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はじめに

おばんです!Yu-daiです!!
今回は血ガスについての続き!
“PaO2“と”SaO2“
この2つの酸素パラメータについてまとめていこうと思います!!

この2つの数値について知れば…
- 肺での換気・ガス交換
- 酸素化
これらがうまくいっているかどうかが分かるよ!
つまり、それは離床などの僕らの介入に役立てることができるんだ!!
それでは、まとめてきましょう!!
最後まで付き合ってもらえたら嬉しいです!
PaO2(動脈血酸素分圧)とは?

まずは”PaO2”についてから!
臨床では上記のように省略されて呼ばれますが…
日本語では、”動脈血酸素分圧”
”肺胞気酸素分圧”ともいいますね!
PaO2=動脈血酸素分圧
✔️血中にどれだけ酸素があるかを表している(Hbと結合していない酸素というのがPOINT!)
✔️基準値は90〜100torr
✔️一般的に”酸素化”の指標といわれている
測定項目 | 基準値 |
---|---|
PaO2 (動脈血酸素分圧) | >80mmHg |

酸素化が”良い”とか”悪い”とかよく聞きますが、どういう意味なんですか?

PaO2は
”肺が血液を酸素化する能力の指標=酸素化の指標”
つまり、一般的に”酸素化がよい”と言われる意味としては…
しっかり肺で酸素を取り込めているね!
ガス交換が行われているね!ってことなんだ
もちろん、血液にいくら酸素が溶け込んでいても身体の細胞へ運ばれないと生体活動の維持をする上では何の意味もありません!
そこで、もう一つの酸素化の指標(諸説あるようです)であるSaO2(動脈血酸素飽和度)も用いる必要性がでてきます!!
PaO2についての詳細はまた別記事でまとめていきます!!
より深く知りたい方はそちらもみにきていただけたら嬉しいでーす!
SaO2(動脈血酸素飽和度)とは?

SaO2というのは、日本語では”動脈血酸素飽和度”といいます!

なんとなく、SpO2(経皮的酸素飽和度)と似てますが関係性があるんですか?

測定方法が”動脈血”からか”経皮的”にかの違いがあるだけで基本的には同じものをみているね!
SaO2とSpO2を合わせて”SO2”と呼ぶよ!!
動脈中のヘモグロビンにどれだけ酸素がくっついているか
✔️ヘモグロビン1分子で酸素4分子と結合が可能
✔️4つの結合子のうち、3つ結合すればSaO2は75%、4つ結合すれば100%
(厳密には正常時のHb:13〜15mg/L全てを合計して算出されるため97%、95%などの表記になる)
✔️PaO2と相関関係にあるが、体内の酸塩基平衡や一酸化炭素などに影響されやすい
酸塩基平衡や一酸化炭素について知りたい方はこちらをクリック!
【急性期リハビリには必須の知識!?】血液ガスの種類や基準値まとめ!!

SpO2は”細胞・臓器へ酸素を運ぶ能力の指標”ということなんだね!!
以上が”PaO2”と”SaO2”の基本的事項のまとめです!!
PaO2とSaO2の違いや関係性について!

今までの話を聞いて正直いうと…
別にSpO2だけでも良くないですか?
SpO2=SaO2=PaO2みたいなものですよね??

以下の理由でそういうわけにもいかないんだよ!
- SpO2が正常でも呼吸器には異常が生じている可能性がある
- SpO2の数値だけでは呼吸不全の原因を検索することができない
- SpO2とPaO2の関係性は酸塩基平衡や一酸化炭素などの影響を受けやすい
PaO2とSaO2の違い

まずはじめに、PaO2とSaO2についての違いをおさらいしておきましょう!!
PaO2→肺が血液を酸素化する能力の指標
SaO2→細胞・臓器へ酸素を運ぶ能力の指標
これらのことから何が言えるかというと…
”SaO2だけでは肺の状態は反映しきれない”ということです!

でも、PaO2とSaO2は相関関係にあるんだよね?

確かに
SpO2低い=SaO2低い=PaO2低い
これは成り立つ場面は多いけど
SpO2OK!=SaO2OK!=PaO2OK!
この関係は成り立たない場合があるんだよ!!
ここからは
”なぜSpO2だけの数値で呼吸状態を推定することが危険なのか”
こちらについて少しまとめていきます!!
PaO2とSaO2の関係性(酸素解離曲線)
今までさんざんPaO2とSaO2には相関関係があるとだけではぐらかしてきました…
みなさんは…
”酸素解離曲線”
このワードについて何か知っていたりするでしょうか?
まずは手っ取り早く図をお見せしましょう!!

これが、酸素解離曲線のグラフです!!
✔︎縦軸→酸素飽和度
✔︎横軸→酸素分圧
この曲線によって互いの数値が対応するもう片方の数値が表されています
この表に従うと…
SpO2:90%→PaO2:約60mmHg
SpO2:75%→PaO2:約40mmHg
このような推測をすることが可能になります!!

こんなに明確にPaO2とSpO2の関係を表している図があったんですね。
それなら尚更この図を信じていれば良いと思うんだけど…
図にも書いていますが、この酸素解離曲線には前提条件があるよ!
❶体温が37℃台であること
❷pH(水素イオン指数)が7.4であること
つまり、
発熱していたり、酸塩基平行がアシドーシス・アルカローシスになっていてもその数値は変わってきてしまいます!!
アシドーシス→酸素解離曲線は右側へ移動(右方偏位)
SpO2:90%→PaO2:70mmHgだったり80mmHgの可能性も
アルカローシス→酸素解離曲線が左側へ移動(左方偏位)
SpO2:90%→PaO2:50mmHgの可能性も

アシドーシスやアルカローシスについての詳細はまた別の機会にするけど…
急性期においては発熱はもちろん、酸塩基平衡も崩れている場合が多いからSpO2だけでは呼吸状態の把握が不十分な可能性が高いよ!!
一酸化炭素中毒の場合は、
酸素よりも一酸化炭素(CO)の方がヘモグロビンと結合しやすいため
血液中の酸素が高い(=PaO2が高い)状態でもSpO2が低下する
【おまけ】SpO2だけをみて安心してはいけない理由は他にもあるよ!!

先ほどまではPaO2とSaO2の関係を軸に
SaO2(SpO2)だけをみて”呼吸状態は大丈夫!”と鵜呑みしてはいけないよ!ということをまとめてきましたが…
ここからは少しおまけで、その他の理由についても簡単にまとめておきます!
呼吸回数の増加によってSpO2の数値は一時的に代償されてしまう
SaO2(SpO2)は呼吸状態、つまりは肺の機能が低下することでも数値は低下しますが…
症状が比較的軽度な場合は呼吸回数を増やすなどでも代償が可能になります!!

”呼吸数”も肺や呼吸機能の状態をアセスメントする上では非常に重要な指標だね!!身体がアシドーシスに傾いていても見受けられるから絶対に確認しておこう
一般的に呼吸数は12~20回/分!
個人差はあるので可能であれば普段の呼吸回数がどうだったかを思い出してみよう!!
酸素の過剰投与は危険!?【高酸素性肺障害】
僕は実際に臨床で遭遇したことはありませんが、このような可能性もあります!!
高酸素性肺障害(酸素中毒)
高酸素性肺障害とは、言葉の通り酸素濃度が高すぎることによって
活性酸素による細胞障害が肺や中枢神経系中心に生じます!!
ARDS(急性呼吸窮迫症候群)の原因の一つとしても挙げられます!
症状は以下の通り!
- 意識障害
- 痙攣
- 胸部不快感
- めまい
- 視野狭窄etc

酸素投与のしすぎでも身体には良くないんですね…

RST(呼吸サポートチーム)では
酸素の過剰投与についてもディスカッションすることは少なくないよ!!
その際に、注目する値としてはSaO2ではなく以下の項目になります!!
- 動脈血酸素飽和度(PaO2)
- 吸入酸素濃度(FiO2)
動脈血酸素分圧を70‐100mmHgに維持するように吸入酸素濃度を設定すべき
Castleman B, et al: N Engl J Med 1970; 282: 976
まとめ
今回は”PaO2とSaO2の関係性を中心にまとめていきました!!
PaO2とSaO2(SpO2)には相関関係が成り立ち、
非侵襲的に測定できるSpO2の数値からPaO2の値も推測可能な一方で…
- 体温
- 酸塩基平衡
- 呼吸回数
- 酸素投与量
- 吸入酸素濃度
これらの値にも注意を図っていく必要がありそうです!!
また、血ガスには他の項目も多くありますし生化学検査などの情報もあります!!
この2つだけではなく、これらの判断材料を総合的に加味して適切な判断をする必要があります!
一緒にこのブログを通して、リハビリにおけるリスク管理について学んでいきましょう!!
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