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はじめに
今回は脳画像について!!
以前、中心溝の探し方について書きましたが、今回はそれにも関連してくる内容です!!
脳卒中リハに携わっている皆さんが
CTやMRIをCheckするときに真っ先に確認することはなんでしょうか?

高次脳機能ももちろん重要だけど
やっぱり先に確認しておきたいのは運動機能面だよね!
脳画像でまず初めに知っておきたいこととしては…
- 運動麻痺は出現する可能性が高い?低い?
- 症状は重い?軽い?
上記のようなことをまず初めに知りたいのではないでしょうか?
そこで大事になってくるのが
”皮質脊髄路”が脳画像において
どこのスライスでどの部位を通るのか
ここを理解していないといけないですね!
今日はそういった勉強をしていきたいと思いますのでよろしくお願いします!
// /【結論】皮質脊髄路の脳画像各スライスにおける走行まとめ

時間ない方向けにこれからまとめる項目を全てまとめました!!
1次運動野→放線冠→内包後脚→大脳脚→橋腹側
他の脳画像の見方について知りたい方は
こちらの記事もどうぞ!!
皮質脊髄路とはそもそも何なのか


皮質脊髄路について少しおさらいしてもいいですか?

そうだね、少し確認しておこうか!!
皮質脊髄路は名前の通り
“大脳皮質から直接脊髄に投射する経路”
です。
そのままですね!
皮質脊髄路の主な機能は
骨格筋の随意運動を支配します!!
学校や教科書でこの皮質脊髄路が運動の経路として教えられた人が多いでしょう。
そのため新人の方や学生の方の勉強の取っ掛かりとしては
皮質脊髄路=運動神経の通り道
程度で覚えておいてもいいかもしれません。
しかし、
運動伝導路として中枢と脊髄をつなぐのは皮質脊髄路だけでもないし,皮質脊髄路がすべて運動ニューロンと直結しているわけでもない.
むしろ,そういう直接結合は少数派と考えるのが妥当.仮想討論会皮質脊髄路の基礎知識から引用
という見解がされているため全部じゃないんだ〜くらいは頭の片隅に置いておきましょう!
また、皮質脊髄路は厳密に言うと…
”外側皮質脊髄路”
”前皮質脊髄路”
”1次体性感覚野”
これら3つの総称です!!
いわゆる高次運動野(例:運動を円滑に行うための機能)などの重要な役割を果たしますが
それはまたの機会に!!


錐体路と皮質脊髄路は同じ意味で捉えておいて良いですか?

臨床などで何となく同じ意味で用いられていることは多いかな!
ただ、厳密に定義すると同じものではないから
僕は錐体路という表現は使わないよ!!
皮質脊髄路の類義語として「錐体路」という名称があるが,錐体路とは,元来は延髄腹側の錐体を通る神経路のことを呼ぶ。錐体を通る線維のほぼ90%が延髄レベルで終止するとされているので,厳密にいうと錐体路と皮質脊髄路は同一ではない。
伊佐 正:皮質脊髄路と運動制御 BRAIN and NERVE 64(11):1331-1339,2012
皮質脊髄路についてはまた別の記事でまとめていきます!!
今回は、正確には”外側皮質脊髄路”(以下:皮質脊髄路)の経路についてまとめていきますね
皮質脊髄路の経路はこちら!!

大脳皮質
↓
放線冠
↓
内包後脚
↓
(中脳)大脳脚
↓
橋腹側
↓
延髄
(錐体で交叉する)
↓
脊髄側索
↓
脊髄前角細胞
文字で書き起こすとこんな感じの経路になります!

結構多いですね…覚えられるかなぁ

1つずつまとめていこうか!!
脳画像各スライスにおける皮質脊髄路の探し方!

それでは皮質脊髄路の探し方について確認していきましょう!!
皮質レベルのスライスから下の方に向かうように説明していきますね!
頭頂レベルにおける皮質脊髄路の探し方
頭頂レベルにおける皮質脊髄路の走行位置(出発地点)はこちら!!

内側から外側に向かって…
下肢→体幹→上肢・手指→顔面
この順番で運動領域が分布しています!!
これらが帯状になって図のような位置に分布していますが、
その位置のことを1次運動野(ブロードマン4野)と呼びます!!

じゃあ1次運動野が分かれば、皮質脊髄路の出発点が分かるんだね!!

1次運動野を探すには”中心溝を同定する”に限るよ!!
- 上前頭溝法
- 帯状溝法
- 逆Ωサイン
詳細はこちらの記事でまとめています!!
半卵円中心レベルにおける皮質脊髄路の探し方!
次は半卵円中心レベルです!!

基本的には頭頂葉レベルと同じで
中心溝を探し、その前方の脳回が1次運動野です!
側脳室体部(放線冠)レベルにおける皮質脊髄路の探し方
次は側脳室体部(放線冠)レベル!!

ここのレベルから
頭頂葉レベル・半卵円中心レベルにおいて拡散していた神経繊維が収束し
神経繊維が束になってきます!!
このレベルにおける皮質脊髄路の見つけ方ですが…
画像を横半分に分割して
分割した線に接した下半分の領域にあると言われています!!
この同定法は実際に論文に掲載されているものです!
下にリンクを貼っておきます!!
上の図のようにおおよその通路の位置を同定したら、
各神経繊維はこのように通っているので当てはめていきましょう!
頭頂レベルから各神経繊維は捻れるようにして…
前から
頭
↓
上肢
↓
体幹
↓
下肢
この順序に並びます!
少し上級者向きですが…
先ほど紹介した文献には
放線冠レベルにおいて各繊維が内側寄りか外側寄りかについても言及しています!
簡単にまとめると…
放線冠の中でもより内側に顔面・上肢が、外側に下肢の領域がきます
詳細は是非文献をチェックしてね!!
松果体レベルにおける皮質脊髄路の探し方
次は松果体レベルにおける皮質脊髄路の探し方をまとめていきます!!
僕の印象としてですが
ここのレベルは視床や被殻、尾状核などの大脳基底核が存在していて
テストにもでやすかったので何となく「ここら辺を通るはず?」って感じで覚えていたかな笑
大脳基底核について詳しく知りたい方はこちらの記事でまとめています!
さあ、本題に入りましょう!
このレベルにおいて
皮質脊髄路は”内包後脚”を走行します!!


あーなんか聞いたことありますね!!
内包は…
内包前脚
内包膝
内包後脚
この三部位から構成されていますが、
それぞれに様々な神経繊維が走行しています!!
内包後脚を探すのに慣れていない場合は
各基底核の位置から予測していきます!
被殻・淡蒼球
視床
尾状核
これらに囲まれているのですが、何となく脚のような形をしていますよね?
ちょうど、膝の部分に当たるのが”内包膝”
内包膝を前後に挟むようにしてあるのが”内包前脚”と”内包後脚”です!
皮質脊髄路は
内包後脚のおよそ前3分の1あたりを走行しています!!!

このレベルでは
皮質脊髄路以外にも重要な神経繊維が多く密集しているから
少しずつでいいから覚えていこう!!
中脳レベルにおける皮質脊髄路の探し方
ここからは脳幹部です!!
まずは中脳レベル!

ここで皮質脊髄路は”大脳脚”という部位を通ります!!

中脳なのに大脳脚なんですね…(ややこしいなぁ)
このレベルは別名”ミッキーマウス”と言われていて
中心に隠れミッキーがいると思います!

ミッキーの形をした部位の”耳”に当たる部位が大脳脚だよ
皮質脊髄路は大脳脚の腹側(前の方)に位置しています!!
各神経繊維は内側から
顔面
↓
上肢
↓
体幹
↓
下肢
この配列になります!!
テント上病変によって皮質脊髄路の損傷が生じた場合には
”ワーラー変性”によって大脳脚の萎縮が生じることもあります!!
大脳脚や橋におけるワーラー変性は運動麻痺回復の阻害因子の1つとされているため
予後予測のためにもCheckしておきましょう!
慢性期における読影の方がメジャーですが、
急性期の時点でも拡散強調画像において高信号が生じると言われています!
気になる方はこちらの論文をCheck!!
橋レベルにおける皮質脊髄路の探し方
これで最後です!!

このレベルにおける特徴としては…
束状になっていた神経繊維が散在しながら下降していくことです!!
大まかな走行位置としては腹側(前側)になります!
このレベルは臨床的には
傍正中枝領域におけるBAD(分枝粥腫型梗塞:Branch atheromatous disease)によって
よく障害されているイメージ!
この場合、図のような領域が主に障害され、運動麻痺を呈する場合もありますが
筆者の経験上は改善しやすい印象が強いです
それも神経繊維が散在的に下降している影響なのかもしれません。
橋を通過した皮質脊髄路は
延髄の錐体を交叉して脊髄を下降していきます!!
皮質脊髄路の覚え方


皮質脊髄路の経路を語呂で覚えたいんですが
何か良いのありませんか?

ネットを検索すると色々出てくるよ!!
僕のおすすめはここら辺かな!
前回放送された内容、後半の脚本はすいませんでした
前回(中心前回)
http://medigoro.blog.fc2.com/blog-entry-102.html
放送(放射冠)された
内容、後半(内包の後脚)
の脚本(大脳脚)
すいませんでした(錐体交叉)
語呂合わせは覚え方の一つに過ぎないので
人それぞれのスタイルで全然大丈夫です!
自分の場合は、様々な脳画像の見方をまとめているうちに自然に覚えました!
各神経繊維や脳の部位を勉強しつつ関連づけていくと記憶に残りやすいですよ!!
まとめ
最後にまとめですね!!
皮質脊髄路の同定で意識しておいた方が良いポイント!!
- 頭頂レベルでは上前頭溝法・帯状溝法・逆Ωサインを用いて運動野を探そう!
- 半卵円レベルでは中心溝の位置から運動野を同定しよう!!
- 放線冠レベルでは前後をちょうど半分に分けたすぐ後方を走行する!
- 松果体レベルでは被殻・淡蒼球、視床、尾状核の位置から内包後脚を探そう!!
- 中脳レベルではミッキーの耳(大脳脚)を探そう!
- 橋レベルでは腹側を散在性に下降する!
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参考図書はこちら!!
タイトル通り本当に役立つ本です!!
説明などもわかりやすいですし、他の書籍ではあまりカバーされていない
脳幹についての項目も多いのでこれ一冊で十分脳画像について学べますよ!!
(かなり分かりやすく書いていますが、より理解を深めるには自分で深掘りする必要はあります)
この本では実際の障害(運動麻痺・失語etc.)と脳画像が結び付けられているので
脳画像の見方だけではなく、その障害像についても知ることが可能です!!
知識は1つのことを色々なものに結びつけることでより覚えやすくなりますから
脳画像だけではなく、脳機能についても勉強したい方にはこちらをおすすめしたい!!
うーん、やっぱりまずは運動麻痺があるかどうかですかね??