- 研究に取り組んでいきたいけど何から勉強すれば良いかわからない
- 学校の授業や研究課題に取り組むことになったが基礎知識がない
- 自分が研究で使用したいアウトカムの尺度が分からない
Contents
はじめに
おばんです!
今回から、批判的吟味をする上で必要な統計的な解析方法が妥当がどうかを判断するために
研究の種類や解析方法(統計)について分かりやすくまとめていこうと思います。
僕もですが、研究と聞いただけで苦手意識があるような方もいるのではないでしょうか?
少しでも皆さんに分かりやすい記事にしていけたら幸いです。
今回は尺度について学んでいきましょう!
尺度ってご存知でしょうか?
研究法や統計の前にここを理解しないと途中でつまづいてしまうので先にまとめていきます。
では、いってみましょう!
// /尺度とは?

尺度とは、一般的には長さや寸法という意味。またはそれを測る道具という意味です。
それが転じて計算や評価の基準とも意味づけられていますが
統計学的には、後者である評価の基準という意味合いの方が強いでしょう。
// /尺度の順序関係と意味
尺度には何種類かあります。意識していないだけで私たちの周りは尺度だらけです。
皆さん、尺度の種類とその役割については学んできている人もいると思いますが、
尺度にはそれぞれ順序関係があることを知っていますか?
左から、名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比例尺度の順で尺度が持ち合わせている意味が増えていきます
言葉だと分かりにくいと思うので図にしてみました!ご覧ください

このような関係になっています。
補足ですが、
- 質的変数→数字で測ることができないもの
- 量的変数→数字で測ることができるもの
と置き換えられます。まぁ説明しなくても分かりますよね笑
わざわざ、繰り返したのは理由があって、研究で取り扱っている変数が量的変数×質的変数なのか、量的変数×量的変数なのかなどの組み合わせで統計処理が変わります。
ここは別の記事で説明しようと思いますので、変数の名前も覚えておいてください。
次は理学療法研究で用いられている各アウトカムがどの尺度に該当するのかをまとめてみました
理学療法研究でよく使用される名義尺度の例
名義尺度はカテゴリーとかカテゴリー型データとも呼ばれていますよね。
- お互いを比較する時、同じであるか違うかのみ(名義が一緒か否か)
- 大小関係(順序)は無い
理学療法における研究論文だと以下のような名義尺度が用いられています。
- 名前
- 性別
- 疾患名
- 病型
- 身体の部位 etc
こんなところでしょうか。
余談ですが、この尺度に統計処理を行いたい場合はダミー変数(例:男→0、女→1)に変換する必要があります。
理学療法研究でよく使用される順序尺度の例
この尺度は思いつくだけでも途方もない量がありますよ~
- 名義尺度が持つ意味+大小(順序)関係
順序尺度にはどんなものがあるか、僕が普段からお世話になっている論文の数々で用いられていたものを載せていきます!
- Bruunstrom Recovery Stage
- Stroke Impairment Assessment Set(SIAS)
- Fugl-Meyer Assessment(FMA)
- Manual Muscle Test(MMT)
- Functional Ambulation Category(FAC)
- Berg Balance Scale(BBS)
- modified Rankin Scale(mRS)
- Functional Independence Measure(FIM)
- Bathel Index(BI)
腱鞘炎になりそうなのでこれくらいにしておきましょう。
皆さんが普段使っている評価の大半は順序尺度に当てはまりそうなくらい多いです!
理学療法研究でよく使用される間隔尺度の例
代表的なものは”気温”ですよね!(絶対温度は比率尺度ですよ~)
- 順序尺度までの意味(名義・大小)+値同士の差
- 0は相対的な意味しかない(単位を換えると0が移動してしまう)
これは…
純粋な間隔尺度であるものはあまり使われてないかな~…
すみません、調べられる範囲で調査しましたが、胸を張ってご紹介できるアウトカムはございませんでした…
正確には順序尺度だけど…
- あらかじめ”等間隔”という前提で行うアンケート調査
- 順序尺度(例:SIASやNRS、MMSEその他諸々)を間隔尺度とみなして解析する
などが当てはまるようです。
理学療法研究だけに限らず、順序尺度を間隔尺度としてみなして統計手法を適応する例は多いようです。
なぜなら、
量的変数である間隔尺度として扱った方が統計手法の制約が少なく,
結果の解釈も簡単になるから
なので、文献を読んだときに
「これ順序尺度なのになんでこの統計手法が使われてるんだ?ワカラン」
とすぐ判断せず「あー、間隔尺度としてみなしてるんだな」って感じで読んでくれたら良いのかなぁと思います。
自身の研究で用いる際には、先行文献なども参考にしてしっかり検討してからの方が良いと思います。
理学療法研究でよく使用される比例尺度の例
最後は比例尺度です!
- 間隔尺度までの全特徴
- 0の値が絶対的な意味を持つ
そのため、比率尺度は長さや時間,重量などが適用されます
統計解析する際には
その数値が持っている意味が多い方がより正確な推論が可能となると言われています。
そのため、研究においてはできる限り比率尺度の指標を用いることが推奨されています
以下が理学療法研究でよく見るであろう比率尺度です!!
- 身長
- 体重
- 年齢
- 血圧や脈拍、呼吸数
- 動脈酸素飽和度
- 関節可動域
- 10m歩行速度
- 6分間歩行試験(6MD)
- 片脚立位保持時間
- 下肢荷重率
- timed up and go test(TUG)
- 筋力値体重比(N/kg)やトルク値体重比(Nm/kg)
などが挙げられます!
まとめ
今回は、研究法や統計を学ぶ前に尺度についてまとめてみました!
理学療法に限らず、研究を行う上では統計手法の正しい選択は必須ですので
その基礎となる尺度についてはしっかりここで理解しておきましょう!
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