肢症状は上肢症状に比べれば良好な回復を示す
それでもなお、痙性歩行などの症状が著しく,日常生活に支障を及ぼす

 

この分類は臼井らによって分類されました!
臼井 宏,平 林 洌:急性中心性頚髄損傷症候群について.整形外科32:1803-1812,1981.

上で説明している通り
数字が増えるごとに重症度は上がっていきます!!

Ⅰ型は全然問題なさそう!と思うかもしれませんが…

リハ終了時能力ではU型はL型に比較すると良好であったが,その詳細は社会自立31%,家庭自立37%, 家庭要介助20 %,施設要介助12 %であり,十分な能力改善ができずに介護へと移行する例も少なくはなかった.

富永 俊克:中心性頸髄損傷- 急性期臨床像の特 徴と治療転帰との関連- Jpn J Rehabil Med 2008 ; 45 : 218.235

このように機能上は良好であっても転帰は様々なので
しっかり評価・アセスメントをして治療を行なっていく必要がありそうですね!

ブラウン・セガール(Brown-Séquard)症候群

次はブラウン・セガール症候群について!
日本では脊髄半側切断症候群とも言われています!!

Brown-Séquard症候群の特徴

脊髄の半側(右でも左でも)が障害されたときに生じる

障害部位の同側に運動麻痺、識別感覚・深部感覚障害

反対側に温度覚・痛覚の消失が生じる

頸~上部胸髄障害では同側にHorner 症候群を認めることもある

臨床では不全型の(incomplete)Brown-Séquard症候群を認める場合もある

ブラウン・セガール症候群の最も特徴的な点として…

傷害されるのは脊髄の半側のみ!

これによって特徴的な傷害像を呈します!!

障害部位と同側→運動麻痺、識別感覚・深部感覚障害

障害部位と対側→温度覚・痛覚の消失

これは

  • 皮質脊髄路と識別感覚・深部感覚を伝達する後索路
  • 温度覚・痛覚を伝達する前脊髄視床路

これらの走行経路の違いが関係しています!

ついでに脊髄損傷時
通常は温度覚・痛覚障害が障害部位から数髄節下から生じることにも触れます!!

このように

脊髄後角で伝達された第2次感覚ニューロンが脊髄灰白質内を対側に交叉し数髄節上向してから前脊髄視床路に合流するために上記のような症状を生じます!

機能予後についてですが…
ブラウン・セガール症候群は不完全脊髄損傷の中では最も予後が良いとされます!!

約 90%が自立歩行レベルまで改善する.

鈴 木 晋 介 :脊髄・脊椎損傷の急性期治療  Spinal Surgery 25(1)50-62,2011 

注意しておきたいのは…

  • 中心性脊髄損傷との混合型
  • 不全型の(incomplete)Brown-Séquard 症候群

このように純粋なブラウン・セガール症候群ではない場合も認められます!!

そのため、しっかりその患者さんの評価をするのが重要!

前脊髄動脈症候群

次は前脊髄動脈症候群について!!

前脊髄動脈(脊髄横断面における前2/3を灌流)の閉塞によってひき起こされます!

脳血管と違い、脊髄動脈は…

  • アテローム性変化が少ない
  • 側副血行路が発達

このような特徴があるため梗塞を起こしにくく比較的稀な病態です!

脊髄を灌流する動脈は…

前脊髄動脈1本(脊髄腹側2/3)

後脊髄動脈2本(脊髄背側1/3)

この2種類!!
このような背景から、後脊髄動脈症候群はさらに稀な病態というのもわかります!

個人的には
胸部大動脈解離
腹部大動脈解離

これらの術後合併で心リハと同時に対麻痺への加療を行うことが多い印象です!!

前脊髄動脈の閉塞や骨片や椎間板ヘルニアによる前方からの圧迫が原因とされる. 

鈴 木 晋 介 :脊髄・脊椎損傷の急性期治療  Spinal Surgery 25(1)50-62,2011

前脊髄動脈症候群の特徴

頸髄レベルでの発症契機は椎骨動脈の閉塞や解離性動脈瘤によることが多い

胸腰髄以下の発症契機は解離性大動脈瘤や心肺停止に伴う脊髄虚血などで多い

前角,中心灰白質,側角,前索,側索ならびに後索の前部(1/4)と後角の基部が障害

深部知覚・識別触覚(後索)のみ正常

不完全麻痺のなかでは最も予後が悪い

有用な運動機能への回復例は10~20%

前脊髄動脈症候群は…

発症数自体は少ないものの、後索路以外は全て傷害され機能予後もよくありません

前脊髄動脈が灌流する領域を示しておきます!

前脊髄動脈症候群の詳しい障害像についてはこちらから!

①皮質脊髄路and前角障害による四肢麻痺・対麻痺

※頸膨大病変においては…

上肢:下位運動ニューロンが障害→弛緩性麻痺、筋萎縮、腱反射減弱~消失、繊維側性収縮
下肢:上位運動ニューロンが障害→痙性麻痺、腱反射亢進、 病的反射
 

それ以上の頸髄損傷の場合

上肢:上位運動ニューロン

下肢:上位運動ニューロン

②中心灰白質and脊髄視床路の障害による温痛覚障害と軽度の触覚障害

③後索路は障害されないため深部知覚・識別触覚は正常

④自律神経下行路の障害による神経因性膀胱直腸障害

このような障害像を呈します!!

Yu-dai

機能予後は決して良いとは言えませんが、
残存している機能での動作指導や環境調整で自宅復帰を目指せるよう

チーム医療でケアしていきたいですね!

後脊髄動脈症候群

前脊髄動脈症候群でも少し話しましたが…
後脊髄動脈症候群も不全型脊髄損傷の中ではさらに稀な病態です!

脊髄動脈症候群 28 例中 27 例が前脊髄動脈症候群で 1例が後脊髄動脈症候群である 

Masson C, Pruvo JP, Meder JF, et al. Spinal cord infarction: clinical and magnetic resonance imaging findings and short term outcome. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2004;75:1431-1435.

 

後脊髄動脈症候群の特徴

梗塞した髄節レベルに対応した部位に突発的な疼痛とともに発症する

深部感覚優位の感覚障害

場合によっては運動麻痺・膀胱直腸障害も出現する場合がある

両側性に発症する場合の方が多い

発症機序は前脊髄動脈症候群と同様で…

  • 大動脈解離
  • 大動脈瘤破裂
  • 手術・心肺停止に伴う脊髄の虚血

これらが主要な要因として挙げられます!
それ以外についてはまだ不明な部分が多いようです。

(先ほど紹介した文献では脊髄動脈のアテローム性動脈硬化による閉塞とのことでしたが…)

機能予後は…

深部感覚が保たれている場合

Masson C, Pruvo JP, Meder JF, et al: Spinal cord infarction: clinical and magnetic resonance imag- ing findings and short term outcome. J Neurol Neurosurg Psychiatry 75: 1431–1435, 2004

片側性の場合

柳 務,安藤哲朗:前脊髄動脈症候群.脊椎脊髄 ジャーナル 6: 21-28, 1993

これらの場合には良好となることが多いようです!

運動麻痺や膀胱直腸障害についてですが…

基本的に後脊髄動脈は後索を灌流します!
しかし、場合によっては梗塞部位が後側索にまで及ぶこともあり、
その場合は運動麻痺や膀胱直腸障害が出現します!!

また、後脊髄動脈は左右1対で2本の動脈になっていますが…

両者には吻合が多くしばしば一方が非連続性となり、反対側の動脈は対側にまで分布することもある

Okuizumi K, Wakasugi M, Tsuji S, et al. MRI findings of posterior spinal artery syndrome report of a case. Rinsho Shinkeigaku 1994;34:1116-1120. 

後脊髄動脈領域の血流は側副血行路が働くことが多く、1 対の独立した後脊髄動脈というよりも 1 つの血管のネットワークで補われている

Ito S, Hattori T, Kanesaka T, et al. Posterior spinal artery syndrome presenting with sensory and motor distur- bances of unilateral lower limb. J Neurol 2005;252:850-851. 

このような理由で、両側性の障害を呈するのではないかと考えられています!!

まとめ

それではまとめです!!

本記事のまとめ
  • 脊髄損傷には完全脊髄損傷と不完全脊髄損傷の2種類がある
  • 不完全脊髄損傷には4種類に分かれる
  • 中心性脊髄症候群やブラウン・セガール症候群は比較的機能予後が良い
  • 前脊髄動脈症候群・後脊髄動脈症候群の機能予後はあまり良いとは言えない
  • 機能予後が良好であっても環境調整をする必要性は高い

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