【知らないと危険!】療法士が知っておくべき脳ヘルニアの種類や症状・リスク管理について解説!!

脳ヘルニア リスク管理

 

 

この記事を読んで欲しい方
  • 今すぐ脳ヘルニアについての知識が必要な方
  • 脳ヘルニアの種類が知りたい方
  • 脳ヘルニアのリスク管理について知りたい方
  • 脳ヘルニアの方の離床に悩んでいる方
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はじめに

おばんです!

前回は脳浮腫について勉強しました!

今回は前回の脳浮腫にも関連してきますが

脳ヘルニアについて勉強していきます!!

急性期の脳卒中患者において        脳ヘルニアを呈してしまう方は少なからずいらっしゃいます

発症時から脳ヘルニアを伴っている方もいますが

入院後に出血拡大や脳浮腫拡大によって徐々にその進行に伴った症状が出現してくる方もいます

 

なので、私たち理学療法士をはじめとしたリハビリが介入した際にも

脳ヘルニアが進行してしまっている状態に出くわすことが少なくありません!

その際、脳ヘルニアの進行を知らずに離床をしてしまった場合どうなるでしょうか?

あまり想像したくありませんよね?

自分たちが介入した際に適切な対応がとれるよう

脳ヘルニアについてしっかり学んでいきましょう!!

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脳ヘルニアとは?

脳ヘルニアとは、

教科書的には

脳占拠性病変(脳出血や脳梗塞など)とその周辺の浮腫により
脳実質が圧迫され
頭蓋内圧が亢進し
その一部が別の区画に移行することを指しています

この”区画”について補足すると

大脳や小脳は、頭蓋内で”硬膜”によって隔てられています。

それぞれ部位によって名前が変わります

脳 硬膜 種類

左右の大脳半球→大脳鎌

左右小脳→小脳鎌(これはすみませんが図には入れていません)

大脳半球と小脳→小脳テント

 

これらの硬膜によってある程度隔てられているわけですが、

完全に区切られているというわけではなく、一部だけです。

脳ヘルニアは何かしらの理由で脳実質が押され、

上で説明した隔たりの間から

左右またはテント下にはみ出てきます。

小脳に関しては”大後頭孔”という延髄が通過する孔に押し出される場合もあります

それでは、脳ヘルニアにはどんな種類があるんでしょうか?

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脳ヘルニアの種類

脳ヘルニアには

  • 原因となる脳占拠性病変の位置
  • 圧迫の方向性

これらによって数種類に分けられます!

それらは以下のようになります!!

脳ヘルニアの種類
  1. 大脳鎌下ヘルニア
  2. 中心性ヘルニア
  3. 鉤ヘルニア
  4. 上行性テント切痕ヘルニア
  5. 大後頭孔ヘルニア

 

この中だとどれが危険性が高いの?

と思う方もいるかもしれません。

基本的には、脳幹付近に脳占拠病変があるものの方が

呼吸中枢を障害しやすいため、死亡リスクは高いです。

つまり

鉤ヘルニア(中脳を圧迫)、大後頭孔ヘルニア(延髄を圧迫)

生命予後に関してはこれら脳幹付近の脳ヘルニアが重要になります!!

 

どこの部位に脳ヘルニアを呈していないかを確認するのは非常に重要です!

 

ちなみに、鉤ヘルニアの場合、以下の所見を認める場合があります!

Kernohan’s notch(Kernohan切痕)

Kernohan’s notch   Kernohan切痕

脳へルニアにより偏移した脳実質(側頭葉)が反対側の大脳脚がテントの縁に押しつけられて損傷

同側の運動麻痺を生じる(元の出血による損傷と合わせて両片麻痺を呈すこともある)

 

Duret出血

Duret出血

脳底動脈の穿通枝(上小脳動脈)が牽引され破綻。その結果中脳に出血が生じた状態

 

 

これらに加えて、反対側の脳底動脈の穿通枝の圧排による脳梗塞なども出現する可能性があります!

 

 

脳ヘルニアのリスク管理に必要な所見

それでは、脳ヘルニアを呈している患者に介入する際の

リスク管理に必要な所見についてまとめていきます!!

脳ヘルニアの初期段階は頭蓋内圧亢進の3徴候を確認しよう!

前回の記事にも書きましたが…

頭蓋内圧の亢進は脳出血などの発症直後だけでなく、

脳ヘルニアの初期段階から認める可能性があります!

正常時は頭蓋内圧が6~12mmHg程度ですが

 

20mmHgを超えると

以下で説明する症状が出現する可能性が高くなります

まだ意識障害を呈していない場合は頭蓋内圧亢進の3つの徴候を評価することが重要です。

脳浮腫の臨床症状・身体所見

それぞれポイントもあるため補足しますね!

  • 頭痛

夜間や起床時に多い

持続する

  • 嘔吐

食事とは無関係に起こる

嘔吐後軽快する

  • 鬱血乳頭

進行すると視力障害をきたす

このうち頭痛や嘔吐については、

理学療法介入中に脳出血やくも膜下出血などを急性発症・再発してしまった場合に認めることもあります。

急性期だけでなく、そのほかの病期においても

頭痛や嘔吐が何によって引き起こされたかを

カルテ情報から推測したり、そのほかの身体所見を確認するなどして対応しましょう!

脳ヘルニアの進行は意識・眼・呼吸・姿勢から判断しよう!

次は脳ヘルニアが進行し、意識障害を呈している方の場合の評価方法について説明します!!

重度のヘルニアの場合

離床だけではなく医師に介入自体の中止について相談したりもします!

意識障害

意識障害については

Japan Coma Scale(JCS)

Glasgow Coma Scale(GCS)

この2つのスケールで評価します!!

眼症状

眼症状は

  • 瞳孔の大きさ
  • 反射の有無
  • 眼球運動

この3つで評価可能です!!

脳ヘルニア 眼症状

呼吸異常

呼吸状態については

  • 呼吸の回数
  • 呼吸のリズム
  • 呼吸の深さ

この3つについて評価します!!

脳ヘルニア 呼吸異常 失調性呼吸 中枢性神経性過呼吸 Cluster呼吸

姿勢異常

姿勢異常は四肢に屈曲・伸展パターンが生じていないかを確認します!

  • 除脳硬直
  • 除皮質硬直

これらの姿勢は図で説明しますね!!

除皮質硬直 除脳硬直 脳ヘルニア

以上、意識・眼・呼吸・姿勢の4つの項目についてまとめました!!

このほかに、頭蓋内圧(ICP:intracranial pressure)モニターが設置されているようでしたら

頭蓋内圧が前日に比べ亢進していないかなどをチェックするのがいいと思います!

これらの情報を

毎朝カルテ情報から収集したり

介入中のモニタリング で評価をした上で

介入するかどうかや離床について検討しましょう!!

脳ヘルニアを認めている状態での離床はどうなの?

ここが一番重要ですよね!

基本的には医師の指示に従いましょう!!(当たり前ですね)

僕の感覚ですが、

基本的に脳ヘルニアを呈している状態であれば床上安静の指示が下されているはずです。

例外としては、

  • 治療(抗浮腫療法など)によって脳ヘルニアがコントロールされている場合
  • 外減圧術や内減圧術後の方の場合

このような場合には

時折、医師(担当医にもよりますよ!)から離床するよう指示が出たりもしますが

その際には明確な指示をもらいましょう!

  • どこまで進めればいいのか?(端座位?車椅子乗車?など)
  • 血圧やICPなどの上限はあるか?
  • 実施時間は?など

これらの情報を看護師も交えながら

しっかり綿密に共有し合うようにしましょう。

そして、介入直前に先ほど説明した所見において症状の進行を認めていないか確認します!

離床中も常に確認します!

離床も大切なことですが、

まずは生命を守ることが最優先ですので、決して自己判断で進めないようにしましょう!

まとめ

最後まで読んでいただいてありがとうございます!

脳ヘルニアは脳卒中による合併症の中でも特に配慮が必要な症状の1つです

急性期に勤めている方はもちろんですが、

以前、自分の病院では回復期でのリハビリ中に再出血を起こし、戻ってこられた方もいらっしゃいました。

ですので、病期に関係なく頭蓋内圧亢進症状やその他の所見をある程度理解して覚えていることはもしもの時のために重要なことだと思います!

それでは以下に本記事のまとめを載せます!

本記事のまとめ
  • 脳ヘルニアは脳病変や浮腫によって脳実質が押し出される状態
  • 脳ヘルにアには数種類あるが、脳幹に近い場所にある場合は死亡リスクが高い
  • 脳ヘルニアの初期症状は頭蓋内圧亢進の3徴候を確認しよう
  • 意識障害が強い場合は意識・眼・呼吸・姿勢の評価をしよう
  • 離床については必ず医師に確認し他職種間で綿密に情報を共有し合おう

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