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はじめに
おばんです!!Yu-daiです!
今回の記事では…
”Ⅰ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全の違いって何?”
この点についてできるだけ具体的にまとめていけたらなと思います!

うーん、
PaO2とPaCO2の数値に違いがあるという程度しか今は説明できません…

呼吸不全の違いについて理解できれば、血ガスの結果から呼吸状態を把握することにもつながるからぜひこの機会に覚えていこう!
呼吸療法認定士の獲得にも必須の知識だし、
資格を取りたい人は今から勉強していこう!
私は普段主に脳卒中を担当していますが…
最近は純粋な脳卒中だけではなく
脳卒中+肺水腫、COPDなどなど…
呼吸器系の合併症を持つ方も決して少なくありません!!
ぜひ最後までこの記事を読んでくれたら嬉しいです!
// /【結論】Ⅰ型呼吸不全とⅡ型呼吸不全の違い!!

はじめに結論から!!
”Ⅰ型呼吸不全”とⅡ型呼吸不全”における違いをまとめてみました!!
分かりやすいように全て”Ⅱ型呼吸不全”で揃えています!
- 閉塞性肺疾患や呼吸抑制、呼吸筋麻痺などで生じるのが”Ⅱ型呼吸不全”
- PaCO2が上昇しているのが”Ⅱ型呼吸不全”
- A-aDO2が正常値なのが”Ⅱ型呼吸不全”
- pHやHCO3-など他の血ガス項目の数値も変動するのが”Ⅱ型呼吸不全”
- 人工呼吸器などの呼吸補助療法が必要なのが”Ⅱ型呼吸不全”
- CO2ナルコーシスに注意する必要があるのが”Ⅱ型呼吸不全”
こんな感じです!!
なぜこのようにまとまったのか
詳しく知りたい方は下に機序などを含めた詳細なまとめを書いているのでぜひ!
【血液ガスとは?】簡単におさらい!!

ひとまず、血液ガスの基本事項を簡単におさらいしましょう!
一からしっかり勉強したいという方はこちらのページへどうぞ!!
血液(動脈血あるいは静脈血)を採取して分析し
肺胞におけるガス交換能や、酸・塩基平衡を調べる検査のこと!
血液ガスには以下の項目があります!

今回は呼吸不全についてまとめていくので
必要な項目だけまとめて基準値を載せておきます!!
各項目の詳細はこちらの記事でまとめています↓
血ガス項目 | 基準値 | 意味 |
---|---|---|
pO2 (酸素分圧) | >80mmHg | 肺における血液酸素化能力の指標 |
pCO2 (二酸化炭素分圧) | 35~45torr | 酸塩基平衡を規定する因子であると同時に”換気”の指標でもある |
HCO3− (重炭酸イオン濃度) | 22~26mEq/L | 腎臓で生成され血液が酸性に傾きすぎないようにするための緩衝機構の一つ |

呼吸不全の分類に絞るだけなら項目もだいぶ減るんですね!

実際はその他の項目もみれた方が絶対良い!
血ガスの勉強はすごく大変だけど
RSTでラウンドしている時や呼吸器疾患・循環器疾患を合併している症例を担当した時には本当に役に立ったよ!!
PaO2とPaCO2で呼吸不全の分類を行おう!!

まずは呼吸不全の分類をしていきます!

そもそもPaO2とPaCO2の違いが分かっていません…
そんな方にはこちらの記事がおすすめです!!
PaO2やPaCO2の違いや関係について簡単にまとめています
優しい内容から読んでいきたい!という方はこちらから!
タイトル下の画像にも書いていますが、呼吸不全は以下のように分類できます!

PaO2が60Torr以下から呼吸不全の状態に陥っていますが、
さらにそこから2種類に分類されます!
そのためにPaCO2の数値を確認する必要があります!

PaCo2が45Torrを境にしてどちらか呼吸不全になるんだね!!
数値だけでピンとこない場合にはこのように考えましょう!
Ⅰ型呼吸不全→酸素を取り込めない
Ⅱ型呼吸不全→酸素を取り込めない+二酸化炭素を吐き出せない
かなり噛み砕く説明するとこれがⅠ型とⅡ型の違いです!!
肺胞気-動脈血酸素分圧(A-aDO2)の数値も変化します!!
Ⅰ型呼吸不全→異常
Ⅱ型呼吸不全→正常
【A-aDO2の基準値(室内気)】
✔︎正常→10Torr以下
✔︎境界値→10〜20Torr
✔︎異常→20Torr以上
このことを踏まえて2つの呼吸不全の病態について考えていきましょう!!
✔︎換気血流不均衡
✔︎拡散障害
✔︎シャント
→拘束性肺疾患によるものが多い
✔︎肺胞低換気
→閉塞性肺疾患によるものが多い
【Ⅰ型呼吸不全の原因!】換気血流不均衡・拡散障害・シャントとは?


呼吸不全の理由は?と聞かれても現状全く答えられる気がしません…

大きく分けると、
換気血流不均衡・拡散障害・シャント・肺胞低換気の4つに分かれるよ!
教科書的には呼吸不全の要因としてこれらの4つが挙げられると思いますが
その言葉だけではイメージがしにくいと思う方は多いのではないでしょうか?
僕自身も学び始めの頃は苦戦した記憶があります…
ここから先は
これらの要因についてできる限りわかりやすくまとめました!
最後までついてきてくれたら嬉しいです!!
換気血流不均衡

肺胞換気量と血流比の均衡が崩れている状態
- 健常肺でも重力の影響で常に肺への血流は下肺が多く不均等分布である
- 何かしらの疾患によって”血流が少ない肺胞””換気が少ない肺胞”が出現することで不均等分布が拡大
- 気道肺胞系と肺血管系に異常をきたすほとんどすべての疾患で出現する
- 例:間質性肺炎、気管支炎、肺気腫など
- 換気が最低限行えていればPaCO2まで上昇することはあまりない
- 酸素吸入でPaO2が改善する場合がある
肺胞換気量とは?=分時換気量−死腔換気量
✔︎分時換気量=1分間の呼吸数×一回換気量
✔︎死腔換気量=ガス交換のない上気道(咽頭・鼻)・下気道(気管・気管支)の部分
少し詳しく説明するために以下のように表記していきます!!
肺胞換気=VA
血流=Q
✔︎血流低下(VA /Q比が高くなる)の場合→血流が低下する程度であれば血ガスへの影響は低い
※ただし、血流が停止すれば換気が無効になるため死腔換気率が増大する
✔︎肺胞換気低下(VA /Q比が低くなる)の場合→動脈血ガスへの影響が強い
つまり、血流低下による不均衡においては
極端な低下でなければ血ガスへの影響が少ないため
血ガスの数値異常が肺胞血流不均衡によるものと推測する場合には
必然的に肺胞換気が低下している場合に限ります!

肺胞換気血流不均衡は
健常時でも重力の影響などで不均等であったものが
疾患に伴いさらにその均衡が崩れている状態だというイメージを持ってもらえればと思います!
これらが出現する疾患は…
気道肺胞系と肺血管系に異常をきたすほとんどすべて
一和多俊男:呼吸不全の病態生理 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 2016年 第26巻 第 2 号 158- 162
このように言われているため診断されていなければ
肺のレントゲンやCTなどを中心に原因に目星をつけておきましょう!!
また、貧血や循環不全などのその他の全身状態も留意しておく必要があります!
主な治療法は…
原疾患治療+酸素療法が主流です!
肺胞換気低下がさらに進行すると”シャント”を呈します!!
シャント

この単語だけではどんな状態か全く想像できないです…
心臓から拍出された血液が肺胞気に接触せず(酸素化されず)通過する状態
- 血ガス検査においては”FShunt”という項目があり、その数値で判別できる
- 基準値は4~10%(0.04~0.10)
- 例:0.1は静脈血の10%が肺胞で酸素化されずに肺を通過してしまっているということ
”シャント”は先ほどの換気血流不均衡がさらに進行した病態であるので
原因疾患や基本的な対応は先ほどと変わりません!!

FShuntとその他の血ガスデータを参考にして治療が奏功しているのかどうかをチェックした上で介入を検討していく必要がありそうだね!!
最後は”拡散障害”についてです!!
拡散障害

拡散障害について下記にまとめてみました!!
拡散能(肺胞から肺毛細血管に拡散=ガス交換能力)の障害
- 拡散に影響する因子は大きく分けて5つ!
①拡散面積(肺胞や毛細血管の面積)
②拡散距離(肺胞や毛細血管膜の厚さ)
③肺毛細血管血液量
④血液ヘモグロビン濃度
⑤換気血流比 - 上記の因子に関連した疾患によって生じる
①無気肺、COPD、肺切除など
②間質性肺炎、肺水腫、ALI・ARDSなど
③肺塞栓、肺動脈狭窄・閉塞など
④貧血
⑤上述参照 - 安静時においては低酸素血症になりにくいが、運動によって低酸素血症になる
- 肺胞低換気が生じていなければPaCO2は上昇しない
- 酸素吸入によってPaO2は容易に上昇し改善しやすい

結局は間質性肺炎のように3つ全ての因子に関係してくるような病態もあるってことですね…

そうだね!!
重要なのは原疾患や肺の画像などの情報を自分で統合してどの要因が最も影響を及ぼしているのかを考えることかな!
【Ⅱ型呼吸不全の原因!】肺胞低換気とは?

次はⅡ型呼吸不全の原因である”肺胞低換気”について!!
先ほども言いましたが、Ⅱ型呼吸不全を簡単に説明すると…
酸素を取り込めない+二酸化炭素を吐き出せない=換気障害
このような状態です!!
それを踏まえて肺胞低換気についてまとめていきましょう!!
肺胞まで空気が十分に行き届いていない状態
- 呼吸運動の低下や気道抵抗の上昇による死腔換気量の増大が大きな要因
- 血ガスにおいてPaO2以外の項目にも変化が生じる!
PaCO2上昇
PaO2低下
pH低下(呼吸性アシドーシス)
重炭酸(HCO3-)の上昇(代償性) - 原因は様々
呼吸中枢の抑制・障害(薬品による抑制・脳卒中による脳幹へのダメージetc)
中枢気道の狭窄・閉塞(腫瘍や異物)
末梢気道の狭窄・閉塞(COPDや気管支喘息などの慢性肺疾患)
神経筋疾患による呼吸筋障害
胸郭形態の異常(側弯・肥満etc) - 主な呼吸管理法は”人工呼吸器”による補助換気療法!!
- 慢性Ⅱ型肺疾患患者への酸素の過剰投与はCO2ナルコーシスの可能性が!
このボックスに書かれている内容でポイントとして覚えておいて欲しいことは…
Ⅱ型呼吸不全においてはPaO2以外の血ガス項目に異常が起きる!
こちらを覚えておきましょう!!
重炭酸イオンについての詳細はこちらの記事で確認してください!
まとめ
いかがだったでしょうか?
この記事を読んで”Ⅰ型呼吸不全”と”Ⅱ型呼吸不全”を簡単に説明できるようになったでしょうか?
さらに詳細に調べていきたい方はご自身でも調べてみても良いかもしれません!!
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参考図書はこちら!!
血ガスを基礎から学びたい人にはおすすめの一冊!!
挿入画も多いため読むのが苦になりにくいです!!
応用的なものはあまり載っていないため慣れてきたら下の図書などで補足していくといいと思います。
こちらの書籍もおすすめ!!
血ガスの基本事項から解釈の仕方、症例提示までありより血ガスについて知れる内容になっています!!
上の書籍と比べると少し文字量が多いかな〜とは思いますが、一冊でより深く血ガスについて知りたいのであればこちらの書籍を勧めます!
上の書籍の続編です!!
より血ガスについて掘り下げられた内容になっています!
個人的には上の書籍を読んでみて”合う人”は買ってみてもいいかも知れません!
上の書籍だけでもリハビリとしては十分な知識を得られることができます!!
この2つの呼吸不全について違いはわかるかな?