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Contents
はじめに
今日は姿勢制御ついて勉強していきます!
高齢者や脳卒中患者への理学療法介入においてはバランスや姿勢運動の学習というのは必要性が高い項目であると考えています。
もちろん、パワーも重要。
でも筋肉隆々の男性でも華奢な女性でもスムーズに立ったり歩いたりできているのは姿勢制御がしっかり機能しているからなんですね。
バランス活動に必要な要素についてはこの記事で記載しています。
今日は姿勢制御の中でもバランス活動に必要な要素にも挙げられている2つの姿勢制御
- 予測的姿勢制御(先行随伴性姿勢制御:pAPA)
- 反応的姿勢制御(随伴的姿勢制御:aAPA)
皆さんも少しでも姿勢制御を調べたことがある人はわかっていると思うんですが、
色々な神経回路の名前がでてきて頭がぐちゃぐちゃしちゃいますよね
今回は、一度読めば脳画像における姿勢制御に関わっている経路が一発で分かるような内容にしていきますね!!
では、よろしくお願いします!
// /予測的姿勢制御(pAPA)って?
聴き慣れない方もいるかと思いますのでまず予測的姿勢制御がどのような機構か説明します!
随意運動としての行動の発現には姿勢制御が先行し、
バランスを崩す要因を最小にするため予測的姿勢制御が働く
Shumway-Cook A, Woollacott M
はい、難しいですね笑
名前をそのまま読むと「予測的に行われる姿勢制御」
これを肉付けしていくと、
人が行動する前に脳がその行動の結果予測を基にして
その行動後もバランスを保てるように事前に指令を出すこと
手を伸ばしたり足をあげたりなどの随意運動という行為は、姿勢制御的には外乱とみなされます。
その外乱が生じる前から体幹や近位筋の筋緊張が高まる事で姿勢を保持したままの随意運動ができるわけです。
これは反応的姿勢制御と違い、感覚フィードバックなしに実行されます
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反応的姿勢制御って(aAPA)?
代償性姿勢制御というふうに話している先生方もいらっしゃいますよね。
外乱に対して身体バランスを補正せる姿勢反応
高草木薫 大脳皮質・脳幹-脊髄による姿勢と 歩行の制御機構 Spinal Surgery 27(3)208-215,2013姿勢制御に関わる神経システムより引用
運動によって引き起こされた外乱(姿勢変化)を体性感覚や視覚・前庭感覚によって感知し、
フィードバックしながらリアルタイムで調整していく制御機構になります!
二つの制御機能について簡単にまとめるととこんな感じですね

臨床場面や学会などでは、APA’sとかフィードフォワード・フィードバックとかサラッと話されているこの機構
実際、脳のどこに出力先があってでどんな経路になっているかを知らないと、脳画像をみて予後予測ができないですし、発表を聞いていても内容の理解が進みません。
ここから本題の神経システムについてまとめていきます
内側運動制御系と外側運動制御系
”体幹や上下肢の近位筋による歩行や姿勢制御“と”手指の遠位筋を用いる巧緻運動“には異な
る神経機構が関与する
高草木 薫 脊髄外科 (2013.12) 27巻3号:208~215. 認定医-指導医のためのレビュー・オピニオン 大脳皮質・脳幹-脊髄による姿勢と歩行の制御機構
高草木先生が話している通り随意運動と姿勢制御の神経システムは違います。
皆さんがよく知っている皮質脊髄路(錐体路)は外側運動制御系にあたります。
今回は、姿勢制御についてですので
内側運動制御系について話します。
皮質網様体脊髄路=皮質網様体路+網様体脊髄路
恥ずかしながら脳の勉強始めたての頃、これが理解できなかったんですよねー
急に違う名前がでてきて思考停止笑
でも思考停止せずにしっかり読んだらこういうことだとわかりました笑(いやはじめから分かれ)
ではこの二つを分けて解説していきますね!
皮質網様体路

皮質レベル

放線冠レベル

基底核レベル
中脳レベル

橋レベル

延髄レベル
そして脳幹網様体を介してさらに2つの経路に分かれます。
網様体脊髄路(橋網様体・延髄網様体→脊髄)

- 橋網様体=内側網様体
- 延髄網様体=外側網様体
と表現されていたりもします
2つの経路はそれぞれ脊髄を介しγ運動ニューロン、α運動ニューロンから骨格筋へ指示を伝達します。
橋網様体脊髄路と延髄網様体脊髄路の違い
ここまでくればもうあと少しです。
なぜ網様体脊髄路は2手に分かれたんでしょう?
上の画像からなんとなく、主に作用する側(同側or反体側)が違うのかな?と言うのは分かると思いますが、、、
二つの網様体脊髄路の働きには決定的な違いがあります!
それがこれ!
- 筋緊張の促通
- 主に同側の体幹や四肢近位部(骨盤帯や肩甲帯)に作用する
- 予測的姿勢制御機能
・筋緊張の抑制
・主に反対側の体幹や四肢近位近位部(骨盤帯や肩甲帯)に作用する
・反応的姿勢制御機能
筋緊張の抑制系と促通系の間には、相互抑制作用が働く.この仕組みにより,適切な筋緊張レベルが維持される.
高草木 薫 大脳皮質・脳幹-脊髄による姿勢と 歩行の制御機構 Surgery 27(3)208-215,2013 より引用
この2つの制御系がお互いに作用し合うことで、僕たちが行おうとしている随意運動に適した姿勢制御を提供したり運動中に微調整してくれてスムーズな動作が行えるようになるんですね!

この記事はこれで終わりになります!
姿勢制御のメカニズムを理解したところで
次回はこの二つの姿勢制御を踏まえた予後予測や介入方法などについて勉強できたらなと思います!
まとめ
- ・予測的姿勢制御=随意運動前におこる制御機構
- ・反応的姿勢制御=リアルタイムにおこる制御機構
- ・随意運動と姿勢制御の神経機構は別である
- ・皮質網様体脊髄路=皮質網様体路+網様体脊髄路
- ・橋網様体脊髄路=予測的姿勢制御
- ・延髄網様体脊髄路=反応的姿勢制御
学生・若手セラピスト
姿勢制御を初めて勉強しようと思った人
姿勢制御に関わる神経経路が難しくて整理できていない人