はじめに
本日は頭頂葉の機能について勉強していきましょう。
頭頂葉の障害において、臨床現場ではしばしば半側空間無視や失認、失行などをはじめとした様々な病態を引き起こし、自宅復帰や復職への重大な阻害因子となります。
理学療法においては特に半側空間無視や身体失認などの空間的な認識の障害により、リハビリの介入自体に難渋するケースがありますので、その症状の出現の可能性を介入前から把握しておくことは非常に重要になります。
それではやってきましょう!!
頭頂葉の基本的な役割ってなに?
まずは頭頂葉自体の基本的な役割について、発生学的なことも簡単に取り入れながら説明しますね。
頭頂葉は、もともと外界の情報を受けてその空間内における自己と他者や物体を認識し、運動へと結びつける働きがありました。
進化の過程で、手による捕食や調理を行うようになり、立体視と手の巧緻運動が強化され、さらなる頭頂葉の発達に繋がったんだそうです。
その後、左下頭頂葉が言語機能を担うようになってからは注意機能や視空間認知の機能などが右側へ偏在するようになりました。
こういった背景があり、左右の違いで出現する高次機能障害にも違いが現れます。
頭頂葉は2つに分けられる!【上頭頂小葉と下頭頂小葉】
頭頂葉は上にも書いている通り、上頭頂小葉と下頭頂小葉の2つに分けられています。
脳画像上においては、、、
中心後溝より後方の領域が頭頂連合野で、それを頭頂間溝を境にして上頭頂小葉と下頭頂小葉に分けられています。
脳画像で頭頂葉を探す方法はこれを参考にしてみてください!
頭頂連合野は前頭葉は背外側部と強く連携し、視覚と体性感覚の入力を統合して次の運動につなげる働きがあります。
下頭頂小葉はそこからさらに角回と縁上回の2つに分けられます。
この2つの脳回によっても出現する障害は違ってきまして大まかに分けると、、、
縁上回・・・音韻処理(あ→亜、a、アに結びつける、文字を認識し意味や視覚的なイメージに繋げられる)
角回・・・喚語(言葉を言い換える)や計算
このようになってきますが、詳しい病巣と障害については下で話します。
代表的な臨床症状と責任病巣について
それでは、病巣と出現する症状について学びましょう。
自分の身体と周りの空間を認識できない!?【右頭頂葉】
序盤でも話しましたが、右側には言語機能に追いやられた、視空間認知の機能が集中しています。
そのため、僕らは触覚や圧覚といった体性感覚や視覚などの特殊感覚など様々な感覚器からの情報を統合して自分とその他を区別しその距離や位置関係を把握しています。
右側が障害されるとそれに関連した障害が出現します。
左半側空間無視(自己の身体の外側の無視)
右角回が責任病巣。関連がある大脳白質や被殻、視床などを含めた広い損傷例に現れやすいと言われています。
左半側身体失認(自己の身体の内側の無視)
基本的には責任病巣は半側空間無視と同様です。
右側前運動野、前頭前野と頭頂葉との回路を重視する報告もあります。(Vallar G,Ronchi Rら)
構成失行
幾重学図形の模写や積み木の組み立てなどの構成能力の障害。左側でも出現することはありますが、右半球の方が症状が顕著にでやすいと言われています。
着衣失行
運動麻痺や感覚障害がないのに衣服を着ることができない、もしくは誤った着方をしてしまいます。
地誌的障害
広い地理的空間の中で自己の位置を客観的に認知することができません。
右頭頂葉に加えて、記憶に関連する左右の海馬や海馬傍回、舌状回にも責任病巣があります。
病識低下
右側頭頂葉以上の責任病巣は特定されていませんが、前頭葉(両側損傷)でもみられるようです。これに関しては臨床症状で判断する必要があります。
得られた情報を動作や言葉に変換できない!?【左頭頂葉】
左側には、言語機能をはじめ、視覚や聴覚からの情報を言葉や文字、運動に変換する機能が集中しています。そのため左側が障害されると、与えられた情報をうまく活用できなくなります。
観念失行
道具の使用ができなくなります(自動的操作・意図的操作どちらも)。模倣はできます。角回が主な責任病巣。
観念運動失行
指示された動きの内容を自身の運動へ変換することができない。また、模倣もできない。自分が無意識に行おうとした動作(自動的動作)は可能な場合がある。責任病巣は下頭頂葉から前頭葉へ向かう領域。
失読失書
文字を音韻へ変換したり、音韻から書字運動覚への変換に障害が生じます。
責任病巣は左角回。
ゲルストマン症候群
下の症状のことを指します。
- 失算・・・数字の概念を失う
- 失書・・・字が書けない
- 左右失認・・・左右の区別がつかない
- 手指失認・・・各指が何指か分からない
責任病巣は角回・縁上回
伝導失語
復唱障害に加え、それ以外の発話や書字でも音韻性錯語(テレビをケレビという。目標語の一部を間違う)や音韻性錯書が出現します。単語の理解障害や喚語困難(言うべき言葉が出てこない)は認めません。
責任病巣は左上側頭回(大脳基底核・視床レベル中心後回の後ろ)から縁上回、中心後回とその皮質下(側脳室三角部周囲白質中心)。
超皮質性感覚失語
復唱は良好、喚語困難、単語の理解障害を呈します。
病巣は左縁上回、角回、側頭葉の中下部であることが多いです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
頭頂葉の発達的な背景も頭に入れると少し左右の病変による違いも理解しやすいのではないでしょうか!
それではまとめです!!!
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