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認定理学療法士試験 を受けるべき理由とは?【はじめに】

” 認定理学療法士試験 ” について今回もやっていきます!!
この記事では、
協会指定研修
②臨床・疫学研究の推進
この範囲の内容を書かせていただきます!!
Yu-daiと言います!
自分自身の知識の研鑽や日々のアップデートを目的に
新人セラピストや学生向けに
”脳卒中”や”急性期におけるリスク管理”などを中心とした
知識の発信をさせていただいています!!
知識発信はBlogが主ですが、TwitterやInstagramもやっています!!

認定PTって何かとるメリットってありますか?
正直給料とか変わらないですよね??
認定理学療法を取得するメリットや申請方法などは別記事で詳しく紹介します!!
僕自身は現在、症例報告提出済みまでの状態ですが、
症例報告の作成を通して…
- 勉強意欲の向上
- 評価技術の向上
- 現状の統合・解釈能力がどの程度が把握できた
→自分の能力を客観的に評価できそこから改善できた - 文章作成能力の向上
- 症例と改めて向き合うことができた
こんな感じですね!!試験前からすでに色々と身についていると感じています!
これからも資格の取得抜きに
月に一回程度は症例レポートを作成してみようと思えました!
関連記事で詳細を説明していますが、
ここにも一応認定PT・専門PTを取得するメリットについてまとめますね!!
- 勉強意欲(やる気)の向上
- 新たな知識の取得及びBrush up
- 評価技術・思考能力の向上
- 協会・県士会主催の勉強会の講師になれる
- 協会・県士会主催の学会で座長や演者・査読者になれる
下の項目については、研究分野での実績や人脈なども影響してくると思いますが
将来のために院外での実績を積み上げていきたい!!という方には魅力的なメリットですよね?
現状、給料などの待遇面で優遇されるような話はあまり聞きませんが
病院内の広告などで紹介してもらえるなど少しずつ認知されてきているようです。
協会側も、”診療報酬のアップ”や”医療広告ガイドラインへの登録”など認定PTの価値を高めようとしてくれているようなので、今後長い目で見た際には給料アップ・キャリアアップにつながってくるのではないでしょうか?
どうして僕がそう断定できるのかは関連記事で確認してみてください!!

そこまでくれば転職にも有利になるだろうから先に取っておいて損はないかも知れないね!!
目で見えないメリットもたくさんあるので僕は認定PTの取得には肯定的な立場でいようと考えています!

うん、僕も取得に向けて少しずつ頑張っていこうと思います!!
認定理学療法士試験 (共通)に出題される可能性が高い箇所はこちら!

冒頭でも説明した通り、
今回は②臨床・疫学研究の推進からまとめていきます!
ちなみに、協会指定研修は以下の①〜⑤の分野に分かれています!!
- 協会が目指す専門・認定理学療法士の役割
- 臨床・疫学研究の推進
- 根拠に基づく理学療法
- 理学療法ガイドライン
- 医療安全・労務管理

今回は、②の部分をまとめていくよ!では、スタート!!
認定PT試験にでそうな箇所①PECO(PICO)
まずは、こちら!!
PECO(PICO)
研究に携わっている方なら知っている人も多いかと思います!!
- P:Patient
- E/I:Exposure / intervention
- C:Comparison
- O:Outcome
PECO(PICO)とは、「問題の定式化」で、臨床的な疑問に対して、その要素を網羅的に上で紹介しているように表現したものです!!
つまり、科学的にその疑問を解決、つまり研究しようとすると必ずと言っていいほどこの形で表現することが可能です!!
日本語で表現しようとするとこんな感じですね!
- P:どのような患者(対象者)において
- E/I:何によって/何をすると
- C:何と比べて
- O:どうなるのか
次は具体的な例を示していきます!!
脳卒中に関連したものにしてみます!※あくまで架空です!
P:急性期脳卒中患者において
E:体幹機能練習を追加して行うことで
C:通常の理学療法のみを行った群と比較して
O:動的バランス能力が向上する
こんな感じですね!!
問題では、頭文字とその内容の組み合わせ問題のようなものがでそうな気がします!
認定PT試験にでそうな箇所②交絡因子と中間因子
次はこちら!!
交絡因子と中間因子

急になんですか、全く分からないです…
まずは、交絡因子から説明していきましょう!!
交絡因子は、”交絡バイアス”を生じさせる要素のことです!!
バイアスとは、
『exposure』と『outcome』の関係の強さを系統的に歪めてしまうものです
バイアスには、様々なバイアスが存在しますが…
✔︎選択バイアス
✔︎情報バイアス
✔︎交絡バイアス
この3つに分けられます!!
バイアスとは,明らかにしたい真の結果を誤らせる要因のことであり,日本語では「偏り」や「誤差」と訳されています.バイアスの種類には,選択バイアス,情報バイアス,交絡バイアスの3つがあり,対象の選択,データの収集,結果の分析などで起こりやすいとされています.
一般社団法人理学療法学会連合 EBPT用語集より引用
バイアスについてはまた別記事で紹介しようと思います!

どういうものが交絡因子になるんですか?
交絡因子となる条件について話しますね!!
- アウトカムに影響を与える
- 要因と関係がある
- 要因とアウトカムの中間因子ではない
これらが条件になります!!
③にまた、「中間因子」というワードがでてきたのでこれについても説明していきます!
中間因子とはこういうものです!
因果の中間にあること
✔︎要因→因子→アウトカムの一連の流れが成立する
✔︎中間因子の例①:降圧剤→血圧→脳梗塞
(降圧剤を飲んでいる人は血圧が低いため脳梗塞のなりにくいという流れができる)
✔︎中間因子の例②:超早期産児→脳出血→発達障害
(超早期産児は脳出血のリスクが高く、脳出血の結果、発達障害が生じやすい)
✔︎交絡因子の例:降圧剤→年齢→脳梗塞×
(降圧剤を飲んでいる人ほど年齢が高いというわけではないが、年齢が高い人ほど脳梗塞のリスクは高いかもしれない)

要因と因果を中間で結び付けられるようなものは中間因子ってことだね!!
ここでは、交絡因子の条件3つについてはしっかり覚えておきましょう!!
また、試験では”交絡因子”なのか”中間因子”なのかについての問いもあるかもしれないので交絡因子と中間因子の違いを感覚的にでも理解しておきましょう!
次でお話しする「研究デザインとの組み合わせ」で出てくる可能性もあります!
認定PT試験にでそうな箇所③研究デザイン
次は「研究デザイン」についてですね!!
ここはかなり試験に出しやすい内容だと思います!!
それぞれの研究デザインの特徴を長所・短所でしっかり理解できている人は結構少ないんじゃないでしょうか?
まずは研究デザインについてどんなものがあるか挙げていきましょう!!
- 横断研究
- 症例対照研究
- 前向きコホート研究
- 後ろ向きコホート研究
- ランダム化比較試験
講習会で紹介されている種類はこんな感じです!
研究は大きく分けると、観察研究と介入研究に分けられます!!
✔︎横断研究
✔︎症例対照研究
✔︎前向きコホート研究
✔︎後ろ向きコホート研究
✔︎ランダム化比較試験
こんな感じで分けることが可能です!
それぞれの研究が観察研究なのか介入研究なのかについて問われそうですね!
観察研究は、実際は記述的研究や分析的研究などさらに細分化できますが
もっと深く知りたい方はこちらの記事がおすすめです!!
それでは、各研究の特徴について長所・短所に分けてまとめていきましょう!
先ほどの関連記事にもまとめていますが、
簡単にそれぞれの特徴をまとめていきます!!
上の表でイメージしにくい部分もここで少しでも解消できたら嬉しいです!
研究デザイン | 長所 | 短所 |
---|---|---|
横断研究 | ✔︎研究期間が比較的短い ✔︎コストが比較的低い ✔︎複数のアウトカムを同時に研究することが可能 ✔︎有病率などを求められる | ・因果関係が不明 ・稀な予測因子やアウトカムに向かない ・罹患率を求めることができない |
症例対照研究 | ✔︎稀な疾患やアウトカムに適応可能 ✔︎研究期間が比較的短い ✔︎コストが比較的低い | ・サンプリングバイアスが生じやすい |
前向きコホート研究 | ✔︎因果関係を比較的明確にできる | ・研究期間が比較的長い ・コストが比較的かかる |
後向きコホート研究 | ✔︎研究期間が比較的短い ✔︎コストが比較的低い | ・対象者の選定や測定をコントロールできな |
ランダム化比較試験 | ✔︎ランダム化により交絡因子の制御が可能 ✔︎治療効果・予防効果を検証できる | ・研究期間が比較的長い ・コストが比較的かかる |
研究期間の”長さ”や”コスト”については
それぞれのデザインの特性を考えれば覚えることが難しくありません!!
それぞれの長所・短所についてしっかり覚えておきましょう!
アウトカムとの関連などその他の項目についてイメージしづらい方は下に少しまとめておくのでみてみてください!

ちょっと難しくなってきたけどもう少しがんばります!!
研究デザインについて分かったところで…
・研究デザインと各バイアスとの関係性
・各研究デザインで因果関係が分かるかどうか
こちらについてまとめておきます!!


ほとんどのバイアスを回避するためには”前向き研究”や”RCT”が有用みたいだね!!因果関係を説明するのにも有用だね!
この領域では、それぞれの特徴や長所・短所などを組み合わせるなど
非常に出題しやすい範囲だと思うのでしっかり覚えておきましょう!!
認定PT試験にでそうな箇所④尺度
次は尺度についてです!!
変数を値が持つ性質で整理したもの
それぞれの”尺度”はこちらです!
- 名義尺度:他と区別し分類するためのもの
- 順序尺度:順序に意味があるが間隔には意味がないもの
- 間隔尺度:目盛りが等間隔になっているもの
- 比例尺度:原点があり、間隔や比率に意味があるもの
これが一般的に”4つの尺度”と言われているものですね!!
学校の授業などでもこちらで習っているのではないでしょうか?
また、別の分け方も存在します!!
講習会ではそちらも講義されていたのでこちらもぜひ覚えておいてください!
- 離散変数(名義尺度・順序尺度)
…とびとびの値をとる変数(サイコロの出る目、トランプをランダムに引いたときの数字) - 連続変数(間隔尺度・比例尺度)
…連続した値をとる変数(重量・温度)
講義では、感覚尺度と比例尺度はまとめて”連続変数”でまとめられていました!
連続変数については、特徴をさらに詳細にまとめておきます!
- 身⻑、体重、年齢など数値の差が等間隔のもの。
- 5件法なら連続変数とみなす場合もあるが、7件法でも少ないと考えられる場合もある。10件法以上であれば概ね連続尺度とみなされる場合が多い。
- 平均値、中央値、四分位など定義することが可能。
”5件法”というのは、選択肢の数が”5段階”に別れているということです!!
つまり、7件法=7段階、10件法=10段階ってことです!
どの”尺度水準”にするかを考える際に、選択肢の数は判断材料の1つになります!
どう判断していくかはこの後説明しますね!!
尺度にはもう1つ分け方があります!
・質的データ(名義尺度・順序尺度):数字で測ることができないデータ
・量的データ(間隔尺度・比例尺度):数字で測ることができるデータ
それでは、話の本筋を戻し4つの尺度についてまとめていきますね!!
他と区別し分類するためのもの
- 例:血液型・男女・郵便番号・学籍番号など
- 臨床的な例:死亡の有無・介入効果の有無・転倒の有無など
- 使用できる統計量:各ケースの数、計数、頻度、最頻値、連関係数
連関係数とは…
・クロス集計表における”行要素”と”列要素”の連関の度合いを表す係数=関係性の強さをあらわす指標。
・-1~1の範囲をとる(種類によっては0~1)
・代表的なものに”ファイφ係数”や”クラメールのV係数”などがある
・カイ二乗検定では、偏りのある”要素”を特定できないためその場合は連関係数で求める
順序に意味があるが間隔には意味がないもの
- 足し算や引き算ができない(1位+2位≠3位)
- 例:〇〇検定1級/2級/3級・1位/2位/3位など
- 臨床的な例:がんのステージ・MMT・Br.stageなど
- 使用できる統計量:中央値、パーセンタイル ※平均値はとれない
パーセンタイルとは、データを小さい順に並べた時、はじめから数えて全体の〇〇%に位置する値を〇〇パーセンタイルという。65パーセンタイルなら最小値から数えて65%のに位置する値を差す
目盛りが等間隔になっているもの
(間隔に意味があるもの)
- 例:気温(摂氏)・西暦・テストの点数
- 気温が10℃から20℃に上昇したとき、2倍になったとは言えない
- 使える統計量:平均値・標準偏差・順位相関係数・積率相関係数(相関係数)
間隔尺度から相関係数を使用することが可能になりますね!!
相関係数とは、2種類のデータの関係性の強さを −1 から +1 の間の値で表した数のこと。
一般的に、このように評価できる
・+1 に近ければ近いほど「強い正の相関がある」
・−1 に近ければ近いほど「強い負の相関がある」
・0 に近ければ近いほど「ほとんど相関がない」
原点があり、間隔や比率に意味があるもの
- 例:身長、速度、睡眠時間、値段、給料など
- 給料が10万から20万に上がったとき、2倍になったと言える
- 順序尺度・間隔尺度の性質も持つ
- 臨床的な例:血圧・脈拍・片脚立位保持時間・歩行距離など
- 使える統計量:平均値・標準偏差・相関係数・変動係数
変動係数とは、標準偏差÷平均値で出せる単位を持たない値。変動係数が小さいほど、測定の精度が高いことを意味する。”比例尺度”の場合に有効な係数。
4つの尺度についてはこれで以上になります!!
様々な組み合わせでの出題が考えられるのでしっかりと各尺度の名前と特徴を結びつけておきましょう!
尺度の見分け方としては、上の特徴を覚えておくという方法もありますが、以下のように段階的に検討する方法もあります!
- 選択肢が順番に並んでいるか
- 選択肢が何段階なのか
- 選択肢の間隔は等しいのか
この順番で検討していきましょう!!
こうすることで、名義尺度・順序尺度・間隔尺度までは分別可能です!
一般的に、選択肢が5段階(5件法)以上の場合は間隔尺度になる可能性が高いと言われています!
比率尺度については、上で紹介している通り原点(0)の有無で決めましょう!!
少し長くなりましたが、
以上で尺度について出題されそうな内容の解説は終わりです!
認定理学療法士試験 にでそうな箇所⑤統計手法の選択
次は統計手法の選択になります!!
ここから難易度がさらに上がっていきますが、一緒にがんばりましょう!
(僕ももう頭がショート寸前です笑)
まずは、統計がどんな要素で決められるかその要素をまとめておきます!!
- 対応の有無(ある・ない)
- アウトカムの尺度(名義・順序・間隔・比率)
- 正規性(正規分布・非正規分布)
- 比較群数・要因数
- 繰り返し回数
- サンプルサイズ
- 共変量による調整の有無

ほとんどの用語がピンとこないので頭に全く入ってきません…
1つ1つ簡単に解説していきますね!!
まずは、”対応の有無”とはなんなのかから!
2つの集団(2群)の比較において…
異なる集団について測定したデータ→対応のないデータ
同じ集団について測定したデータ →対応のあるデータ
あるデータが正規分布に従っていることを指す
✔︎グラフで表すと、平均値を中心に左右対称なグラフになる
✔︎正規分布しているデータ=パラメトリックデータ
規分布していないデータ=ノンパラメトリックデータ
✔︎ 正規性があるかどうかで選択すべき統計手法が変わる
✔︎正規性を確認するためには正規性の検定を行う必要がある
従属変数の観測変数の誤差を小さくするための変量
従属変数に影響を与える可能性のある独立変数以外の要因がある場合に使用
共変量を用いることで、検定後の誤差を少なくする
分散分析や回帰分析などで使用される
共変量に用いる変数が独立変数の影響を受けない変数であることが条件
同じ実験を繰り返すという意味
✔︎繰り返し回数=サンプル数(n=◯)
✔︎研究では、あらかじめ統計学的な有意差を検出するために必要なサンプル数を導いておく必要がある

これでもまだ難しいかもしれないけど、次に進んでいくよ!!
それでは、主な統計手法のパターンを紹介していきます!!
統計手法をまとめた表は最後に掲載しています!
まずは、対応のない変数で比較する手法!
- 2群間の独立した”連続尺度”の比較
- 2群間の独立した”順序尺度”の比較
- 2群間の独立した”名義尺度”の比較
- 3群間以上の独立した”連続尺度”の比較
- 3群間以上の独立した”順序尺度”の比較
- 3群間以上の独立した”名義尺度”の比較

次は、対応のある変数で比較する手法です!
- 正規分布している連続尺度
- 正規分布していない連続尺度
- 順序尺度
- 名義尺度

最後は、2群間の関係性をみたい場合や評価者内or評価者間における評価一致度や信頼性を示したい場合に用いる手法!
- 正規分布している連続尺度の関係性をみる
- 正規分布していない連続尺度の関係性をみる
- 順序尺度の関係性をみる
- 正規分布している連続尺度の信頼性をみたい
- 連続尺度の信頼性をみたい
- 順序尺度の信頼性をみたい
- 名義尺度の信頼性をみたい

はい、こんなところですね!!
これらの組み合わせは選択問題で出しやすそうなので
ある程度の手法は覚えるようにしましょう!
次の項目で最後です!がんばりましょう!!
認定理学療法士試験 にでそうな箇所⑥臨床的有意性を示す指標
最後に、”臨床的有意性”を示す指標についてです!!
先に指標の名前だけ教えておきます!
それがこちら!!
- 臨床的有意性のある最小変化 (MIC: minimally important change)
- 最小可検変化量 (MDC: minimal detectable change)

適切な統計をかけた結果、有意性が出ていたら良いんじゃないんですか?
統計学的な有意性が認められても、
臨床的に意味のある差かどうかはまだわかりません!!
その理由は、”P値”にあります!
アメリカ統計学会(American Statistical Association, ASA)は、
「統計的優位性とp値に関する声明」を発表し、p値の適切な利用と解釈に関する6つの原則を挙げています。
1. p値は、特定の統計モデルに対してデータがどれぐらい整合しないかを示すことができるもの。
アメリカ統計学会(American Statistical Association, ASA):「統計的優位性とp値に関する声明」より和訳し引用
2. p値は、「調べた仮説が真である確率」や「データが偶然の結果得られたものである確率」を示すものではない。
3. 科学的結論やビジネス・政策上の決定は、p値が一定の基準に達しているかどうかだけを根拠に下すべきではない。
4. 正しい推論を行うためには、詳細な情報と透明性が必要である。
5. p値/統計的有意性は、効果の量や結果の重要性を示すものではない。
6. p値そのものは、研究モデルや仮説に関する証拠を適切に測定するものではない。
最も注目してほしい箇所としては
p値が低いからといって、結果に実用性や臨床的重要性があるとはいえないということです!!

あくまでこの結果は、たまたまでたんだよっていう認識なんだね!!
p値はサンプルサイズの影響を受けると言われていますが、
どんな場合で影響を受けるのでしょうか?
臨床的に意味のない差でも、統計学的に有意な差として判断される
試験の有効性・安全性は確認されない≒実際に差がない場合もある
(≒第1の過誤、type 1 error, αエラー)
例:徒手筋力計での前後の差が1kgfだが有意差はP<0.05
例のように臨床的には、
僅かな値でもサンプルサイズが大きい場合には有意差が生じてしまうようです!!
では、反対に少なすぎる場合は?
そもそも統計学的な有意差が出ない
統計学的有意差を認められにくい≒実際には差がある場合がある
(≒第2の過誤、type 2 error, βエラー)
サンプルサイズが小さすぎると、検出力が弱く、差が生じている可能性があるのに検出されないということですね

なんとなくデータはたくさん用意した方が良いと思ってましたが、多すぎるのもよくなかったんですね…
そこで、臨床的な有意性を示すために用いる指標がこちら!!
- 臨床的有意性のある最小変化 (MIC: minimally important change)
- 最小可検変化量 (MDC: minimal detectable change)
高名な先生方の勉強会や講演会に普段から参加している人には
馴染みのある単語かもしれません!!
※その他にも色々な表記のされ方があります!!
これらの算出には以下の方法をとります!
- アンカーに基づく方法(anchor-based method)
- 分布に基づく方法(distribution-based method)
①から簡単に説明します!!
アンカーに基づく方法は、
質問紙のような患者報告式のアウトカムと外的基準(アンカー)との関連性から
臨床的に意味のある最小変化を同定する方法です!!
ある治療法”A”を使って100人を治療しました。
一方で、”その前後でどの程度改善したか”について
患者さんに以下のような質問紙表で回答してもらいます!!
①かなり改善(8人)
②ある程度改善(19人)
③少し改善(20人)
④変わらない(37人)
⑤少し悪化(13人)
⑥ある程度悪化(9人)
⑦かなり悪化(4人)
そして、それぞれの群で治療”A”の前後での変化量の平均値を算出します!!
①かなり改善ー変化量の平均値 30
②ある程度改善ー変化量の平均値 12
③少し改善ー変化量の平均値 7
④変わらないー変化量の平均値 2
⑤少し悪化ー変化量の平均値 -1
⑥ある程度悪化ー変化量の平均値 -10
⑦かなり悪化ー変化量の平均値 -20
これらの中で、改善はしてるけど最も改善度合いが少ない「少し改善」を
=”臨床的に意味のある最小の改善”
このように考え、少し改善の項目における変化量の平均値を”MIC”と定めます!!
次は、②分布に基づく方法(distribution-based method)!!
この方法は、
測定値のバラつき(SDなど)を基に意味のある差を算出する方法です!
先ほどの質問票の分布から”統計学的手法”を用いて算出する方法ですね!!
✔︎標準偏差(standard deviation:SD)
✔︎信頼性
これらの係数から測定誤差を算出します!!
この”測定の標準誤差”を…
”Standard Error of Measurement(SEM)”
このように表記しますが、
計算式はこんな感じになります!!
まずは、MCIDについて!!(SEM=MCID)
SEM=SD×√(1-r)
(r=信頼性係数)
次は、MDCを求める式です!!
MDC の 95%の信頼区間=1.96×√2 ×SEM
計算式まで試験に出るとは思いませんが、
MDC・MICの算出方法が2種類あることは覚えておきましょう!!
認定理学療法士試験 にでそうな箇所⑦効果量とサンプルサイズ
最後に、信頼性の高い実験を行うための要素について説明します!先ほどの話にも繋がってくる内容です!!
信頼性の高い実験を行うためには、実験の前後であることをする必要があります!!
サンプルサイズの設計(実験前)
検出力分析(実験後)
この2つになります!!
これらの分析には4つの因子が必要です!
- 有意水準
- 検出力
- サンプルサイズ
- 効果量
これら4つの因子のうち、
どれか1つを求めたい場合には残りの3つの因子を使用します!
先ほどの実験の前後でやっておきたい2つの操作はこうですね!!
サンプルサイズの設計=サンプルサイズを求めたい
検出力分析=検出力を分析したい
それでは、この2つについてそれぞれまとめていきます!!
「有意水準」「検出力」「効果量」の値が必要
・有意水準は、一般的に「0.05」、「0.01」が使用される
・検出力は、通常「0.8」・「0.95」
・効果量は、過去のデータや予備実験のデータから求める
サンプルサイズを分析する際にはよく「G*Power」というソフトが用いられます!!
先ほどの、
サンプルサイズの大きすぎ・小さすぎによる問題を防ぐためにも重要な工程です!
効果量については過去のデータなどから参照もできますが
一から検討する際にはいくつかの種類があることを覚えておく必要があります!!
検定(分析)の種類ごとに
代表的な効果量の指標や大きさの目安については先行文献で紹介されています!

ある程度代表的なものを抜粋して作成していますので気になった方は調べてみてください!!
”r”という効果量と、”d”という効果量が一般的なようです!
効果量の計算については、
日本理学療法学会連合のホームページからリンクが紹介されています!!
http://www.mizumot.com/stats/effectsize.xls
最後に、検出力です!!
「有意水準」「効果量」「サンプルサイズ」の値が必要
・これにより、P値が真に効果があったためのものだったかどうかがわかる
・追加実験を行う際の参考にもできる
検出力についてもサンプルサイズと同様に計算しましょう!!
サンプルサイズの時と同様に、「G*Power」というソフトで計算が可能です!
検出力が、1.0の場合はサンプルサイズが大きすぎる可能性があるので再検討が必要かもしれません!!
これで、試験に出題されそうな内容のまとめは終わりになります!!
お疲れ様でした!
ミニテストを作ってみたので、
現在の実力が気になる方はやってみてください!
認定理学療法士試験 の予想問題を解いてみよう!!【協会指定研修 ②臨床・疫学研究の推進】
上記の内容から5問出題します!!選択肢の順番や出題の順番は毎回シャッフルされます!
予想問題お疲れ様でした!!
いかがだったでしょうか?
結果が良かった方もそうでなかった方も残りの期間を乗り越えて認定PTの取得を果たしましょう!!
もっと本格的に予想問題を解きたい方は下の方に出題数を15題まで増やした本番Ver.(有料)を用意しているのでぜひ参加してみてください!
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まず簡単に自己紹介をさせてもらいます!