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はじめに
おばんです!Yu-daiです!!
今回からは血清カリウムについてその病態やリスク管理についてまとめていきます!

カリウムは主に細胞内に存在していて、簡単にその働きを説明すると…
✔︎浸透圧調整
✔︎筋収縮
✔︎神経伝達
これらに関わってくるよ!!
だから、筋肉や神経の働きには重要な要素の一つになっているんだ!
加えて、高血圧や心疾患、腎疾患など様々な疾患にも関連してくるのでその機序などを理解しておくことはリハビリを行う上でのリスク管理に非常に重要だよ!!
カリウムについて学ぶ必要性を感じていただけたかなというところで本題に入っていきましょう!!
最後までお付き合いしてくれたら嬉しいでーす!
血清K(カリウム)とは?→細胞膜を介したイオン輸送や神経伝達・筋収縮を担う!

まずは血清カリウムについてどんなものかというのをまとめておきましょう!
体内総 K 量は 50~55 mEq/kg 体重で,その 98 %以上が細胞内(K含有量の多い臓器は骨格筋,赤血球,肝臓)に, 残りのわずか 1~2 %が細胞外液中に存在する。この細胞内外の K の濃度勾配は,細胞内負の細胞膜電位を形成し,神 経・筋細胞では興奮・収縮に,上皮細胞では細胞膜を介したイオン輸送に大きな役割を担っている。
武 藤 重 明 草 野 英 二:カリウム代謝の考え方 日腎会誌 2008;5(02):84-90.
カリウムはナトリウムとは違い、そのほとんどは細胞内に存在すると言われています!!
そのため、血管⇄細胞外液における浸透圧調整についてはその役割は比較的少ないのですが
✔︎神経伝達
✔︎筋収縮
✔︎細胞外液と細胞内液におけるイオン輸送(浸透圧調整)など
このような働きがあります!!

ナトリウムの時は体液管理が主な作用だったけど、カリウムの場合は神経伝達や筋収縮にも関わってくるんですね〜
Na・Kそれぞれの体内における分布の違いからも納得です!

それぞれの電解質の分布の違いについても把握しておくことで理解度が高まるよね!!
これらの働きに関連して血清カリウム値はリスク管理上、非常に重要な指標なんだけど
最も気にしておかなければいけないことが何か分かるかな?
特にリスク管理上重要なのが…
心電図変化!

場合によっては致死性不整脈や心停止にもつながってしまうこともあるからこの機序を押さえておくのはリスク管理上非常に重要だよ!!
血清カリウム値が高すぎる場合・低すぎる場合に分けて考えていこう!
一緒にカリウム異常を呈してしまう原因についても言及していくね!!
低K(カリウム)血症の病態やリスク管理

まずはじめに”低カリウム血症の病態やリスク管理についてまとめていきましょう!!

先輩にはよく不整脈に気をつけろ!とか言われてとりあえず心電図をみていますがそれ以外にどんな症状が出るのかよくわかっていません!!

本当は心電図所見以外のことや心電図所見についてもそこに至る機序も先輩が説明できていたら、より正確にリスク管理も行えるんだけど…
後輩もはかっこよく指導できるようにここでしっかり学んでおこう!
低カリウム血症の原因は?
はじめに低カリウム血症の原因についてまとめます!!


原因には色々あるんですね〜

低カリウム血症の直接の原因を理解しておくことは直接リスク管理にもつながるから覚えておこう!!
特に…
”尿中排泄亢進”によるK喪失”
これは急性期脳卒中患者や心不全患者においてよく使用されている
”ループ利尿薬(フロセミドなど)”の使用によって引き起こされることもあるため
嘔吐や下痢がなかったかを確認するだけではなく、投薬情報なども確認しておきましょう!!
低カリウム血症による症状とは?
次は低カリウム血症によって引き起こされる症状についてまとめていきましょう!!
電解質異常の中でみられる頻度が最も高い
猿田 享男:特集 水・電解質代謝異常 1.水・電解質代謝異常 4.高 カ リ ウ ム 血 症 ・低 力 リ ウ ム 血 症 日本内科学会雑誌 第80巻 第2号 ・平成3年2月10日
このように電解質以上の中で最も頻度が高い=臨床で遭遇しやすいということをまず覚えておきましょう!
それでは低カリウム血症に伴う症状についてまとめていきましょう!!
低K血症の重症度 (血清K≦3.5mEq /L) | 主な症状 |
---|---|
軽症(3.0-3.5mEq/L) | 無症候 |
中等度(2.5-3.0mEq/L) | 消化器症状 (嘔気、食思不振など) 骨格筋症状 (脱力、筋力低下、テタニーなど) 尿濃縮障害 (多尿、多飲) インスリン分泌障害 (耐糖能異常) |
重度(K <2.5mEq/L) | 四肢麻痺 呼吸筋麻痺 イレウス |

どのような機序でこれらの症状が生じるんですか?
消化器症状…嘔気や食欲不振、便秘などが含まれる。腸管における平滑筋の運動が抑制されるため生じる。
尿濃縮障害…尿濃縮は身体から余分な水分が排泄されないようにするための機能。
尿濃縮能低下はADH (antidiuretic hormone)に対する集合管の反応性の低下と関連している.
松原 雄 家原 典之 深津 敦司:特集 腎障害をきたす全身性疾患―最近の進歩 IV.その他 3.電解質異常(低カリウム血症,高カルシ ウム血症) 日本内科学会雑誌 第100巻 第 5 号・平成23年 5 月10日
インスリン分泌障害
正常時は膵β細胞でインスリンが分泌される。
その機序はATP感受性Kチャネルが閉鎖しK+を流出させないことによって
膵β細胞の電位が脱分極→電位依存性Caチャネル開口→Ca2+流入→インスリン分泌
低K血症では、細胞外のカリウム濃度が低下しており、ATP感受性KチャネルからK+が流出しやすくなる。
その結果、膵β細胞の電位が上昇しにくくなる。→インスリン分泌量低下
骨格筋症状
低カリウム血症が横紋筋融解を起こす発症機序は,骨格筋の相対的虚血に伴う細胞死が考えられる
上山秀嗣:低カリウム血性ミオパチー.諏訪庸 夫編,日本臨床別冊骨格筋症候群下巻,初版. 日本臨床社:243–246, 2001.
カリウム欠乏状態においては血管平滑筋が収縮。
その状況で運動やさらなる脱水が生じると
骨格筋の酸素やエネルギー必要量が増加した状況では
筋細胞へ血流が十分に供給されず筋細胞の細胞死に至る→横紋筋融解

かいつまんで説明するとこんな感じかな!
いずれ、また別の記事で詳しく説明していこうと思います!!
低カリウム血症におけるリハビリのリスク管理で調べるべきポイント!
それではリスク管理についてまとめていきましょう!!

まずは、まとめたものを掲載しておきます!!


心電図もチェックしなきゃなんですね!!
臨床においては全ての項目をチェックしていく必要がありますが…
低カリウム血症を疑っている症例については以上の項目を意識して確認しましょう!!

特に心電図の波形や不整脈の出現には気をつけよう!!
生化学検査
まずは生化学検査の項目について!!
生化学検査では、腎機能や脱水の指標である以下の項目をチェックしましょう!
- BUN
- Cre
- eGFR
それに加えて、
- 血清K
- 血清Na
- 血清Ca
これらの電解質についてもチェックが必要です!!

腎機能や電解質の結果を知っておく必要があるのはなぜですか?

上ですでに触れているけど、
主な原因が以下のようなK喪失によるものだからだよ!!
- 嘔吐
- 下痢
- 尿中排泄量増加
- K摂取不足etc
つまり、言いたいことがなんなのかというと…
✔︎K以外の電解質も影響を受けている可能性がある
✔︎腎機能にも影響が出ているかもしれない
- CK(CKーMM)
CK(Creatine kinase:クレアチンキナーゼ)は
横紋筋融解が生じていないかを判断するために非常に重要な検査項目です!!
このような場合には注意しよう!!
【CKは以下の場合でも上昇する】
✔︎心筋梗塞
✔︎心筋炎
✔︎皮膚筋炎・多発筋炎
✔︎甲状腺機能低下症
✔︎激しい運動後etc
また、必ずではありませんが”脳卒中”発症後にもCKが上昇することがあります!!
その場合は医師がCKを3つのアイソザイム(酵素)に分割した検査を依頼しているかと思うのでチェックしてみましょう!
◉CK−MM(骨格筋)
◉CKーMB(心筋)
◉CKーBB(脳神経疾患)
これらのアイソザイムの中でどの項目が上昇しているかで原因を絞っていきます!!
(もちろんその他の検査も追加されますが)
リスク管理は結局1つの事項だけではなく、全身状態を把握した上で行う必要性があるので
血清K以外のものもしっかり確認しておきましょう!!
その他のリスク管理についての記事はこちらです!
自覚症状
検査所見はもちろん重要ですが…
実際の自覚症状がどうなっているのかというところも同じくらい大切です!!
低K血症の重症度 (血清K≦3.5mEq /L) | 主な症状 |
---|---|
軽症(3.0-3.5mEq/L) | 無症候 |
中等度(2.5-3.0mEq/L) | 消化器症状 (嘔気、食思不振など) 骨格筋症状 (脱力、筋力低下、テタニーなど) 尿濃縮障害 (多尿、多飲) インスリン分泌障害 (耐糖能異常) |
重度(K <2.5mEq/L) | 四肢麻痺 呼吸筋麻痺 イレウス |

検査所見が大丈夫であればそこまで重要視しなくてもいいんじゃないですか?

超急性期以外だと、毎日検査を行なっているわけではないからね…
例えば、数日前までの検査で血清Kなどの数値が徐々に低下傾向であったり、上昇傾向で正常範囲内ギリギリを保っていた患者さんに介入するとしたらどうかな?
介入する当日に検査が行われていなかったとしたら…
僕だったら当日の本人の自覚症状を踏まえて離床の可否や負荷量を決定すると思うな!!
それに、正常値はあくまで指標だから人によってはギリギリ正常範囲内でも症状を呈している可能性はあるからしっかり確認しておこう!!
心電図
最後に心電図の波形についてです!!
心筋細胞が興奮する場合,まず陽イオン であるナトリウムイオン(Na +)が短時間で一気に細胞内に流入し,急速に細胞内電位を上昇させる(第 0 相).これが心筋細胞を伝播し,QRS 波を形成する.その後,一 過性のK+の流出(一過性外向きK+チャネル)(第1相) を経てカルシウムイオン(Ca2 +)の流入が起こり,平坦な第2相を形成する.これが心電図の ST部分を形成する. 再び K +が細胞外へ流出する(遅延整流 K +チャネル)ことにより再分極を起こし ,T波を形成す る( 第 3 相 ). その後 ,− 90 mVの静止電位へ戻り,分極状態となる(内向き整流型 K+チャネル)(第 4 相)1).したがって心筋細胞の膜電位に大きく影響する電解質は,Na ,K ,Caということになる.
手嶋泰之 ,髙橋尚彦:特集 心電図攻略法 診断能力向上のための虎の巻 電解質異常と心電図変化
このように心臓が収縮する過程においては電解質が非常に重要な働きをしています!!

特に”Kイオン”は心筋細胞内の電位の変化において
第2相(ST部分の形成)
第3相(T波の形成)
第4相(静止電位へ戻り分極状態へ)
ST以降に関してほとんどの相を担っています!

少し理解するのに時間がかかりそうです…

ここで意識しておいて欲しいことは…
K+イオンはすべての相において”細胞外へ流出”することで
各相の反応を形成しているということだね!!
つまり、
細胞外のKが多い(高K血症)→心筋細胞が興奮しにくい
細胞外のKが少ない(低K血症)→心筋細胞が興奮しやすい
これを覚えておこう!!
低K血症の場合の心電図変化はこちらになります!!

- ST低下
- T波の平坦化
- QT(QU)間隔の延長
- U波(T波の後に出現する陽性波)の増高
このように低K血症の場合は”ST部分”を中心に心電図の変化がないかをチェックします!!
基本的に、高K血症と比較すると致死的不整脈の頻度が少ないと言われていますが…
出現しないというわけではないので、上室性および心室性の不整脈の出現の有無は確認しておきましょう!!

リハビリを継続するかどうかについては
”中断・中止基準”に則った判断をすれば良いと思います!
まとめ
今回は低カリウム血症についてまとめていきました!!
低K血症を疑う患者に介入する際には以下のポイントに気をつけて介入していきましょう!!
- K血症を呈した原因は何か?
- 嘔吐や下痢などの症状が継続していないか
- 血清Kをはじめとした電解質異常や脱水などは是正されているか
- 腎機能に低下は認めていないか
- 横紋筋融解が生じていないか(自覚症状の確認)
- 心電図所見において中断・中止基準を満たすような不整脈が生じていないか
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急性期のリハビリ介入においてはこの他にも様々な知識を駆使しながら行なっていく必要があります!!
もう少しリスク管理について学んでいきたいと思った方はこちらの記事がおすすめです!
カリウムについて学んでおく必要性はなんですか?