【末梢神経損傷とは?】治療法やリハビリテーションの介入方法まとめ!

末梢神経損傷とは 種類 治療法 リハビリ

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はじめに

おばんです!

今回は、先日かなり久しぶりに末梢神経損傷の方を担当したこともあり、自身の知識の再確認や備忘録も兼ねて”末梢神経損傷”のことについてまとめていこうと思います!

皆さんは末梢神経損傷の方を担当した事はありますか??

多くの方は”末梢神経障害”のほうが関わりが多いのではないでしょうか?

末梢神経障害の場合はその原因は多岐に及び、神経・がん・内部疾患と様々な分野で発表されています。

先日、投稿した糖尿病の記事においても登場しました。

今回は、主に内科的な理由ではなく、外傷などの外的な要因によって障害された”末梢神経損傷”についてですが、その神経の損傷によって生じる症状は末梢神経障害も同様ですので一部参考になるかもしれません。

では、まとめていきましょう!!

末梢神経とは?

まず、皆さん分かるかもしれませんが、末梢神経について簡単に説明します

いわゆる”神経系”といわれるものは2種類に分かれます

中枢神経

大脳、小脳、脳幹(間脳、中脳、橋、延髄)、脊髄

末梢神経

脳神経(嗅・視・動眼・滑車etc)、脊髄神経

中枢神経と末梢神経の違いがわかったところで、次はその種類や原因について調べていきましょう!

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末梢神経損傷の原因と種類

末梢神経損傷は様々な外傷によって生じます。

  • 骨折
  • 切傷
  • 牽引による引き抜き
  • 絞扼(ガングリオン・外傷後の軟部組織の癒着によるものなど)
  • 打撲

他には、

  • 電撃損傷
  • 薬物による化学的な損傷
  • 放射線障害
  • 手術中のミスで誤って神経を切ってしまったなど(医原性末梢神経損傷)
  • 分娩マヒ(お子さんの方ですよ!!)

このような原因があります

次は末梢神経損傷の種類についてとその神経領域ごとに簡単な症状をまとめます。

腕神経叢損傷

主に交通事故(バイク事故に多い)や分娩時の牽引損傷による発症が多いです。

外傷性腕神経叢麻痺と分娩麻痺とに分けられます。

分娩麻痺(乳児)の場合は、生後3~4ヶ月程度までに改善してくることが多いようです。

腕神経叢とは、頸髄から胸髄(C5~Th1)にかけて出ている5本の神経が叢(くさむら)のように複雑に交叉している部分を指します。

腕神経叢損傷 腕神経叢とは

                  

損傷している神経の数や損傷の程度などによって神経回復の予後予測を行います。

予後予測は麻痺の型と損傷の程度によって検討していきます。

  • 麻痺の型

腕神経叢損傷の麻痺の型には全型、上位型、下位型の3型があります。 

全型

第5頚髄神経根から第1胸髄神経根(C5〜Th1)が全て麻痺する型

部分回復すると、下位型麻痺へ移行する

上位型(Erb麻痺)

腕神経叢神経根の上位神経根(C 5~C7)に損傷を受けた場合の型

下位型(Klumke麻痺)

腕神経叢神経根の下位神経根(C8~Th1)に損傷を受けた場合の型

次は損傷の程度について!

  • 損傷の程度

Parryは損傷の部位によって以下に分類しました!

                  

  • 引き抜き損傷
  • 断裂
  • 軸索損傷
  • 神経虚脱

これらについては下の方で末梢神経損傷の重症度について紹介しています!

腕神経叢損傷の予後予測において最も重要なことは、神経が脊髄から引き抜かれていないかどうかがポイントになります。

橈骨神経損傷

主に切創や上腕骨骨折、圧迫などによる損傷が多いです。

少しムーディ(死語か)な原因として

Saturday night paralysis(腕枕による圧迫損傷)

lover’s paralysis(ベンチの角などで圧迫され損傷)

橈骨神経麻痺 lover’s paralysis

これらは結構身に覚えがある方がいるかもですね!

橈骨神経損傷は

神経が肘関節よりも中枢側で損傷するかどうかで2種類に分別されます。

  • 肘関節よりも中枢側→高位神経麻痺
  • 肘関節よりも末梢側→下位神経麻痺

高位か下位かで、生じる症状が違ってきます

高位神経麻痺

下垂手

橈骨神経麻痺 下垂手

下位神経麻痺(後骨間神経麻痺)

下垂指(手関節の伸展は可能だが、MP関節の伸展が不可)

小児における上腕骨顆上骨折が橈骨神経を損傷させる頻度が最も高い要因のようですが、

一般的にその場合の予後は良好で、6ヶ月以内に回復するとされています。

The assessment and treatment of nerve dysfunction after trauma around the elbow. Ristic S et al
Nerve injuries in supracondylar fractures of the humerus in children: Is nerve exploration indicated? J Pediatr Orthop.    Khademolhosseini M et al

一方で、切創などの神経断裂の場合は、骨折例と比較すると回復は遅く、軽度の麻痺が残存する場合もあるようです。

高位橈骨神経麻痺例に対する理学療法   加藤ら

正中神経損傷

正中神経損傷も切創や上腕骨顆上骨折などで引き起こされます。

また、

手関節掌側の真ん中くらいにある手根管の中で正中神経が圧迫されて起こる

手根管症候群

と呼ばれるものもあります。

正中神経損傷の部位は3つに分けられます。

高位

円回内筋へ分枝を与える部より近位側で損傷されたもの

中位

円回内筋分枝部より長拇指屈筋分枝部までの間

下位

長拇指屈筋分枝部より遠位側で損傷されたもの

頻度としては、低位の損傷が多いようです。

手関節骨折の場合、下記の尺骨神経と同時に損傷する場合もあります。

主な症状ですが

高位の症状

母指から環指・母指側の2分の1までの掌側の感覚障害

手関節屈曲・手指屈曲

母指球の萎縮(猿手)

中位の症状

母指~環指1/2の感覚障害と母指球筋萎縮

低位(前骨間神経)の症状

母指・示指の第一関節屈曲不可、感覚障害はなし

前骨間神経においては有名な検査があります

陽性の場合は母指と示指で丸を作らせると母指と示指の第1(DIP)関節の過伸展がおき、涙のしずくに似た形になります!

→涙のしずくサイン:tear drop 徴候

前骨間神経麻痺 涙のしずく徴候

尺骨神経損傷

 骨折や挫傷、圧迫などで損傷されます。圧迫に関しては、”肘部管症候群  ギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)”が有名ですね。

肘部管症候群ははるか昔にファニーボーンで一世を風靡しましたよね笑笑

肘部管:肘関節の内側の骨のくぼみである尺骨神経溝とそのくぼみを覆う靭帯で構成される

ギヨン管:手関節部の豆状骨と有鉤骨鉤の間にある骨線維性トンネル

尺骨神経の損傷部位は正中神経と同様で3つに区分されます。

高位

尺側手根屈筋の分枝部より近位側

中位

尺側手根屈筋の分枝部と深指屈筋の分枝部の間まで

低位

さらに遠位側において損傷されたもの

主な症状は、

  • 母指球以外の手内筋の萎縮
  • 鷲手変形(環指・小指のMP関節過伸展と第1・2関節屈曲位)
鷲手

有名な検査として、

Froment(フローマン)サインがあります。

陽性の場合は、両手(母指と示指)で紙をつまみ、反対方向に引っ張る時に母指の第1関節が曲がります

ここからは下肢の末梢神経損傷についてですね!!

腓骨神経損傷

腓骨頭骨折やその他の外傷、装具などの圧迫によって損傷されます。

主な症状としては

  • 下腿外側~足背・第5趾以外の足趾背側の感覚障害
  • 足関節および足趾の背屈不能(下垂足:drop foot)

脛骨神経損傷

脛骨神経は身体の深部を通っているため、外傷による損傷を受けることはほとんどありません。

相当強い力学的なエネルギーが加わり、大腿骨の顆部や脛骨の粉砕骨折が起こった場合に可能性がある程度です。

あとは、医原生事故による切断くらいかと思います。

脛骨神経の損傷によって、

腓腹筋,ヒラメ筋の麻痺が出現し、

足関節の底屈,内反,足趾の屈曲が困難になります

さらに

この神経には肘部管症候群や手根管症候群と肩を並べるほど有名な絞扼性障害があります。

足根管症候群”という名前で

足根管という、脛骨内果と踵骨とを結ぶ部分で後脛骨神経が絞扼されて起こります。

症状としては

  • 足底から足指にかけての痛みや痺れ

 

を認めます!

さあ、いかがだったでしょうか?

簡単に損傷の主な原因や症状などについて簡単にまとめましたが、量が多くて若干後悔してきています笑

次はどのように医師が診断していくかについてまとめていきます!

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末梢神経損傷の診断は?

では、どのように診断されていくのかについてまとめます!

まず、上記で説明したような症状があるかを確認します!!

その症状に当てはまれば診断は可能のようです。

さらにそこから”確定診断”を行う場合には

  • レントゲン検査
  • MRI検査
  • 筋電図検査
  • 末梢神経伝導速度検査
  • 脊髄造影
  • 神経幹刺激試験

などの検査が行われます!

この全てを行うわけではなく、各末梢神経ごとや症状によっても医師の方々は使い分けているようです。

末梢神経損傷の重症度分類は?

次は重症度についてですね!!

これと下で書いている治療法の違いで機能予後の予測がある程度可能になるので、

これらの情報はリハビリテーションを介入する上での目標設定にはなくてはなりません!

ここは絶対覚えてからこの記事を閉じてほしい笑

まずは、重症度分類からいきましょう!

Seddon 分類

臨床所見から急性期の末梢神経損傷を 3つに分類しています。

  • 一過性神経伝導障害(neurapraxia)

軸索の断裂を伴わない一過性の伝導障害

髄鞘の損傷による一過的な障害です。

通常、髄鞘は破損しても修復されます。

原則として数日から数週間,遅くとも通常 12 週間以内に完全回復するといわれています

  • 軸索断裂(axonotmesis)

名前の通り、軸索の断裂が起こる

その周りを囲っているシュワン細胞と神経周膜の連続性は保たれる

軸索はワーラー変性をきたし、Tinel 徴候が出現

内膜は損傷されていないため神経伝導は改善していく

1 週後くらいから0.5 ~ 2 mm/日の速度で Tinel徴候が遠位に進行すれば順調な再生と考えられる

Tinel徴候とは?

末梢神経損傷が回復途上にあることを示す徴候と定義されます。第一次世界大戦中に銃創後の末梢神経損傷手術例について初めて報告がされたそうです。フランスの神経学者Jules Tinelからこの名前がとられたようです。

この徴候は、傷害or圧迫された神経を指で軽く叩いた直後に局所的(神経線維の再生部位に一致)な異常感覚(しびれ感)を生じます

  • 神経断裂(neurotmesis)

軸索・神経上膜が断裂

Tinel徴候は出現する

自然回復はしないので神経縫合術などの手術適応になる

神経過誤支配(misdirection)が生じる可能性がある

神経過誤支配とは?

簡単にいうと、神経が誤って本来繋がるべき神経に再生しないことです。

軸索を覆っているSchwan管が断裂している場合から起こります。

  • 再生した運動神経の軸索が感覚神経のSchwann管、 再生した感覚神経が運動神経のSchwann 管に再生する場合(こうなると機能回復はみられなくなる)
  • 再生した運動神経の軸索が本来と異なる筋に再生する場合
  • 再生した感覚神経の軸索が本来と異なる感覚神経に再生する場合

次はSaddon分類をさらに細かく分けた分類であるSunderland分類について!

Sunderland 分類

Sunderlandは急性末梢神経損傷をさらに詳細に分類しました。

                       

Seddon分類 Sunderland分類 違い
金谷 文則 神経損傷の治療より一部改変し引用

 

  • I度損傷 

Seddon分類:一過性神経伝導障害(neurapraxia)と同様 

  • II度損傷

Seddon分類:軸索断裂(axonotmesis)と同様

  • III度損傷 

軸索と神経内膜が断裂、外見上の神経の連続性は保たれる

神経縫合による手術は必要なし

Schwann管が断裂しているため、神経過誤支配を生じる可能性がある

 機能回復は不完全な場合が多い

  • IV度損傷

神経上膜は断裂しておらず神経の連続性は保たれる

神経が断たれた間に瘢痕組織があるため自然回復が期待できない

神経縫合を行っても機能回復は不完全な場合が多い

V度損傷

Seddon分類:神経断裂(neurtomesis)と同様

神経上膜まで断裂し神経の連続性は断たれてしまった状態

IV度損傷と同様に自然回復は期待できない

→神経移植が必要になる場合がある

近年になって、Mackinnonらによって6型に分類されています。

  • VI度損傷

 I~V度損傷の神経束が混在した状態

重症度分類は以上になっています!

末梢神経損傷に対する治療とは??

次は末梢神経損傷に対する治療法がどんなものがあるかですね。

大別すると

  • 保存療法
  • 手術療法

の2択のようです!

保存療法は基本的に”絞扼性神経障害”に用いられることが多いようです。

主な保存療法はこちら!!

  • 安静
  • 温熱
  • 炎症を抑制するためNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)=痛み止めの使用
  • 安楽肢位の指導

手術療法に関しては4種類あります。

  • 神経剥離術

主に上で紹介している手根管症候群・骨折や外傷による癒着などの絞扼性障害に対する

術式です。

簡単に説明すると、神経を圧迫しているor神経に癒着している軟部組織を剥離します!!

  • 神経縫合術

そのままの意味ですね!!連続性が絶たれた神経を縫合してつなぎ合わせる手術です。

  • 神経移植術

これもそのまま!!

絶たれた神経とは別の神経の枝を採取してきてつなぎ合わせます。

  • 腱移行術

損傷された領域とは違う神経支配である筋や腱を付着部で切離し、 切離した部分を可動させたい部位に縫い付けて新しい機能を獲得する方法です。

以上、手術方法について簡単にまとめました。

手術適応”に関しては、

Sunderland 分類において

第 3 度損傷まで→神経剝離術

第 4度以上→神経縫合術or神経移植術

堀内行雄ら:神経剥離術 整形・災害外科 51:609―616, 2008より引用

腱移行術の場合は、

  • 神経に対する手術の適応でない場合(神経移植術は損傷後6ヶ月以内でないと適応がなくなってしまう)
  • 手術をしても大きな改善を見込めない場合

に行うようです。

術後の機能予後について28例の末梢神経損傷患者に対して調査した研究では(※腕神経叢、正中神経、橈骨神経、尺骨神経を対象)

術後平均 13 カ月の経過での結果が

完治 9 例(完治:損傷神経の支配領域の筋力が MMT4 以上に回復,または知覚検査で静的2点識別覚が10mm 以下に回復したもの)

改善17例(改善:改善したが完治に至らないもの)

不変2例(不変:術前と変わらないもの)

術式別に完治が何人いたかというと…

神経剥離術:14例中6例が完治

神経縫合術:10例中3例が完治

神経移植術:完治なし

外傷性末梢神経損傷―職業災害としての上肢外傷
信田ら

上の資料によると、

移植術の場合は結果としてはあまり芳しい結果にならなかったようです。

あまり、日本において術後の文献がなかったので海外ではどうかと調べてみました。

海外で有名なものに、Mackinnon SE et al が40年間で行った大規模な比較研究があります。

132人の正中神経損傷患者のうち移植術を受けた

65人(49%)が良好(M4,S3+~M3,S3)~優れた(M5,S4)結果

14人(11%)がまずまず(M2,S2-2+)な結果

53人(40%)が悪い(M0-1,S0-1)結果

を示した

その中で、結果が芳しくなかった症例の特長として

①54歳以上

②傷害のレベルが肘の近位部 

③移植片の長さが7 cmを超える

④手術が23か月以上遅れた

Surgery of the Peripheral Nerve. New York: Thieme Medical Publishers, 1988, 115-129

Sunderlandは40年間の神経再建の結果に関して、このようにまとめています。

①一般的に若い患者は高齢の患者よりも結果が優れている

②早期の修復は修復が遅れてしまったものよりも優れている

③単機能神経の修復は、混合神経修復よりも優れている

④遠位修復は近位修復よりも優れている

⑤短い神経移植は長い神経移植よりも優れている

Nerve Injuries and Their Repair: A Critical Appraisal. New York: Churchill Livingstone, 1991.

これらのまとめから、移植術であっても年齢や傷害のレベル、手術のタイミングなどの様々な因子がその後の機能予後に影響していることが分かります。

また後で、ご自身でも調べてみてください。

末梢神経損傷に対するリハビリテーションとは?

最後に末梢神経損傷に対するリハビリテーションにおいて簡単にまとめていきましょう!!

以下は

末梢神経障害のリハビリテーション  眞 野 行 生

Peripheral Nerve Injury and Repair Steve K.Lee  et al

運動障害以外の疾患に対するエビデンスに基づいた電気刺激療法 木村浩彰ら 

などの情報をもとにしてまとめました!

関節可動域の維持(関節可動域練習・装具療法)

末梢神経の損傷によって支配されている筋の萎縮が進み不動化すること筋の繊維化が進み、関節可動域制限が生じます。

特に急性期においては、神経が再生して回復してくるまでの期間に

関節の拘縮を起こさないようにすることが非常に大切です。

ちなみに末梢神経損傷で関節可動域制限が最も引き起こしやすいのは, 足関節(背屈制限)です。

末梢神経損傷によって足関節が不動となりますが、

臥位・立位にかかわらず常に底屈位になりやすいためです。(神経損傷の急性期や術後においては神経の保護のために荷重制限を設けられる場合が多いため)

関節可動域の維持には

可動域練習が有効とされていますが

足関節に関しては

荷重がかけられるような状態であれば、立位で傾斜面上の台などを利用した自重負荷による伸長も有効です!

自主練習としても指導が可能ですしね!!

また、リハビリ以外では、

スプリント(固定装具)を使用することで、

任意の方向に関節が屈曲・伸展することを防ぐこともできます。

足関節に限ってですが、自身の施設にない方の場合は既製品のオルトップや下肢装具などで代用できるものがあればそういうものでもいいかもしれません。

筋力強化練習

筋力強化練習も必要です!

ただ、急性期は神経を保護する必要もありますから、そういった意味で負荷量を調整する必要があります。

医師と相談しながら負荷量を調整するようにしましょう!

それを踏まえた上であれば負荷量の調整方法は通常の筋力強化練習と同様でいいと思われます。漸増抵抗運動とかですね!

(ポリオの後遺症やギランバレー症候群などの”末梢神経障害”の場合はoverwork weaknessに注意しましょう! )

バイオフィードバックによる筋や感覚の再教育

バイオフィードバックは、感覚の入力を提供して、運動繊維の再教育を促進します

この機序について簡単に説明すると、

介入初期においては、感覚の再教育が神経過誤支配による誤局在と過敏症を軽減し、圧力や振動などの触覚のサブモダリティを再編成するといわれています。

ところで、”サブモダリティ”とは?(なんかスピリチュアルな感じがして抵抗感が笑)

モダリティーは五感のことを指します。そしてそれに付随したイメージを”サブ”モダリティーといいます。

今回のことで説明すると

モダリティ:「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」

サブモダリティ:圧力(強 ⇄ 弱)、温度(熱 ⇄ 冷)、触られている範囲(広い ⇄ 狭い)、 重さ(重い ⇄ 軽い) など

つまり、触覚のサブモダリティとは、触覚の質的なところを指します。

私たちが、これをうまく利用すれば、容器に名前を書いていなくても砂糖と塩を手に感じる粒子の違いだけで使い分けることが可能です。

神経損傷においては、感覚障害に対して、視覚などのその他のモダリティを利用しながら感覚のサブモダリティの再編成を行なっていきます。

荷重練習とかはその一般的な例ですね。

介入後期においては、同じように視覚フィードバック(開眼・閉眼)を利用して二点識別感覚、皮膚書字覚、立体認知、二点同時刺激識別感覚識などの回復を目指します。

電気刺激療法

電気刺激は筋萎縮や浮腫の軽減、筋力を増強する可能性があることや長期的にみて本人の心理的な負担などを軽減するといわれていますが、現状としては、これらの効果について明確に立証はされていないようです

萎縮を予防するという点においては治療的電気刺激(therapeutic electrical stimulation;TES )が該当します。末梢神経損傷による麻痺筋の筋収縮を誘発し筋萎縮を予防するというものですが、

電気刺激療法は禁忌が多いので、十分検討しながら適用するか判断しましょう。

  • 心臓ペースメーカーなど体内埋め込み型電子機器装着者
  • 心臓病の病歴がある患者の胸部
  • 知覚障害・酒気帯び
  • 動静脈の血栓症,血栓性静脈炎
  • 悪性腫瘍 脳血管障害やてんかん発作の病歴をもつ頭蓋顔面領域
  • 妊婦の腹部,腰仙部,骨盤領域
  • 筋収縮が禁忌となる病態(腹部・鼠 径ヘルニアなど)
  • 目・皮膚が過敏,損傷,病変がある領域や急性損傷や炎症のある部位
  • 頸動脈領域
  • 出血や血腫が起こりやすい組織または月経時の腹部

ここから判断するに、外傷による神経損傷の場合は創部の状態にもよって適応の可否が分かれますので、基本的には(当たり前かもですが)医師と相談しながらの方がいいかと思います。

温熱療法

電気刺激療法に並んで、温熱療法も用いられることがあります。

骨や筋肉と同様に温熱療法による神経組織の再生促通の可能性について示唆されています。

超音波療法は物理療法の中では、作用機序がいまだ解明されていないものの、皮膚修復に最も効果のある物理療法といわれています。

篠原英記 皮膚組織修復における物理刺激の有効性

上記の引用は余談です。

末梢神経に対する温熱療法は以下の二つです

  • 超音波
  • 極超短波

エビデンスについては不十分ではあるものの、

超音波療法については

プラセボ群を比較して末梢神経損傷に対する超音波療法による介入は有効である

手根管症候群に対する超音波療法 Cochrane Systematic Review – Intervention Version published: 28 March 2013
坐骨神経損傷の超音波療法による神経再生   豊田ら

このようにシステマティックレビューで掲載されてもいます

これについても実施の是非や出力の調整については医師と相談しながらの方がいいかと思われます!

以上が比較的メジャーな介入方法でした!!

この記事では、詳細に負荷量などの設定などについての説明はしていませんので、実際に使いたい場合は先行文献を調べるなどして患者さんに適用するようにしてみましょう!!

文献の調べ方がわからない方はこちら!!

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、自身の勉強のためという意味合いが強かったですが、同じような症例を担当した方の助けになれたらいいなと思います。

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