はじめに
おばんです!!
ゆーだいです!
今回から運動学習について学んでいこうと思います!!
”運動学習”
この名前はリハビリはもちろんスポーツや教育の現場で働く方々には
比較的馴染みのある単語だと思います!
え、そうなの?と思っている方もいるかもしれませんが
何かを他人に指導する立場の方々は
常に指導される側に”運動学習”を促すための何かをしています!!
僕ら理学療法士も患者さんとのリハビリでは
常に運動学習を促すための”テクニック”を多用していますよ?
”運動学習”には
- 学習の段階
- 学習法
- 促通戦略
- 練習プログラムなど
このようにたくさんの要素があり
そのたくさんの要素で”運動学習”は形成されているので、
学習者の運動学習を効率よく促すにはこれらをよく理解しておく必要があります!!
運動学習は脳のある領域を活性化させるとも言われているため
脳卒中リハビリテーションにおいても非常に重要です!
その話についてはこちらの記事で詳しく説明しています!!
今回からの記事を読み進めていけば
自分から狙って患者の効率の良い運動学習を引き出してあげることが可能になります!!
スポーツの指導や子供の教育にも応用できるので最後までぜひ読んでいってください!
// /運動学習の理論

本記事は運動学習の理論からまとめていきたいと思います!!
”理論”と聞くと、すぐに耳を塞ぎたくなるかもしれませんが
分かりやすくまとめていこうと思うのでお付き合いください笑
運動学習は様々な理論を経て、現在に至ります!
一番最初の理論は
S – R 理論という”ある刺激(S)に対して反応(R)が生じる”という非常にシンプルなもの!!
これがどのようにして現在多くの研究がなされるような理論に発展したのかをご覧ください!
階層理論
運動学習で現在用いられている理論になるまで
いくつかの理論の欠点を補いながら徐々に発展していきました
この”階層理論”はその一番最初の理論!

Adams(1971)は
運動スキルの習得には感覚的フィードバックが必要で…
以下の2 つの運動プログラムに基づいて
運動学習が進められることを提唱しました !
記憶痕跡(memory trace)
運動を選択し、開始する機能知覚痕跡(perceptual trace)
運動を比較して、誤差を同定する機能選択・実行された運動は知覚痕跡と照合され
Schmidt RA: A Schema Theory of Discrete Motor Skill Learning. Psycholog Rev 82: 225-260, 1975
学習者自身が感じ取った”誤差”
指導者から教示された”結果の知識(knowledge of results; KR)”
これらに基づいて知覚痕跡を修正する
しかし…
- 新しい運動プログラムの学習過程を説明できない
- 運動プログラムを脳に記憶する必要があるのではないか
これらの理由からこの理論には問題点が残りました。
そこで次に登場したのがこちら!
閉ループ理論

この”閉ループ理論”もAdams(1971)が提唱しました!
この理論は、先ほどの問題点を克服するような形で発表されています
運動を制御する対象に関する情報
つまり…
- 固有受容感覚
- 視覚
- 聴覚
- 触覚など
これら複数の感覚から形成される”結果の知識(knowledge of results; KR)”
その情報を”運動を入力・実行させる側”にフィードバックして
記憶にある基準値と比較して運動の指令を補正させる方法です!!
つまり、”閉ループ”による制御は
制御対象に関する情報を入力側にフィードバックしてループを形成するという意味です!!
しかし、
この理論だと
フィードバック機能を利用できない
素早い運動の習得を説明することはできませんでした。
素早い運動(運動開始~終了まで200msec以内)のことを”ballistic movement ”と言います。
ちなみにフィードバックするためには数10~100msec以下程度の速度までと言われています!!
歩行のような運動の場合はフィードバックだけでは制御が難しいよね!ってことです
スキーマ理論

閉回路の次に登場するのがこちらの理論!
Schmidt(1975)がこの理論を提唱しました!
これは今までの理論の欠点を補い発展させた運動学習についての理論です!!
まず、フィードバックのみに頼る閉ループ理論を補うために
開ループ理論を組み込みました!!
フィードバック機構による修正に依存した閉ループ理論に対し、
Schmidt RA: Motor Learning & Performance.
開ループ理論ではフィードバックを活用する時間はない。
そのため、運動は事前に計画され、感覚情報の関与を最小にして実行される
開ループというのは…
フィードバックによる”ループを形成しないで”、
期待する結果を予測し事前に運動の指令を出す
このように考えていただければいいと思います!!
開ループ理論だけでも
フィードバックがなく、予期できない事態に陥った際の対応が難しいため
互いが互いを補い合っているイメージですね!
ですが、この理論はそれだけではありません
これからスキーマ理論に重要な2つの要素についてお伝えします!!
スキーマとは?

この理論には…
”スキーマ”
この概念が存在します!
このスキーマを理論に取り入れたことで
開ループ理論では不十分だった
- 新規の運動
- 想定外の事態に対する対応
これを行うことが可能になります!!
詳細はこれから書きますね!
スキーマとは…
運動の経験に基づいて変容する記憶のコンポーネント(構成要素)
つまりその動作を行なったことによって得た様々な記憶のことを指します!
具体的には…
- 運動指令
- 運動を行うために用いた運動パラメータ(タイミングや強度)
- 運動による結果
これらは”記憶の構成要素”としてスキーマに保存されます!!
スキーマには…
- 運動反応スキーマ
- 再生スキーマ
- 再認スキーマ
3種類の名称が付けられています!
それぞれ、先ほど説明した記憶の構成要素は違います。
それがこちら!!
実行した動作を評織するため以下の情報で形成される
- 初期条件
- 感覚経過:決定したやり方で動作を遂行した時に得られる末梢からの感覚FB情報
- 反応結果
再生スキーマ・再認スキーマ共に3つの情報源によって構成されます!!
再生スキーマと再認スキーマからの情報を統合して
その状況に最も適した運動パラメータを共通のプログラムに入力する
運動反応スキーマは
2つのスキーマからの情報を統合し
適切な運動パラメータを作成して
ある運動プログラムに入力します!!
その”あるプログラム”が運動スキーマ理論に重要な要素のもう一つ!!
運動プログラム(GM:generalized motor program;)
一般化運動プログラムとも言います!
Schmidtは
ある動作を様々な条件で行なう時、
それらの動作は条件に応じて異なった反応を示す一方で
同時に共通の要素も含まれていることにも気づきました!!
そして、それらの動作は共通の運動プログラムによって制御されていて
その時の条件に最も適したパラメータを
”運動反応スキーマ”から共通プログラムに入力して遂行されるのではないかと予想しました!
共通プログラムは例えば…
- 歩行プログラム
- 起立プログラム
- 投球プログラム
- シュートプログラムetc
こんな感じで
カテゴリー毎にある共通のプログラムをもとに
様々な運動を可能にしました!
投球プログラムで例えると…
同じ投球動作という共通プログラムの中に
自分と投球する場所までの距離に応じて
✔︎投げる”強さ”
✔︎指を離す”タイミング”
✔︎投球フォーム
などを以下の状況に応じて変化させます!
- 自分の肩の状態
- 天候・土の状態
- 投げた結果(目的に場所に到達したか、ノーバウンド、ワンバウンド)
自分の肩の状態、天候・土の状態=初期情報
山なりに投げないよう遅めに指を離すなどを決定=反応明細
投げている最中の腕や指先・身体全体からのFB=感覚結果
投球がまっすぐ届いたか、ノーバウンドで届いたなど=反応結果
このように
全てのスキーマの構成要素が運動プログラムに情報を入力し
条件に応じた異なった反応(運動の特異化)をするようプログラムを個別化させます
求めていた結果(投球ならノーバウンドでホームベースに投げるなど)に近づきます!
このスキーマ理論の発表をきっかけに
運動学習理論は、
運動指令の書き換えをモデル化する手続きによって発展しました!
そして…
この理論に必要不可欠な
- 感覚情報処理
- 運動記憶保持
これらに関与する脳の研究もどんどん盛んになっていきました!!
// /まとめ
次回は運動学習における”脳の機能”についてまとめていきます!
それでは今回のまとめです!!
- 階層理論は”記憶痕跡”と”知覚痕跡”の2つの機能によって運動学習がすすむ
- 閉ループ理論は運動に関する情報を入力側にFB(ループする)ことで運動学習がすすむ
- 開ループ理論はFBによるループはなく、期待する結果を予測し事前に運動の指令を出す
- 以上の理論の欠点を補ったのがスキーマ理論
- スキーマ理論において”スキーマ”と”一般化運動プログラム”という概念の2つが重要
- 運動反応スキーマ(再生スキーマ・再認スキーマ)から運動プログラムへ入力
- 入力情報によって共通の運動プログラムを変化させ、課題を遂行させる
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運動学習について勉強したい方におすすめの書籍!
記事中にも登場したSchmidt先生の著書!!
和訳されているもの!
文字数が多いですが、理論的な内容以外にも運動パターンなど臨床に活かせる内容は多い!!
個人的にはこちらの方が分かりやすかったです笑
運動学習についての解剖生理を説明されているのと
脳卒中や小脳性の失調、末梢神経障害などなど様々な神経系疾患に対する
具体的な介入方法が記載されています!
”注意”と書いていますが、この書籍は脳卒中系の方に対してのものではありません!
健常者に対する介入について記載されています!!
動作の仕方を決定するため以下の情報で形成される