【リハビリに特化!!】運動学習の理論や知識をリハビリに取り入れよう!文献からも紹介!!

Motor Learning-Rehabilitation

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はじめに

おばんです!!Yu-daiです!

今まで運動学習の理論や脳機能などについて順を追ってまとめてきました!

今回は、

実際の臨床にどのように取り入れていけば良い?

この点についてまとめていけたらなと思っています!!

それでは最後までよろしくお願いします!

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まず運動学習に段階があることを理解しよう!

運動学習には段階があることはご存知でしょうか?

FittsとPosner(1967)が区分しました!

このように区分されています!!

  • 課題を認知する段階(認知段階:cognitive stage)
  • 運動スキルを磨く段階(連合段階:associative stage)
  • 意識せずに運動スキルを再現する段階(自動化段階:autonomous stage) 

まずはこれらの学習段階の違いについて考えていきましょう!!

長谷(2008)はその著書にて

この運動学習の段階から
練習量と課題の達成度との関係を表す学習曲線(learning curve)を作成しました!

それがこちら!! 

長谷公隆:運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践,医歯薬出版,東京,2-58, 2008より一部改変し引用

 

 

一つ一つの専門用語については
各段階ごとのまとめの際に解説していこうと思います!

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認知段階における運動学習では動機づけが重要!!

まずは、認知段階から!

言葉の通り…

課題を認知するためのstageです!!

この段階では、
学習者は課題に取り組みながら、

  • 作業記憶
  • 内的環境(元々の運動技能や身体的状況の変化(麻痺・受傷)etc)
  • 外的環境(動作環境や使用器具)

これらに関する情報を処理!

そして、

課題の目的や難度
運動戦略の方法

これらを意識的・言語的に思考するといわれています!!

この時の運動学習の方法としては

顕在学習(explicit learning) 

この学習法が用いられています!

顕在学習とは…
”意識的な学習”であり
この際、情報収集には以下のものが関与します!!

情報収集・処理には、宣言的記憶やワーキングメモリ(working memory)が動員されて、顕在学習(explicit learning)が 行われる。

長 谷 公 隆 :運動学習理論に基づくリハビリテーション 四條畷学園大学 リハビリテーション学部紀要 第 9 号 2013 

 

顕在学習は、外在的フィードバックにより与えられた顕在知識をもとに、前頭前野でプログラミングされた運動が前補足運動野において時間的統合あるいは分節化され、運動順序のテンプレートが補足運動野において統合される

James Ashe et al:Cortical control of motor sequences Current Opinion in Neurobiology  Volume 16, Issue 2, April 2006, Pages 213-221

宣言的記憶
(=言葉にできる記憶、エピソード記憶や意味記憶のこと長期の記憶保持が可能)

作業記憶(=一時的な情報の保持と処理)

これらに加えて
”外在的フィードバックによる情報”に基づいて学習していきます!!

この外在的FBこそが
僕たちセラピストが”認知段階”の介入において
意識できるポイントの一つとして
挙げられるでしょう!
(あとで説明します!!)

また、

この認知段階においては

”動機づけ”

これが最も重要と言われています!

アメリカの心理学者アブラハム・ハロルド・マズローは

動機づけについてこのように定義しています!

人が一定の方向や目標を目標に向かって行動し,それを維持する働きのこと 

つまり、お金や褒賞、他者からの承認ややりがいなどのことを指します!

動機づけに必要なことをまとめると…

  • 信頼関係を築く(挨拶や言葉遣いetc)
  • 相手の思いを確認する(目標は何か、どうなりたいかetc)
  • 目標を意識させたり未来のイメージを持たせる
  • リフレーミング(否定的な動機づけを肯定的なものに変換し提示する)
  • 褒める(具体的に・成功したらすぐに・成功率も調整も有効)
  • 肯定的な声かけを意識する(~しないでください→×、~するようにしましょう)

認知段階においては

✔︎動機づけ

✔︎外在的フィードバック

これらを中心とした関わり方を学んでいく必要がありそうです!!

認知段階における運動学習を意識した介入方法とは?

それでは認知段階において

  • 動機づけ
  • 外在的フィードバック

これらを意識した介入方法は何かを考えていきましょう!!

動機づけを意識した介入方法

私たちが何か行動をする際、

その時の感情、つまり”動機づけ”に基づいて行動します。

そのため、狙った行動を促進させるためには,
感情にスイッチが入るようなアプローチをしていく必要が!

それではどのようなアプローチ法があるんでしょうか?

先ほどの動機づけのポイントを再確認しましょう!

 

  • 信頼関係を築く(挨拶や言葉遣いetc)
  • 相手の思いを確認する(目標は何か、どうなりたいかetc)
  • 目標を意識させたり未来のイメージを持たせる
  • リフレーミング(否定的な動機づけを肯定的なものに変換し提示する)
  • 褒める(具体的に・成功したらすぐに・成功率の調整も有効)
  • 肯定的な声かけを意識する(~しないでください→×、~するようにしましょう)

これらのほとんどは練習前のコミュニケーションから関わってきますね!

”傾聴”というコミュニケーション技法は知っていますか?

たぶん、学生時代(特に実習前)に学んだと思います
(僕のクラスの場合は担当教員から口すっぱく言われた笑)

”傾聴”の特徴としては2つあります!

✔︎受容:相手の話を受け入れる

✔︎共感:相手の話を聴いてその通りだと思う

まずはこの2つを実践してみてください!

これができれば次のステージ!!

目標は何か

どんな未来にしたいか

マイナスな思考→プラス思考へ転換させて教示

これを練習前の患者さんとの会話の中で考えながら用いてみてください!

課題実施中や実行後の場合は…

  • 褒める
  • 肯定的な声かけをする

これらのテクニックが重要になってきます!

褒めることは”強化学習”をすすめるためにも有効な手段の一つです!

強化学習について詳しく知りたい方はこちらをクリック!

【リハビリで使える!】教師あり学習と教師なし学習、強化学習についての違いを解説!!

それともう一つ重要なのは肯定的な声かけを心がけること!

練習中は、なかなか肯定的な指示が出せない方は多いのではないでしょうか?

「~しないでください」

「~してはダメです」

そうではなく、

「~しましょう」

このように伝えてみてはどうでしょうか?

歩行の場面であれば…

「下を向かないでください」

「前を向いて歩きましょう」

場合によっては

「何が見えますか?」

というように
質問形式に変えても良いと思います!!

また、動機づけには難易度調整も必要!

認知段階においては、基準課題(criterion task)に必要な運動課題を、70%程度の成功体験が得られる難度に設定し、課題に集中しやすい環境のもとで反復する一定練習(constant practice)から導入するのが一般的である。

長 谷 公 隆 :四條畷学園大学 リハビリテーション学部紀要 第 9 号 2013

このように言われています!!

認知段階において
難易度設定は成功率70%が良いとのことですね!

難しすぎる課題はかえって”負の強化学習”を進めてしまうので
そういった観点からも難易度設定は非常に重要!

強化学習においては”無誤学習”といった考え方もあります!

担当患者さんの能力や精神状態
リハビリ環境

これらに応じた調整をしていくのが良いと思います!

  • 椅子の高さを変える
  • 支持物を変える
  • 装具を変える
  • 課題全体ではなく何相かに分けて部分的に行う
  • 類似課題を用いる(目的の動作に似た動作)
  • ヒントの量を調整する

例を挙げたらキリがないです!
自分でも考えてみてみましょう!!

外在的フィードバックを意識した介入

次は外在的フィードバックを意識した介入方法についてです!

外在的 FB は、学習対象を焦点化することで学習課題の目的を変える力を有する。

 長 谷 公 隆 :四條畷学園大学 リハビリテーション学部紀要 第 9 号 2013

外在的FBによって学習対象を焦点化することは課題の目的自体も変えてしまうんですね!

 

学習対象の焦点化は上で説明した動機づけにおいても重要です!!

”動機づけ”の5ステップアプローチ

動機づけには様々な段階がありますが5つに分かれています!

第1段階:Readying -課題をポジティブに思考し、最もよいパフォーマンスが行えるように準備する。

 第2段階:Imaging -課題を正確かつ素早く行うイメー ジをして実際に運動しているように感じる。

第3段階:Focusing attention -課題に関連した事象に注意を向けて他の思考を遮断する。

第4段階:Executing -求められる成果を出すように実行する。

第5段階:Evaluating -利用できる FB を駆使して結果を分析し、次の試行に備える。

Singer RN, Lidor R, Cauraugh JH: Focus of attention during motor skill performance. J Sports Sci 12: 335-340, 1994

動機づけの第3段階において
他の思考を遮断して学習対象に注意を向けることが記されていますね!

外在的FBには

課題施行中にFBする”同時FB”

課題実施後にFBする”最終FB”

この2パターンに分類されます!

同時FB

筋電信号

力学的信号

運動学的信号

療法士からの言語的 FB

ハンドリング

最終FB

言語的FB

視空間的FB(ビデオをみせる)
※この際に動作のポイントを焦点化してFBするのがポイント

以上です!

私たちが介入できるものとしては…

言語的FB

視空間的FB

ハンドリング

これらですね!

先ほどの動機づけにおけるテクニックを使うのはもちろん

加えて、
その課題におけるポイントを
患者に焦点化させるように伝えるというのが重要です!!


認知段階における介入時のポイントをまとめましょう!!

  • 信頼関係を構築する
  • 本人と現状をどのように捉えているのか目標や未来の希望は何かを話し合う
  • 運動の目的や狙いをについて本人に話す
  • 運動課題の難易度は70%程度がオススメ!無誤学習という手も!!
  • 介入中は褒めることや肯定的なFBを意識して課題を実行させる
  • 課題に集中しやすいように環境を調整し反復練習を導入していく
  • 運動制御に対するFBは焦点化する!

連合段階における運動学習では外在的FB→内在的FBが重要!!

次は連合段階についてです!!

連合段階では、学習者の注意は課題の内容にではなく、自らのパフォーマンスに向けられる。運動における身体の各部位間の協調、タイミングの調節や力量の制御 によって、運動スキルに修正を加えながら、正確性やスピードを向上させる段階である。

長 谷 公 隆 :四條畷学園大学 リハビリテーション学部紀要 第 9 号 2013

 

つまり、連合段階は

課題内容

自らのパフォーマンスの結果や知識

このように患者本人の中で意識が向けられる方向性が変わります!!

パフォーマンスの結果やその知識は学習する本人に

”内在的FB”

このような形で学習を進めていく段階です!

✔︎要チェック!

内在的FBとは?

内在的 FB には、運動課題の最中に得られる感覚情報 ( 同時フィードバック;concurrent feedback)と、課題終了後に抽出された運動の記憶、すなわち、運動の結果 (例:前回より2秒はやく歩けた)およびパフォーマン スの状況(例:バランスを崩さずに歩けた)についての 感覚情報(最終フィードバック;terminal feedback)が 含まれる。

長 谷 公 隆 :四條畷学園大学 リハビリテーション学部紀要 第 9 号 2013

 

内在的FBには外在的FBと同様で

同時FB

最終FB

この2種類のFB情報が関与します!

同時FB

筋固有感覚

圧覚

深部感覚

視覚

平衡感覚

最終FB

視覚

聴覚

運動感覚

内在的FBの場合!

学習者がどのように感じたかによって…

  • 報酬
  • エラー

このどちらにもなり得ると言われています!!

これは、私たちから与える外在的FBによって
その感じ方が変化する可能性があるということです!

連合段階はこの内在的FBに基づいた”手続き記憶”によって形成されていきます!

手続き記憶は”非宣言的記憶(非陳述的記憶)”に分類!

非陳述的記憶というのは身体で覚える記憶ですね!

つまり、

技術や習慣的な行動を身体で覚えるような記憶

このように覚えていてください!!

手続き記憶の特徴として…

手続き記憶の特徴

同じ経験(課題)を反復することにより形成

形成後は記憶が自動的に機能し、長期間保持可能

このように言われているので

”反復課題”

これが手続き記憶の形成のポイントだということが分かります!

それでは連合段階における介入方法とはどんなものでしょうか?

連合段階における運動学習を意識した介入方法とは?

連合段階においては以下の項目に気をつけながら介入していきます!!

外在的FB→内在的FBへの移行を促す

まず…

認知段階→外在的FB

連合段階→内在的FB

この関係性から
連合段階においては

外在的FB(視覚的FB)

内在的FB(固有感覚FB)

このように
視覚的FBのような外在的FBへの依存度を減らし
固有感覚FBへの移行を促していく必要があります!!

僕の場合は、

  • 鏡による視覚的FBを徐々になくす
  • 言語的FBも同時FBでは極力行わない
  • 閉眼での課題を試してみる
  • 課題実施中に本人の身体に注意を向かせないように視線を誘導する

このようなことを考えて行います!

もちろん、

時期尚早
(本人のパフォーマンスへの知識の不足や結果が不足、難易度高すぎ)

このように判断すれば
認知段階の時点の介入方法に戻します!

多様な環境に適応できるよう様々な条件で課題を行わせる

さらに連合段階では

多様練習(variable practice )

このような練習を行わせます!

多様練習とは?

速度や方向、距離などのパラメータをランダムに変えて課題を行わせることで、様々な条件下で特定の運動スキルを出力することができるようにする練習方法

長 谷 公 隆 :四條畷学園大学 リハビリテーション学部紀要 第 9 号 2013

 

つまり、同じ課題であっても色々な条件を設定することで
日常場面のいかなる環境でも対応できるようにしていくための練習です!

たとえば、僕が起立練習を行なってもらう場合は…

  • 起立動作自体の速度変更
  • 歩幅の変更
  • 重心の割合の変更

このような形で、環境や身体の条件を変えさせていただきます!

もちろん、その難易度が適切かどうかを評価してあげる必要はありますよ!!

それでは連合段階における介入時のポイントをまとめます!!

  • 外在的FB→内在的FBへの移行を目指す
  • 具体的には視覚的FBへの依存を減らしていき、固有感覚FBを増やしていく
  • 本人のパフォーマンスの知識や結果が不十分であれば、認知段階へ戻すことも考える
  • 課題が難しすぎず困難であれば同様の対応をする
  • 可能であれば、多様練習も取り入れていく

こんなところでしょうか!!

それでは最後の自動化段階に進みます!

自動化段階における運動学習では日常生活での活用を目指す!

最後に自動化段階についてまとめていきましょう!!

日常生活に必要な運動スキルの自動化とは、標的動作を何も考えずに行うことが できるような安定性が得られてはじめて完結する。したがって、運動スキルの実用化の手続きでは、様々な状況下で必要なパフォーマンスが楽に再現できるように、生活場面の設定、代償手段の適用などの検討も重要になる。

長 谷 公 隆 :四條畷学園大学 リハビリテーション学部紀要 第 9 号 2013

つまり、

自動化段階=連合段階で得た運動スキルを何も考えずに安定して行えるようにする段階

この段階では
リハビリ場面において習得した運動スキルを日常生活レベルにまで昇華
実用的なレベルを目指していく必要があります!

この段階におけるリハビリの介入はどのようにしていけばいいのでしょうか?

自動化段階における運動学習を意識した介入方法とは?

この段階においては

”何も考えずに安定して行える”

これがキーワードになってきます!

これを様々な状況下でも楽に行えるようにするというのが自動化段階ですが…

そこでヒントになってくるのは
連合段階でも取り入れた”多様練習”!!

これは運動におけるパラメータを変えて実施しましたが、
自動化段階では環境設定を変更していきます!!

つまり多様な環境下・条件下で練習を進めていくことを意識します!

周辺環境を実際の家屋環境に近づける
生活場面の設定を変更してみる

まずはいかなる状況でも

習得した運動スキルを”何も考えずに安定してできるか”

これを確認してみる必要があります!!

もし、それが難しかった場合には…
代償手段の適用を考えます!!

代償手段とは…

  • 杖などの歩行補助具の追加
  • 装具の選定
  • 手すりor台支持など支持物の選定
  • 座面の高さを上げるetc

パッと出すとこんな感じですが…

ここについては実際の患者さんから情報を収集しながら考えていきましょう!!

では、自動化段階における介入のまとめです!

✔︎自動化段階では様々な状況下でも”何も考えずに安定して行える”動作の獲得を目指す

✔︎環境や場面設定を変更しながら同様の運動スキルを楽に行えるよう練習していく

✔︎それが困難であった場合は代償手段の適用も視野に入れる

✔︎この段階においても患者とのコミュニケーションは大事

まとめ

それでは本記事のまとめです!

本記事のまとめ
  • 運動学習には認知・連合・自動化の3つの段階がある
  • 認知段階においては動機づけと外在的FBを意識した介入が重要である
  • 連合段階においては外在的FB→内在的FBへの移行や多様性を重視した介入が重要である
  • 自動化段階においては様々な環境下での楽な動作の獲得を目指していく必要がある
  • 必要であれば生活場面設定の変更や代償手段の適用も視野に入れて介入する必要がある
  • すべての段階を通して患者とのコミュニケーションが非常に重要

運動学習には他にも様々な学習法やテクニックが存在しますが
今回はこれくらいにさせていただきます!

また別の機会にまとめさせていただくのでそちらの方も見ていただけたら嬉しいです!

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