【リスク管理に重要!】リハビリのための生化学検査講座〜低Na血症の病態を把握しよう〜

生化学検査 低ナトリウム血症
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はじめに

おばんです!

Yu-daiです!!

今回から生化学検査についての記事を書いていこうと思います!!

今までのリスク管理に関する記事などにも関わってくるような重要な内容なので
学生や新人セラピストの皆さんにはぜひ最後まで見ていって貰いたいです!

新人セラピスト

リスク管理も大切だとは思っているけど、臨床では実際の運動機能とか動作分析などの評価や介入方法の勉強に追われていてなかなか手が出せないんだよね

Yu-dai

極端にいってしまえば急性期においてリハビリは二の次!僕たちの行動で全身状態などを悪化させてしまう場合もあるから最低限の知識は絶対つけよう!!

これまでのリスク管理についての記事はこちら!

今回はNa(ナトリウム)についてを中心に話していこうと思います!!

新人理学療法士

Naってあの電解質の1つですよね?

Yu-dai

そうだね!!名前だけなら知らない人はいないんじゃないかな?
僕は脳卒中患者さんを担当するときは絶対チェックするよ!!

それではNaについてまとめていきましょう!

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血清Na(ナトリウム)とは?【=血漿浸透圧を形成するために重要な電解質!】

Naは人体の生命活動に重要な電解質の一つです!!

その他にもKやCαなど多くの電解質がありますが
Naのみが持つ大きな性質があります!!

K・Cαなど

細胞内や骨に圧倒的に多く存在し、細胞外・血清にはわずかしか存在しない

→血管内において水の増減や血漿浸透圧の変化が生じても細胞内または骨と血清との間で電解質の移動が生じるため、影響が緩衝される

Na

細胞内にはわずかしか存在せず、細胞外・血清に多く存在する

→血管内の水の増減を緩衝できないため、血管内の水の増減や血漿浸透圧の影響を直接受ける

新人理学療法士

つまり、Naは水分摂取の程度や点滴とかで簡単に影響を受けるってことですか?

Yu-dai

その通りだよ!!だからDr.は点滴や利尿剤を使用してNaを調整するんだよ!!
KとかCaに関しては高濃度に調整された高張液を投与されることもあるんだけどね。

さらに、血清Naは血漿浸透圧を規定する上で最も重要な因子です!

血漿浸透圧とは?

血液中の浸透圧(溶液が水を引き込む力)であり

✔︎血漿浸透圧(Na・血糖値・BUNによって規定)
✔︎膠質浸透圧(アルブミンによって維持)

この2種類があり、どちらも血管内に水分を保持する働きがあり、細胞外液量を規定する

一応、血漿浸透圧の式を載せておきます!

血漿浸透圧=Na×2+血糖/18+BUN /2.8

血漿浸透圧は、
糖尿病コントロールが不良であったり、腎機能が極端に悪くなっている場合を除けば
ほぼ血清 Na 濃度により形成されていると言っても過言ではありません!

新人理学療法士

たったこれだけですけどNaってこんなに重要な電解質だったんだと考え直しました

Yu-dai

そうだね!
臨床では、Naが~だから、ここに気をつけてね!!って感じくらいにしか指導されないことの方が多いんだけど改めて自分で勉強し直すとどれだけ重要なものかがわかってくるよね!

話を戻しましょう!

先ほど、”血漿浸透圧は細胞外液量、つまり細胞外液の容積を規定する”と紹介しました。

細胞外液とは?
体液は細胞膜を介して”細胞内液”と”細胞外液”に区分される
細胞外液は毛細血管壁を介して”組織間液”と”血漿”に分けられる

細胞外液は以下の働きがある

①循環血液量の維持
②栄養素や酸素を細胞への運搬
③老廃物や炭酸ガスを細胞外に運び出す

細胞外液は

3/4 を占める組織間液(間質液)

1/4 を占める血管内(循環血漿)

この2つに分けられます!

間質液が増加した状態が浮腫

循環血漿が減少した状態が血管内脱水

循環血漿が極端に減少した状態がショック

このように間質液や循環血漿の増減によって様々な症状が出現します!


全てとは言えませんが、活動性の出血や感染症などの理由を除けばNa の量や分布の異常によってこれらの症状は引き起こされていると言えます!

 

Naについて覚えておいてほしいポイントとしては…

✔︎POINT
  • 他の電解質と違い、体内の水分量の影響を受けやすい
  • 血漿浸透圧はほぼ血清Naによって形成される
  • 血漿浸透圧は細胞外液(間質液・循環血漿)を規定する因子である
  • 間質液の増大=浮腫
  • 循環血漿の減少=血管内脱水

この前提を覚えながら次にいきましょう!!

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低Na血症の病態とリスク管理

血清Naは
正常値から少なくなっても多くなっても私達の身体に影響を及ぼしてしまいます!!

低Na血症になると以下の症状がみられます!

急性Na血症の臨床症状慢性Na血症の臨床症状
吐き気・気分不快吐き気・めまい
頭痛健忘
無気力昏迷
意識障害無気力
痙攣痙攣etc.
昏睡
呼吸停止
非心原性肺浮腫
急性低Na性脳症etc.※慢性は脳神経症状の頻度は少ない

要CHECK!

吐き気や気分不快は血清Na値:125 ~130 meq/Lから生じます
その他の症状は血清Na値:115 ~120 meq/L以下で生じます

慢性低Na血症は慢性的に血清Na値が120 meq/L以下で症状を認めます

Na血症性脳症は
低Na血症によって脳浮腫が引き起こされた結果、神経症状が出現します!

Yu-dai

最も臨床で遭遇しやすいのは”意識障害”かと思います!
他には歩行障害なども生じ、転倒率が上昇します!!
気になる方は下の論文をぜひ読んでください!

低Na血症群の転倒による受診の数は21.3%であり、コントロール群の5.3%と比較して有意であった。

つぎ足歩行によるふらつきの程度は有意に増加し、刺激に対する反応速度は有意に低下していた。

Benoit Renneboog et al:Mild Chronic Hyponatremia Is Associated With Falls, Unsteadiness, and Attention Deficits The American Journal of Medicine (2006) 119, 71.e1-71.e8

ここからは低Na血症の病態とリスク管理について説明します!!

低Na血症の中でも分類があることを理解しよう!

簡単に言ってしまうと…
血清Naが基準よりも低ければ”低Na血症”なのですが

そこに至るまでの経緯、
つまり何が問題でそうなったのかをある程度理解しておくことが急性期のリスク管理では非常に大切になってきます!

上の方で、Naは血漿浸透圧に大きな影響を与えると話しました

この血漿浸透圧が間質液よりも…

高い状態(高張性)

等しい状態(等張性)

低い状態(低張性)

3種類に大別されますが、この3種類それぞれで低Na血症は生じます!!

分類がこちら!

低ナトリウム血症の分類

分類上は偽性も含めると4つになります!

新人理学療法士

え、これ全部を理解するのは厳しいな…

確かに多いよね…笑
今回は臨床的に最も遭遇する頻度が多い低張性の低Na血症について説明するよ!

低張性低Na血症の病態

低張性の低Na血症は大きく分けると3つの病型に分かれます!!
臨床で遭遇する機会の多いもののみ説明していきます!

腎臓での水利尿障害
  • 細胞外液量減少
    腎臓からのNa喪失
    腎臓以外からのNa喪失
  • 細胞外液量増加
    心不全
    腎不全
    肝硬変
    ネフローゼ
  • 細胞外液量不変
    SIADH(バゾプレシン分泌過剰症)
    電解質摂取不足
水分過剰摂取
  • 運動誘発性低Na血症や多飲症
  • 低張液の過剰投与
細胞内低浸透圧
  • 体内K欠乏
新人理学療法士

うわー、それでもたくさんありますね…

挫けずに少し整理していこう!

腎臓での水利尿障害

細胞外液量減少型は腎臓からNaが流出するかそれ以外からかに分けられます!

腎臓からのNa流出
  • 利尿薬
  • 浸透圧利尿(マンニトール・グリセレブ・イソソルビドの使用)
  • 中枢性塩類喪失症候群 (CSWS)
  • 運動誘発性低Na血症

腎臓以外からのNa流出
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 失血

新人理学療法士

腎臓以外からの流出に関してはなんとなくわかります!!
でも、腎臓からの流出の項目は知らないことも多いなぁ…

Yu-dai

急性期、特に脳卒中なんかだと腎臓からのNa流出の原因である利尿薬や浸透圧利尿、CSWSなんかはかなり重要だよ!!全て脳卒中やその治療によって引き起こされるものだからね!

これらについての詳細はまた別記事で紹介していきます!!

 

細胞外液量増加型は基本的に
心臓や腎臓、肝臓に異常が生じた際に起こります!

それぞれの機序について簡単に紹介しますね!!

心不全
  • 希釈性低ナトリウム血症
    ADH(バソプレシン)活性の上昇
    Distal nephron flow(遠位ネフロン流入量)の低下
  • 消耗性低ナトリウム血症
    Na摂取不足
    Na喪失(下痢や嘔吐)
    利尿剤による過度な尿排泄

新人理学療法士

希釈性低ナトリウム血症の項目がよく分かりません

ADH活性の上昇というのは心不全に対して
昇圧を目的とした体液性調節機構による代償が破綻した結果引き起こされます!

遠位ネフロン流入量の低下については心不全によって循環血液量が低下したことで起きるね!

ADHとは抗利尿ホルモン(Antidiuretic hormone)のことで

その作用は尿細管での水吸収を促進するなど身体の水を貯留させるような作用があります!!
つまり、ADHの持続的な放出は血漿や細胞外液の希釈につながります!
(肝硬変でもADHの分泌が亢進した結果同様のことが起こります)

次は腎不全についてです!

腎不全

腎不全の結果、
糸球体濾過量が低下し水分を尿として排泄できないことで低Na血症が引き起こされます!!

腎不全は腎臓の障害はもちろんですが、心不全や脳卒中、肝硬変でも引き起こされる可能性があるのでそちらも気になる方はぜひ調べてみてください!!



次は肝硬変による低Na血症出現の機序です!

肝硬変
  • RAAS活性化
  • ADHの放出
  • 交感神経の活性化

今回、複雑な機序は省きますが、
肝硬変によって以上の事象が生じます!!

その中で、RAASの活性化やADHの放出に関しては心不全の記事で説明した通りの機序で
身体に水分を貯留させるために低Na血症が引き起こされます!

交感神経による活性化に関しては間接的に関わります!

交感神経は心不全や腎障害における代償機構の1つである神経性調節機構に分類されます。
その働きによって代償的に身体血管の収縮、腎血管の拡張や腎機能の維持に働きますが、その一方で、腎血管の収縮を引き起こす可能性もあり、その結果腎機能の低下を引き起こすこともあります。

水分過剰摂取

水分過剰摂取による低張性低Na血症は以下のことが原因で生じます!

  • 運動誘発性低Na血症
  • 多飲症
  • 低張液の過剰投与

新人理学療法士

運動誘発性低Na血症ってなんですか?

運動中の過度な水分摂取によって血漿ナトリウム濃度が低下してしまうんだよ!
病院でのリハビリでは多くない印象だけど、将来的にスポーツ現場にでていきたいと考えている人は覚えていた方がいいかもね!

急性期においては”低張液の過剰投与”による低Na血症に注意しましょう!!

低張液とは?

電解質輸液製剤のうち、

  • 浸透圧が細胞外液とほぼ等張なもの→等張液(生食・リンゲル液・乳酸リンゲル液)
  • 血漿電解質濃度よりも低張なもの→低張液(1号(開始液)・2号(細胞内修復液)・3号(維持液)・4号(術後回復液))
  • 高濃度に調整されたナトリウム・カルシウム・リンなどの輸液製剤→高張液

※低張液においては4号液が最も濃度が低い
※通常、高張液は他の輸液製剤で希釈して用いる

新人理学療法士

つまり、1~4号液だけ投与されていた場合に低Na血症になる可能性があるんですね!

基本的にはDr.が管理してくれているから大丈夫だとは思うけど
今まで紹介した病態に当てはまらなかった場合はどんな点滴が入れられているのかにも気を配っておこう!

細胞内低浸透圧

細胞内低浸透圧による低Na血症は体内Kが欠乏することで引き起こされます!!

細胞外液ではNaがそのほとんど占め、浸透圧をコントロールしていましたが、
細胞内液では K がそのほとんどを占めています!!

Kが欠乏すると細胞内液の浸透圧が低下し、細胞内の水が細胞外液に移動します!

その結果、細胞外液の Na が希釈され低 Na 血症が引き起こされます。

まとめ【血清Naが低下していたらここはチェックしておこう!】

いかがだったでしょうか?

今回は低Na血症の機序や病態についてまとめました!!

低Na血症を呈している患者さんを担当したら以下のことについてチェックしましょう!

  1. 電解質を大量に喪失するような既往はないか(嘔吐・下痢・利尿剤治療など)
  2. 蛋白摂取の低下や大量の水分摂取がなかったか
  3. 重篤な疾患の既往はないか(悪性腫瘍・中枢神経疾患・心不全・肝不全・悪液質等)
  4. 低ナトリウム血症をきたす薬剤の服薬歴はないか(利尿薬・マンニトール・抗うつ薬・抗けいれん薬など)
  5. 最近の手術歴
  6. 低ナトリウム血症の既往はないか
  7. 末梢性浮腫や腹水はないか(つまり、心不全・肝不全・腎不全などの兆候がないか)
  8. 副腎不全・甲状腺機能低下症の兆候がないか

低Na血症の背景にどのような疾患やリスクが潜んでいるのかを理解しておくことでリハ介入において適切な判断をとることができるのでしっかり把握しておきましょう!!

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