【リハビリで使える!】脊髄損傷患者の予後予測に使用できる評価・分類まとめ②!!〜歩行能力を予測せよ〜

脊髄損傷歩行予後予測
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はじめに

おばんです!Yu-daiです!!

前回は機能予後やADLの予後についてまとめました!

今回は歩行能力に焦点をあてて行こうと思います!!

理学療法士としては
患者の歩行能力が今後どのように回復していくのかやっぱり気になりますよね?

今回は、急性期と回復期で使用できる
歩行の予後予測のための評価方法などについて紹介していきます!!

この記事を読んで
皆さんの実習や実際の臨床、ひいては患者さんの力になれたら嬉しいです!

それではいってみましょう!!

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【急性期】改良Frankel分類を用いた歩行予後予測

まずはこちら!!
改良Frankel分類を用いた予後予測について紹介します!

新人セラピスト

そもそもFrankel分類自体知らないです!!

Yu-dai

Frankel分類について知らない方は前回の記事で紹介してるよ!

改良Frankel分類を用いた予後予測は福田ら(2011)が報告しています!!

改良Frankel分類は, 四肢麻痺の機能障害を一層明瞭に評価できるだけでなく,急性期頸髄損傷の神経学的回復において予後予測に有用である

福田文雄 植田尊善:改良 Frankel 分類による頸髄損傷の予後予測 リハビリテーション医学2001; 38: 29-33

.

改良Frankel分類というのは、運動麻痺や感覚障害の残存の程度で分類されます!!

A→B→C→Dの順で残存している機能が増えていきます!

それがこちら!!

A
(motor, sensory complete)
運動・感覚ともに完全麻痺
B
(motor complete,sensory only)
B1仙髄領域のみの触覚保存
B2仙髄領域だけでなく広範な範囲で触覚保存
B3痛覚不全麻痺
C
(motor useless)
C1下肢筋力1〜2程度
(過半数が2以下)
C2下肢筋力3程度
(仰臥位で膝立可)
D
(motor useful)
D0下肢筋力4〜5
歩行可能そうだが急性期管理で評価困難
D1屋内・平地であれば10〜100m位可能
屋外歩行は困難
日常生活では車椅子を併用
(杖・装具使用可)
D2屋外歩行も安定し車椅子は全く不要
(杖・装具使用可)
上肢機能が悪く日常生活に部分介助を要する場合
D3杖・手すり・装具を使用せずに完全な独歩で可能
上肢機能も含め日常生活に介助は不要
(軽度の筋力低下・感覚障害残存)
E
(normal)
筋力低下・知覚障害なし
(しびれや反射亢進はあっても良い)

機能回復と書きましたが、
上の表をみていただいたら分かるように

分類Dにおいては歩行能力についても細かく分類されています!

下に分類Dだけ載せておきますね!!

D
(motor useful)
D0下肢筋力4〜5
歩行可能そうだが急性期管理で評価困難
D1屋内・平地であれば10〜100m位可能
屋外歩行は困難
日常生活では車椅子を併用
(杖・装具使用可)
D2屋外歩行も安定し車椅子は全く不要
(杖・装具使用可)
上肢機能が悪く日常生活に部分介助を要する場合
D3杖・手すり・装具を使用せずに完全な独歩で可能
上肢機能も含め日常生活に介助は不要
(軽度の筋力低下・感覚障害残存)

福田らはこの分類法を用いて

急性期における頸髄損傷患者”の機能回復予測を行いました!!

参加者は294例で
取り込み基準としては以下の通り!

  • 受傷後7日以内に入院・治療した中下位頸髄損傷患者
  • 6カ月以上経過観察できた症例

受傷から入院までは 1.7±1.8日
平均経過観察期間は28.6カ月だったそうです!
(その他の情報は実際の論文で確認してみましょう!!)

また、初回評価病日は平均1.7日 でした!!

最終評価病日については詳細なことは書かれていませんが
取り込み基準に”6ヶ月以上経過観察できた”という記載があるため
おそらく最低でも半年は経過した状態での評価ということになります!

新人セラピスト

初回介入時点での評価で
約半年先の機能・歩行の予測が可能になるわけですね!

Yu-dai

うん!!超急性期から予後予測を行えるというのはセラピストとしては非常に助かるよね!!

その結果がこちらになります!

Improved Frankel classification
福田文雄 植田尊善:改良 Frankel 分類による頸髄損傷の予後予測 リハビリテーション医学2001; 38: 29-33より引用
Improved Frankel classification
福田文雄 植田尊善:改良 Frankel 分類による頸髄損傷の予後予測 リハビリテーション医学2001; 38: 29-33より引用

ポイントを整理しましょう!!

POINT!!
  • 歩行獲得(D以上)となるには触覚・痛覚残存(B2以上)しているかが重要
  • 実用的な歩行(D2以上)に至るには痛覚残存(B3以上)しているかが重要
  • C2(下肢MMT3、膝立て可能)であればD2以上への到達する可能性は高い

歩行、特に実用レベルのものの獲得を目指すのであれば
痛覚が残存しているかどうかは必須の確認事項ですね!

新人セラピスト

B1 レベル以下の場合は車椅子ベースでの生活を考慮に入れた方が良いってことですか?

YU-dai

全ての症例について同じことは言えないけど、
B1以下の場合なら僕だったら機能訓練だけではなくて残存機能を生かして
移乗動作練習や車椅子駆動練習といった指導も並行していくと思います!!

ADLの拡大も僕たちの重要な役割の一つだからね!

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【急性期】Prediction rule scoreを用いた歩行予後予測

次の予後予測に使用できる評価はこちら!!

Prediction rule score”というものなのですが、
超有名な医学系雑誌”Lancet”に掲載された論文

外傷性脊髄損傷後の歩行予後予測についてJoost J van Middendorp et alによって検証されました!!

こちらにその論文へのリンクを貼っておきます! 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21377202/

損傷後に患者が独立して歩行する長期確率は広く使用されているAISグレーディングシステムよりも正確に計算可能である。

Joost J van Middendorp et al: A clinical prediction rule for ambulation outcomes after traumatic spinal cord injury: a longitudinal cohort study  2011 Mar 19;377(9770):1004-10.  Lancet 2011 Mar 19;377(9770):1004-10.

僕らが脊髄損傷症例に対して普段から使用しているAISよりも正確と言われています!

外傷性脊髄損傷の成人患者1442名を対象に
早期(損傷後の最初の15日以内)と後期(1年間の追跡)の臨床試験を実施しました!!

結果として追跡できた対象者は492人!

  • 受傷後15日以内の年齢
  • L3とS1のMotor scoreおよびLight touch score

この2つからPrediction rule scoreを算出して
受傷後1年後の屋内歩行自立の確率を求めた結果…

(直訳で申し訳ありませんが…)

独立歩行者

依存歩行者

非歩行者

この3グループを識別する際に優れていたと述べています!!

算出方法についてはこちら!

Range of test scoresWeighted coefficientMinimum scoreMaximum score
Age≧65years0-1-10-100
Motor score L30-52010
Motor score S10-52010
Light touched scoreL30-25010
Light touched scoreS10-25010
Total-1040
Joost J van Middendorp et al: A clinical prediction rule for ambulation outcomes after traumatic spinal cord injury: a longitudinal cohort study  2011 Mar 19;377(9770):1004-10.  Lancet 2011 Mar 19;377(9770):1004-10.より引用

新人セラピスト

ちょっと計算方法がよく分かりません

Yu-dai

これから説明していくね、大丈夫すごくシンプルだから!

Range of test scoresに記載できた数値×Weighted coefficientに載っている数値

掛け算をすればいいわけです!

 

具体的に説明していきましょう!!

年齢:65歳未満=0、65歳以上=1

Motor score(L3,S1):0点~5点

Light touch score(L3,S1):0点~2点

まずは対象者の年齢や運動・感覚機能について評価します!
評価した結果にWeighted coefficientの項目で記載されている数値を掛け算しましょう!

Motor scoreとLight touch scoreはAISで計測したものを用います!!

65歳以上の場合…

1×-10=-10

Motor ScoreL3が4の場合…

4×2=8

ね!簡単でしょ!!

計算する際は左右の点数の良い方を採用しよう!!

このように、全ての項目について計算し、合計点を算出します!

それを以下の表に当てはめて考えます!!

Joost J van Middendorp et al: A clinical prediction rule for ambulation outcomes after traumatic spinal cord injury: a longitudinal cohort study  2011 Mar 19;377(9770):1004-10.  Lancet 2011 Mar 19;377(9770):1004-10.より引用

Prediction rule scoreでの合計点が

20点→(屋内)歩行が自立する可能性は約90%

10点→(屋内)歩行が自立する可能性は約30~40%

このような形でどれくらいの可能性があるのかを評価することが可能です!!

ちなみに評価日ですが
24時間未満、72時間未満、15日未満などで検証されたようですが

予測ルールの精度に顕著な影響はなかったようです!!

”屋内距離のみを独立して歩く能力を予測するために適用できる”
この大前提を忘れずに
予測に用いましょう!

屋内歩行に至ってはかなり有用な指標ですが、屋外歩行までには対応していないので

屋外歩行も検討している場合には
先ほどの”改良Frankel分類による歩行予測”も含めて検討していくのが良いでしょう

回復期へ転院されるときには

Motor score(L3,S1)とLight touch score(L3,S1)をしっかり載せておくと
転院先のセラピストにも喜ばれるかもしれません!!

Yu-dai

加えて、下で紹介するアルゴリズムに使用するScaleも評価して載せられたら完璧ですね!!

【回復期】歩行獲得予後予測のためのアルゴリズム

最後は回復期における歩行獲得の予後予測に使用できる評価について紹介します!!

本研究の目的は,リハ病院入院時点の身体機能および動作能力から,
脊髄不全損傷者の歩行獲得に関する予測因子および予後予測のアルゴリズムを明らかにすることである.

古関一則ら:脊髄不全損傷者の歩行能力の 予後予測に関する研究      一リハビリテーション病院における後方視的検討一 理学療法学 第42巻第3号 271 一 279頁 (2015年)

 

引用文の通り、
回復期入院時点での機能から歩行獲得を予測できないかということを後方視的に検討しました!

入院時の基本情報や神経学的情報、動作能力等を含めた14項目を採用して

それらと退院時の歩行自立度を分析した結果…

以下の項目が該当しました!!

屋内歩行獲得
  • ASIA impairment scale(AIS)
  • 寝返り介助量
  • FIM認知合計点数
  • walking index for spinal cord injury Ⅱ(WISCI Ⅱ)
屋外歩行獲得
  • 受傷年齢
  • 立位介助量
新人セラピスト

WISCI Ⅱ??う~ん、どんな評価だったかな~

Yu-dai

どんなものか少しおさらいしてみようか!

寝返り介助量については

論文にて以下のように説明されていました!!

全介助=1 一部介助=2 口頭指示=3 自立=4

WISCI Ⅱについてはこちら!!

WISCI Ⅱ
0立ち上がることができない、もしくは介助歩行ができない
装具を用いて平行棒内で2人介助で歩行可能だが、10 m未満
装具を用いて平行棒内で2人介助で10m歩行可能
装具を用いて平行棒内で1人介助で10m歩行可能
装具なしで平行棒内で1人介助にて10m歩行可能
装具なしにて平行棒内で10m歩行可能
装具、歩行器を用いて1人介助にて10m歩行可能
装具、2本杖を用いて1人介助にて10m歩行可能
装具なしにて歩行器を用いて1人介助にて10m歩行可能
装具、歩行器を用いるのみで10m歩行可能
10装具、1本杖を用いて1人介助にて10m歩行可能
112本杖を用いて1人介助にて10m歩行可能
12装具、2本杖のみで10m歩行可能
13歩行器のみで10m歩行可能
141本杖を用いて1人介助にて10m歩行可能
151本杖と装具のみで10m歩行可能
162本杖のみで10m歩行可能
171人介助のみで10m歩行可能
18装具のみで10m歩行可能
191本杖のみで10m歩行可能
20フリーハンドにて10m歩行可能
JF Ditunno Jr et al:The Walking Index for Spinal Cord Injury (WISCI/WISCI II): nature, metric properties, use and misuse Spinal Cord (2013) 51, 346–355より改変し引用

原文はこちらの論文から引用しています!

http://www.spinalcordcenter.org/research/wisci_wisci_ii_nature_metricproperties_use_misuse.pdf

新人セラピスト

わぁ~項目が多すぎて覚え切れないよ~!

Yu-dai

正確に判定するのが目的だから無理をせずに評価表をしっかりみながら採点しよう!!

FIMの認知項目についてはこちら!

立位介助量は寝返りと同様です!!

全介助=1 一部介助=2 口頭指示=3 自立=4

それでは記録したこれらの項目を使用して採点していきましょう!

計算式はこちらになります!!

Algorithm for predicting gait acquisition prognosis in patients with SCI
古関一則ら:脊髄不全損傷者の歩行能力の 予後予測に関する研究 一リハビリテーション病院における後方視的検討一 理学療法学 第42巻第3号 271 一 279頁 (2015年)より引用
Algorithm for predicting gait acquisition prognosis in patients with SCI
古関一則ら:脊髄不全損傷者の歩行能力の 予後予測に関する研究 一リハビリテーション病院における後方視的検討一 理学療法学 第42巻第3号 271 一 279頁 (2015年)より引用

予測式だけ見たら少し抵抗感を覚えるかもしれませんが
予後を想定しておくことは回復期ではさらに重要になってきますからぜひ試してみてください!!

まとめ

今回は、脊髄損傷患者における急性期・回復期の歩行予後予測に用いられている評価やアルゴリズムについてまとめてみました!!

これらは実際の臨床や実習のレポート作成時にもガッツリ使える内容ですからぜひ覚えていってくださいね!

脊髄損傷については他にも機能予後やADLの予後について、またリスク管理などについてもこのブログでまとめているのでぜひご覧になってください!!

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