【意外に知らない!】療法士向けに腎不全と脳卒中の関係性や機序についてまとめてみた!

【意外に知らない!】療法士向けに腎不全と脳卒中の関係性や機序についてまとめてみた!

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はじめに

おばんです!

今回は慢性腎不全がどうやって脳卒中を招いてしまうかについて解説していきます!!

急性期で働いていると、
脳卒中を発症された方の中に

  • 腎不全も合併されて入院される方
  • 降圧剤などの治療によって腎機能が悪化し透析が必要になってくる方

このような方々を少なからず担当します!

また、慢性腎不全が脳卒中発症の原因になる場合もあります!

実際、日本脳卒中学会においても

慢性腎臓病(CKD)は脳卒中の予知因子の一つであり、生活習慣(禁煙、減塩、肥満の改善、節酒)の改善と血圧の管理が推奨される(グレードA)。

このように言われています!!

少し話がずれますが

CKDの合併によって脳卒中の病態に差が出てしまう場合もあるようです!!

慢性腎臓病(CKD)と脳卒中  勝又 俊弥

以上のことから、

脳卒中を中心にみているとはいえ、
腎臓に対する知識が全くないというのはあまり良くありません。

よくないどころか、
リハビリによって腎不全を悪化させてしまう可能性もあるため非常に危険です!

退院後の自主練習などの指導にも腎臓の知識は必要と思われます!

どうですか?少し腎臓について調べたくなりませんか?笑

さて、この記事の意義についても説明したので本題に移っていきます!!

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慢性腎不全とは?

はじめに腎不全について簡単に説明します!

腎不全には

慢性腎不全

急性腎不全

この2種類があります!!

今回、脳卒中の発生機序としては
慢性腎不全がベースになるので

慢性腎不全の定義について話します!

慢性腎不全とは、

腎臓の働きが徐々に低下していく
さまざまな腎臓病の総称

日本腎臓学会 CKDの発症予防・早期発見・重症化予防に向けた提言

と定義されています!

じゃあ、どういう状態が慢性腎不全?という方のために

①尿異常(尿たんぱくが重要)
 画像診断
 血液
 病理
 これらおいて腎障害の存在が明らか

②糸球体濾過量(GFR)60mL/ 分 /1 .73㎡未満

①・②のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する

CKD 診療ガイド 2012

このように定義されています!

  

腎不全の定義についてまとめたところで本題に移りましょう!!

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腎不全と脳卒中の共通の危険因子は?

腎不全と脳卒中
両方に関連する危険因子として

  • 年齢
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 肥満

などが挙げられていますが

それとは別に腎障害によって
脳卒中を引き起こしてしまう場合もあります!!

腎不全が脳卒中を引き起こしてしまう機序とは?

それでは
慢性腎不全が脳卒中を引き起こしてしまう
その要因について説明していきます!!

3つにわけて説明します!

  • 腎不全が動脈硬化を進展させて脳卒中発症リスクを高める
  • 腎不全が高血圧を誘引し脳卒中発症リスクを高める
  • 腎不全が心房細動を誘発し心原性脳梗塞のリスクを高める

この3つです!

少し無理やり分けてる気もしますが…笑

腎不全による
血管・心臓への作用機序が複雑ですので

自分の頭の中で整理する意味も含めてこのように分けています。

それぞれについて詳しく説明していきます!!

腎不全が動脈硬化を進展させる!

はじめに腎不全が動脈硬化を進展させてしまうことについて!!

腎障害による、酸化ストレスの増加や一酸化窒素の異常、炎症性サ イトカインやレニン・アンジオテンシン系の活性化などが加わって血管内皮機能障害を惹起させ、動脈硬化を進展することが脳卒中を発症させる機序の一つと考えられる。

慢性腎臓病(CKD)と脳卒中   勝又 俊弥 

このように言われています!!

今は動脈硬化についての項目ですが、

ここで話されている機序について
1つ1つ紐解いていくと

慢性腎不全による”高血圧”や”心房細動”がどのように引き起こされるかを理解できます!

まず、腎不全の機序の中で話されている
見慣れない用語について解説しないといけません

ここをクリックすると
次の目次に飛べるようにしています!

わからない単語がない方は
これをご活用ください!

一酸化窒素について

一酸化窒素は体内で生成されるガス状分子です。

一酸化炭素や硫化水素などと同様に生体内で産生され、生理的な機能を発揮するために用いられている

一酸化窒素(NO)による生理機能調節とその破綻 松本 明郎

このように言われています!

一酸化炭素は生体内で血管弛緩因子として、
血管内皮細胞から産生されます。

その作用としてはそのまんまですが

血管弛緩反応を引き起こすと言われています。

そのため、
一酸化炭素は様々な血管病態に関連します

一酸化炭素を産生する血管内皮細胞は

慢性腎不全の場合
NOを合成する酵素(NOS)の阻害物質を増加させるため
一酸化炭素の産生異常が引き起こされます

※加齢や高血糖などのその他の影響も加わることによっても産生が低下します。

一酸化炭素の産生が低下した場合…

血管の弛緩作用が低下することで動脈硬化の要因になってしまいます。 

酸化ストレス増加について

酸化ストレスとは、

  • 呼吸による酸素消費
  • 炎症反応
  • 放射線や紫外線への曝露
  • 喫煙などの化学物質への曝露
  • 激しい運動など

これらの要因によって生じた
活性酸素種(ROS)に対し
防御機構(抗酸化作用)とのバランスが崩れ
生体内にて酸化反応が優位となっている状態を指します!

酸化ストレス処理機構と腎障害  柏原 直樹 長洲 一 佐藤 稔

活性酸素種
先ほど話した一酸化窒素と反応し,
peroxynitrite(酸化毒性が比較的強い)を
形成し酸化ストレスを増大させます!

酸化ストレスの増大は腎臓や血管においては

  • 腎機能の低下
  • アルブミン尿の発生
  • 血管内皮細胞の傷害
    一酸化炭素産生低下+血管壁炎症→動脈硬化 
  • 不安定プラークの生成など

これらを引き起こし、
腎不全や動脈硬化へと進行させてしまいます!

※今回の記事には関係ないですが、
DNAの損傷や酵素失活にも影響し、
がんの発症にも関係します

レニン・アンジオテンシン系の活性化

レニン・アンジオテンシン系(RAS)は,腎臓レニンが発見されて以来、約100年間の研究によって

  • 全身の血圧や体液維持に必須の調節機構(全身性RAS)
  • 各臓器の形成や構造維持を調節する機構(局所RAS)

この2つの役割を担っていることがわかった

腎臓レニン・アンジオテンシン系(RAS):生命の環を支え,脅かすもの  香美 祥二

腎臓はレニンを産生・放出してレニン・アンジオテンシン系の中心臓器と言われています!

直接関わってくるのは、
アンジオテンシン Ⅱという
生理活性ペプチドです。

腎臓においては
近位尿細管などから産生されます。

1つ目の全身性RASですが、

通常時は、

血管平滑筋→血圧調整機構

腎臓→水やNaの再吸収を促進

副腎皮質→アルドステロンの分泌促進

これらが協調的に作用することで
血圧を正常に保ちます!

 ただし、良い作用だけではないです!!

ここからは以下の目次タイトル
腎不全が高血圧を誘引してしまう!で説明しますので
すぐに読みたい方はクリックして飛ばしてください!

2つ目の”局所RAS”についてですが

主要臓器にはAng II を産生できる機構
(Ang
II-generating system)
この機構が存在すると言われています。

AngIIを産生できる機構(AngII-generating system)

この機構はその臓器の構造維持を調節する生体活動に必要な機構ですが

それと同時に

炎症や線維化反応による”病的な組織リモデリング”に関与しているとも言われています!

ラットモデルにおいて、糸球体病変の形成と共に糸球体におけるAngIIの産生やROS、TGF-β発現は亢進しており、ARB 治療により病変は改善し糸球体での Ang II 産生量、ROS、TGF-β 発現は低下した

Addition of the antioxidant probucol to angiotensin II type I receptor antagonist arrests progressive mesan- gioproliferative glomerulonephritis in the rat. J Am Soc Nephrol 2006; 17: 783–794.

TGF-β→組織の線維化を促進する因子

ROS→活性酸素種

ARB治療→アンジオテンシン受容体拮抗薬による治療

これによって腎臓の炎症や繊維化が進行し、慢性腎不全に進行していきます。

腎臓の話だけしてしまいすみません。

この炎症・繊維化の機序は腎臓における話だけにはとどまらず

  • 心臓
  • 血管壁
  • 肝臓
  • 脳など

そのほかの各臓器においても同様のことが引き起こされます。

その中で血管壁は血管内皮機能によって正常に保たれていますが

今までお話しさせていただいた

  • 酸化ストレス増加
  • 一酸化窒素の異常
  • 炎症性サイトカイン
  • レニン・アンジオテンシン系の活性化

 

これらによって血管内皮機能が障害されることにより動脈硬化が進行します

以上が腎不全によって動脈硬化が引き起こされる機序になります!

 

腎不全が高血圧を誘引してしまう!

先ほどの全身RASについての続きです!

全身性腎臓レニン・アンジオテンシン系(全身性RAS)は

通常時は、

  • 血管平滑筋→血圧調整機構
         (血管の収縮・拡張に作用)
  • 腎臓→水やNaの再吸収を促進
  • 副腎皮質→アルドステロンの分泌促進

これらが協調的に作用することで血圧を正常に保ちます!

ここまでは皆さんもみていただけたと思いますが、

 

全身性RASの作用機序としては、

全身性腎臓レニン・アンジオテンシン系(全身性RAS)

アンジオテンシノーゲン

アンジオテンシンⅠ

アンジオテンシンⅡ

このようになっていますが

最後に生成されたアンジオテンシンⅡが

良い作用にも
悪い作用にも

非常に重要な働きをするんです!

良い作用
血圧や体液の調節に関与する全身循環系を助ける

悪い作用
各臓器の炎症や繊維化、酸化ストレス増大を引き起こす

アンジオテンシンⅡの腎臓や心臓、血管への機序・作用

 

慢性腎不全を合併している場合、

腎臓では,

アンジオテンシンⅡがAT1 受容体を刺激

腎内でのアンジオテンシノーゲンの発現亢進

腎臓内のアンジオテンシンⅡ濃度上昇

アンジオテンシノーゲン発現がさらに亢進

AT1受容体とは、
アンジオテンシンと結びつくことで
炎症・繊維化作用や酸化作用
その臓器にもたらします。

それと同時に腎臓内でのアンジオテンシノーゲンの発現を亢進する作用もあります

 

このような負のスパイラルによって

腎臓におけるアンジオテンシンⅡの産生は
亢進する
と言われています。

大量に産生されたアンジオテンシンⅡは

先に説明した機序をさらに強めて

さらなる

動脈硬化進行・循環血液量増大を図り

高血圧を引き起こすようになります!

高血圧自体、慢性化すると…

腎臓の細動脈への負荷↑

動脈壁肥厚化

動脈内腔狭窄

糸球体流入血液量↓

糸球体のろ過量↓

腎機能↓
(腎臓の萎縮)

これが”腎硬化症”と呼ばれる機序ですが

このような機序でさらなる腎機能の低下を招き

ここでも負のスパイラルを形成していきます!

腎不全が心房細動のリスクを高める!

次は腎不全が心房細動のリスクを高めてしまうことについて!

これは

全身性RAS

局所RAS

この両方が関与していきます。

全身性RASの作用

循環血液量増大・血管抵抗↑

心臓への負荷が増大

リモデリング

局所RASの作用

局所RAS作用

心肥大・繊維化促進

リモデリング

リモデリングとは、

心臓が血行力学的な負荷に対応して、
その構造と形態を変化させることをいいます。

 

詳細は

以前心不全のリスク管理についてまとめた記事に記載しています!

【要注意!】リハビリにおける心不全のリスク管理とは?を見る!

心臓のリモデリングは

  • 機械的刺激(圧負荷,容量負荷)
  • 神経体液性刺激(アンジオテンシンⅡ・交感神経など)

この2つの因子が絡みあって引き起こされると言われていますが

つまり、先ほど説明していた

全身性RAS
局所RAS

これらははもちろん
それ以外の加齢や高血圧など様々な要因が関係します。

このような慢性的なリモデリングでは

  • 心肥大
  • 心臓内腔の拡大

これらを中心にして心臓の構造に変化が起こりますが

心肥大(特に心房)は
心収縮における興奮伝導の不均一化を引き起こし

交感神経の亢進とともに
心房細動のトリガーになりやすいです!

初めは一過性の心房細動でも

心肥大や心筋の繊維化が進行することによって

一過性ではなく、
常態的な心房細動に移行してしまいます。 

もちろん、それだけではなくて心筋梗塞や心不全などの発症にも関与してきます!

まとめ

本記事のまとめ
  • 腎不全は一酸化炭素低下、酸化ストレス増大を誘引し動脈硬化を進行させる
  • 腎不全は循環血液量増加と動脈硬化を引き起こして高血圧を助長する
  • 腎不全は心臓のリモデリングを進行させ心房細動のリスクを高める
  • 動脈硬化・高血圧・心房細動により脳卒中発症リスクは高まる

今回の記事は以上になります!!

腎不全が脳卒中を引き起こしてしまう機序については理解してもらえたでしょうか?

しっかり理解できていなくても

脳も腎臓も心臓も全部関わりがあるんだなぁと思えただけで1歩前進です!!

持論ですが

僕たちの仕事は自宅復帰だけでなくて

自宅復帰した後のQOLの維持まで見据えた介入が必要と思っています

少し自分の視野を広げるという意味でも自分の分野以外の勉強もしてみてはいかがでしょうか?

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