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はじめに

おばんです!Yu-daiです!!
今回は血ガスの代謝項目である
- ラクテート(Lac)
- ビリルビン(Bil)
- グルコース(Glu)
- クレアチニン(Cre)
これらを僕らリハビリがなぜ確認しておく必要があるのかというところを
それぞれの項目ごとにまとめてお伝えしようと考えています!!
その他の血ガス項目についてはこちらから!!

今は簡単に説明するけど大いにあるよ!!
これらの項目は例えば、敗血性ショックや溶血、糖尿病コントロール不良の方のリスク管理を行う上で非常に重要な指標なんだ!
これらの疾患は正直リハビリを積極的に行えない、むしろ中止するような状態なのもあるんだけど、その項目を確認せずに離床なんてさせたら?…

ゾッとしますね!!しっかり勉強することにします!
必要性がわかったところで1つ1つまとめていきましょう!
最後まで読んでいただけたら嬉しいでーす!!
【結論】ラクテート・ビリルビン・グルコース・クレアチニンの基準値等まとめ

まずは結論から!
詳細は省いて簡単に表でまとめたものを掲載するので
機序などもっとよく知りたい方は読み進めてください!!
代謝項目パラメータ | 基準値 | 項目が表す意味 |
---|---|---|
Glu | 70~100mg/dL(空腹時) 140mg/dL未満(食後2時間) | 糖尿病の診断とモニターに利用 |
Lac | 1~1.5 mmol/L | 敗血症の診断と治療効果の判定に有用 |
Bil | 0~2.0 mg/dL | 肝臓・胆道疾患や溶血性貧血、黄疸の際に測定される |
Crea | 0.6~1.4mg/dL | 糸球体濾過率=腎機能の指標 |

糖尿病や腎機能については生化学検査にもありますけど
それだけを確認するだけじゃダメですか?

生化学検査は基本的に朝一で採取されたものを使っているからね…
数値が変動しやすい人や治療などの効果をみたい場合には頻回に測定している血ガスのデータも参考にした方が良いよ!!
それでは各項目について詳細をまとめていきます!!
// /グルコース(Glu:ブドウ糖)とは?

まずはじめにグルコースからいきましょう!!
上の表ではこのようにまとめられていました!
Glu | 70~100mg/dL(空腹時) 140mg/dL未満(食後2時間) | 糖尿病の診断とモニターに利用 |

要は血糖値ってことか!!

その通り!!
つまり、血ガスにおけるグルコースは
糖尿病の診断やモニタリング に用いられるよ!!
リハビリにおいては
糖尿病のモニタリング することで
血糖コントロールが不良でないか
低血糖や高血糖状態に陥っていないかなどをチェックして介入します!!

- 交感神経症状
自覚症状:不安・神経質・動悸
他覚症状:顔面蒼白・冷汗・高血圧・頻脈・低体温・振戦・瞳孔拡大etc - 中枢神経症状
自覚症状:頭痛・空腹感・倦怠感・嘔気・眠気etc
他覚症状:意識障害・嘔吐・錯乱・せん妄・運動麻痺・失語・痙攣・昏睡etc
低血糖症状は血糖値が50mg/dlを下回ると生じる可能性が高まります!!
- 口渇
- 多飲・多尿
- 倦怠感
- 体重減少etc
高血糖症状は血糖値が180mg/dlを上回ると生じる可能性が高まります!!

あれ、低血糖症状の時よりも症状は軽いんですか?

そういうわけじゃないよ!!
高血糖が続けば”糖尿病性ケトアシドーシス”の状態になって
最終的には”昏睡”に陥ってしまうよ!!
その他にも慢性的に高血糖が続けば、
自律神経障害・末梢神経障害が生じるリスクが高まるんだ!
糖尿病の詳細については以下の記事で説明しているので
気になった方がぜひチェックしてみてね!
ラクテート(Lac:乳酸)とは?

次に”ラクテート”いきましょう!!
ラクテートは日本語で表すと”乳酸”のことです!!

乳酸ってどんなものなんですか?
乳酸は,骨格筋,赤血球でのグリコーゲン代謝における解糖系代謝経路の最終産物として嫌気的にピルビン酸から産生される
清野 弘明 平泉美希子:Ⅰ.意識障害:診断と治療 3.乳酸アシドーシス 日内会誌 93:1519~1524,2004

血液中の乳酸濃度は
肝臓・腎臓・骨格筋で乳酸の合成・代謝が行われているよ!!
上の表では基準値などはこのように書かれていましたね!
Lac | 1~1.5 mmol/L | 敗血症の診断と治療効果の判定に有用 |
急性期では主に”敗血症”の診断や治療効果の判定に使用されることが多いです!!
敗血症とは…
感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態
日本版敗血症診療ガイドライン2016
このような状態のことを指します!
敗血症についての詳細はまた別にしますが、まとめるとこんな感じです!
敗血症の診断における基準は…
- 感染症あるいは感染症の疑いがある場合
- SOFAスコアの合計が2点以上の急上昇
(救急外来などではquick SOFAを用いる場合も) - 敗血症と敗血症性ショックは輸液・血管収縮薬の必要性と血清乳酸値の上昇の有無で区分
- 敗血症性ショックにおける血清乳酸値のカットオフ値は18mg/dL(2mmoL/L)以上
このように敗血症の重症度は
- 敗血症
- 敗血症性ショック
この2つにわけられていますが、
そのカットオフ値に”ラクテート”は使用されています!!

ちなみに感染症っていうのはどんなものがあるんですか?
臨床でよく遭遇するのかなぁ

原因となるものには
大腸菌や緑膿菌などの比較的ありふれた細菌から
インフルエンザなどのようなウイルス
カビや寄生虫など様々なものがあるよ!!
これらが原因で生じた、肺炎や腸炎などの様々な炎症や膿んだ傷口からさらに状態が悪化して敗血症になることもあるから決して遠い存在じゃないんだ!
敗血症性ショックやDIC、糖尿病や重症肝疾患を呈した際には
乳酸値が急上昇し、”代謝性アシドーシス”を認めます!!
この病態は別名”乳酸アシドーシス”と呼ばれています。
その点についても注意して確認しておきましょう!
Bil(ビリルビン)とは?

次はビリルビンです!!
ヘモグロビンのヘムグループの分解代謝物
(赤血球が破壊された後の物質)
→血液によって肝臓に運ばれ、処理された後に胆汁の中に排出される
✔︎人体にとっては非常に有毒
特に…肝臓に運ばれる前の間接ビリルビン上昇→重度の脳障害発生
✔︎肝臓・胆道疾患や溶血性貧血、黄疸の疑いがある場合に測定される
✔︎最も一般的に用いられるのは新生児出生後の高Bil血症のモニター
基準値はこちらでしたね!!
Bil | 0~2.0 mg/dL | 肝臓・胆道疾患や溶血性貧血、黄疸の際に測定される |

成人においては重度の肝障害を呈した場合に上昇することがあるよ!!
成人は新生児と比較するとそこまでビリルビン値に注意する場面は多くないかもしれませんが
以下の疾患患者を担当している場合にはチェックしておいた方がいいかもしれません!
- 肝炎
- アルコール性肝疾患
- 胆管閉塞(腫瘍などによる)etc

原疾患や既往に
肝臓系の疾患を有している場合には気を付けた方がいいんですね!
Crea(クレアチニン)とは?

最後はCre(クレアチニン)ですね!!
代謝項目パラメータ | 基準値 | 項目が表す意味 |
---|---|---|
Crea | 0.6~1.4mg/dL | 糸球体濾過率=腎機能の指標 |
こちらの表に書かれている通り、クレアチニンは腎機能の指標の一つになります!!
一般的に慢性腎不全の重症度を規定するのは”推算糸球体濾過量(eGFR)”ですが
eGFRは血清クレアチニン・年齢・性別で算出されています!!
eGFRによる分類を少し紹介しましょう!
慢性腎不全の進行度表はこちら!!
こちらは糖尿病性腎症の病期分類です!!

腎不全についてはこちらの記事で基本的な情報や脳卒中との関係をまとめているのでぜひみてみてください!

腎不全は脳卒中や心臓疾患の人の既往によくあるものの1つだし
治療などによっても腎不全を呈してしまう場合もあるから
是非ともチェックしておきたい項目の1つだね!!
まとめ
これで代謝項目については全てです!!
比較的、血ガスの項目の中ではマイナーな部類に入りますが
決して軽視してよい項目ではないことがわかったと思います!!
血ガスの基本的な見方・手順については
こちらの記事でリハビリ向けにまとめていますので是非読んでみてください!
血ガスについて理解して
より正確な離床判断を行えるようにともに頑張っていきましょう!!
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その他の項目について詳細を知りたい方はこちらです!
参考図書はこちら!!
血ガスを基礎から学びたい人にはおすすめの一冊!!
挿入画も多いため読むのが苦になりにくいです!!
応用的なものはあまり載っていないため慣れてきたら下の図書などで補足していくといいと思います。
こちらの書籍もおすすめ!!
血ガスの基本事項から解釈の仕方、症例提示までありより血ガスについて知れる内容になっています!!
上の書籍と比べると少し文字量が多いかな〜とは思いますが、一冊でより深く血ガスについて知りたいのであればこちらの書籍を勧めます!
上の書籍の続編です!!
より血ガスについて掘り下げられた内容になっています!
個人的には上の書籍を読んでみて”合う人”は買ってみてもいいかも知れません!
上の書籍だけでもリハビリとしては十分な知識を得られることができます!!
僕らがこれらの項目をCheckしておく必要性は本当にあるんですか?