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はじめに

おばんです!!Yu-daiです!
今まで血液ガスについての記事を何記事がまとめてきましたが
今回の記事では…
”実際に血液ガスの結果とどのようにして向き合っていけば良い?”
この点についてできるだけ具体的にまとめていけたらなと思います!

うーん、血圧や脈拍などのバイタルサインをチェックしたり、
患者さんにも体調を聞いてやってる感じですかね…

うん、呼吸や循環に問題がない人ならそれでも十分かも知れないね!
だけど、逆に言えば呼吸や循環状態が不安定な人の場合は
その情報だけでは少し不十分なんだ!
私は普段主に脳卒中を担当していますが…
最近は純粋な脳卒中だけではなく
脳卒中+心不全、腎不全、COPDなどなど…
呼吸器や循環器系、代謝系の合併症を持つ方も増えてきているように感じます!!
脳卒中だけではなく、その他の合併症にも気を遣わなければ
リハビリによって全身状態を損なう可能性もでてきてしまいます…

そこで大切なのが”血液ガス”の各指標を確認して
バイタルサインや自覚症状だけでは拾うことのできない
身体のサインをあらかじめ把握しておくこと!!
最悪、何か分からなくても数値が崩れていたら医師や看護師に相談できるよ!
学生や新人の時点で全てを把握しろというわけではありません…
血ガスや生化学検査についてもある程度勉強していてほしい理由は
チェックしておくべき項目を把握していれば
その数値が崩れていた場合に事前に相談することが可能になるからです!!
患者さん、ひいては自分を守るためにも
ぜひ最後までこの記事を読んでくれたら嬉しいです!
【血液ガスとは?】簡単におさらい!!

では呼吸不全の違いを学ぶ必要性もわかったところで
ひとまず、血液ガスの基本事項を簡単におさらいしましょう!
一からしっかり勉強したいという方はこちらのページへどうぞ!!
血液(動脈血あるいは静脈血)を採取して分析し
肺胞におけるガス交換能や、酸・塩基平衡を調べる検査のこと!
血液ガスには以下の項目があります!

今回は呼吸不全についてまとめていくので
必要な項目だけまとめて基準値を載せておきます!!
各項目の詳細はこちらの記事でまとめています↓
まずは換気・酸塩基平衡に関連する血ガスの項目を
基準値も含めまとめていきましょう!
血ガス項目 | 基準値 | 意味 |
---|---|---|
pO2 (酸素分圧) | >80mmHg | 肺における血液酸素化能力の指標 |
pH (水素イオン指数) | 7.35~7.45 | 溶液中の水素イオンの濃度を表す |
pCO2 (二酸化炭素分圧) | 35~45torr | 酸塩基平衡を規定する因子であると同時に”換気”の指標でもある |
HCO3− (重炭酸イオン濃度) | 22~26mEq/L | 腎臓で生成され血液が酸性に傾きすぎないようにするための緩衝機構の一つ |
BE (Base Excess:塩基過剰) | -2.0~2.0mEq/L | pHを7.40まで戻すのに要する酸の量を表し、代謝性の調整因子 |
AG (アニオンギャップ) | 12±2mEq/L | 代謝性アシドーシスの原因を鑑別するために用いられる |

わかってはいましたが、一筋縄ではいかないような気が…

僕も血ガスの勉強をした時はすごく大変だったけど
RSTでラウンドしている時や呼吸器疾患・循環器疾患を合併している症例を担当した時には本当に役に立ったよ!!
一緒に頑張ってまとめていこう!!
【結論】血ガスの確認手順はこうだ!

先にいつも自分がどのような手順で血ガスの項目を確認しているのかをまとめておきます!!
pHからアシデミア・正常・アルカレーミアを判断
↓
変化の原因をPaCO2・HCO3-・BEから突き止める
↓
代償が生じていないかをHCO3-・BEで確認する
↓
現病歴や症状、その他の検査から病態を把握する
※代謝性アシドーシスの場合はAGを用いて原因を判別する

僕は一応こんな手順で確認しています!!
もちろん、Dr.がカルテですでに診断していることの方が多いですが
この手順を踏むことでより患者の状態を把握することができて離床の判断や負荷量調整の判断に役立ちます!!
ここから先はこれらの詳細や補足説明をまとめていくので
この手順を深く理解していきたい方は読んでみてください!!
pHからアシデミア・正常・アルカレーミアを判断

まずは、身体の状態がどうなっているのかを確認していきましょう!!
僕らの身体は通常時は中性に保たれています!
それが呼吸や腎臓、その他の要因などによって崩れることで
酸性やアルカリ性に傾いていってしまいます!
それを確認できるのが
pH(水素イオン指数)
pHには計算式があり、それがこちらになります!
pH=HCO3-÷PaCO2
基準値はこちらになります!
血ガス項目 | 基準値 |
---|---|
pH (水素イオン指数) | 7.35未満:アシデミア 7.35〜7.45:正常 7.45以上:アルカレーミア |

pHは中学生くらいから習っているので少し親しみやすい項目ですね!
ところでアシドーシスやアルカローシスとはまた違うんですか?

アシデミアやアルカレミアは”血液の状態”
アシドーシスやアルカローシスは”血液を酸性・アルカリ性に傾けようとする働き”
このような意味合いの違いだよ!!
詳細はこちらの記事で説明しています!
アシデミアやアルカレミアで生じる症状なども説明しているので
気になった方はぜひみていってください!
pHが正常値でもその他の項目は確認しましょう!!
呼吸・代謝ともにお互いを代償する関係にあるため、
代償可能な範囲であればpHを正常範囲内に調整することも可能なためです!
pHは正常だけど、PaCO2やHCO3-の値が異常であれば注意が必要です!!
酸塩基平衡の変動の原因をPaCO2・HCO3-・BEから突き止めよう!!

pHの値が確認できたら、
次はなぜその数値になっているのか理由を検討していきます!!
そのために用いるのはこれらの項目です!
血ガス項目 | 基準値 | 意味 |
---|---|---|
pCO2 (二酸化炭素分圧) | 35~45torr | 酸塩基平衡を規定する因子であると同時に”換気”の指標でもある |
HCO3− (重炭酸イオン濃度) | 22~26mEq/L | 腎臓で生成され血液が酸性に傾きすぎないようにするための緩衝機構の一つ |
BE (Base Excess:塩基過剰) | -2.0~2.0mEq/L | pHを7.40まで戻すのに要する酸の量を表し、代謝性の調整因子 |

ここからが正念場ですね!!
まずは、これらの項目がどのように用いるのかを簡単に説明しておきます!!
【PaCO2】で呼吸不全の状態や代謝性の代償をしていないか把握しよう!!
換気の指標であると同時に酸塩基平衡における呼吸性因子
高値の場合…換気低下(呼吸性アシドーシス)
低値の場合…過換気状態(呼吸性アルカローシス)
※代謝性のアルカローシスやアシドーシスの際には呼吸回数の調整で代償することがある
呼吸性因子であるため、最も影響を受けやすいのは
呼吸器疾患に伴う”呼吸不全”かと思います!!
呼吸不全についてはこちらの記事で!
アルカローシスについては少し補足説明しておきます!
過換気=呼吸数の増加によってアルカローシスに陥りますが原因は様々!!
✔︎人工呼吸器による過剰換気
✔︎肺疾患による低酸素血症
✔︎呼吸中枢の障害(脳卒中など)
✔︎高度貧血 etc.

呼吸器疾患=アシドーシス
こんなイメージを持つ人が多いけど、
実際は低酸素血症に対する呼吸数の代償などによって
呼吸性アルカローシスを呈する場合もあるから決めつけないようにしよう!
✔︎要チェック!!
それと、もう一つ!
下のHCO3-にも言えることですが、お互いを代償しあう関係にあるため
PaCO2の値だけをみて判断しないようにしましょう!!
代謝性アシドーシス→換気量・呼吸数増加によるPaCO2低下で代償
代謝性アルカローシス→換気量・呼吸数低下によるPaCO2上昇で代償

危なく決めつけてしまうところだった!気をつけよう…
次はHCO3-についてです!
【HCO3-・BE】で代謝系の異常や呼吸の代償をしていないか確認!!
腎臓による酸塩基平衡の調節因子
- 腎臓から生成される
- アルカリ性
- 血液における酸塩基平衡緩衝物質の1つ
- 高い=代謝性アルカローシス
- 低い=代謝性アシドーシス
HCO3-(重炭酸イオン)は腎臓から生成されていて、
その性質はアルカリ性になっています!
腎臓は生成するだけでなく、
再吸収なども行ない再利用もするなどして調整します!!
そのため、HCO3-は代謝系の異常を表してくれたり
呼吸不全などによって生じたアシドーシスを緩衝(代償)の指標になります!!

HCO3-があるならBEはいらなくないですか?

初めはそう思うかもしれないけど、
BEについてまとめていくとその重要性が分かるよ!
血液を正常なpH(pH:7.40)に戻すために必要な酸・アルカリの量
- HCO3-と違い呼吸性・代償性による影響を受けない
- 代謝性因子による酸塩基平衡への影響のみを表している
- 代謝性アシドーシス(BE:-2未満)
- 代謝性アルカローシス(BE:+2以上)
詳細は省きますが、
BEは代謝性のアシドーシス・アルカローシスを
呼吸性や代償性の影響を受けずに評価することが可能です!!

なので、純粋な代謝性の指標として使用できるよ!!
PaCO2とBEの両方が異常を示している場合は
”呼吸性の異常を代謝系で代償している”ことが分かります!
BEの詳細はこちら!
代謝性アルカローシス・アシドーシスの場合にはAGで原因を特定!!
代謝性アシドーシス・アルカローシスの場合には確認する項目が増えます!!
その場合はAG(アニオンギャップ)を確認しましょう!
血液中の陽イオンと陰イオンの差
- AG={Na+-(Cl-+HCO3-)}
- AG上昇・AG正常・AG低下によって考えられる疾患を絞り込むことができる

こんな指標があるなんて知りませんでした!!
簡単に各病態についてまとめてみます!!

あとは実際の原疾患やその他の検査項目も活用していきます!!
現病歴や原疾患・症状・その他の検査から病態を把握する!!

以上で血ガスを用いた
換気・酸塩基平衡異常における病態把握の手順は終了です!
ただ、ほぼ確実に血ガスだけでは
異常の原因を特定したり、全身状態を把握したりすることは難しいです!!

え、じゃあどうすれば良いんですか?

今まで学んできたことを生かそう!
つまり、原疾患や生化学検査などのその他の検査についての知識もフル活用して考えていくんだよ!!
血ガスはあくまでたくさんある情報のうちの1つに過ぎません。
(得られる情報はかなり多いですが…)
なので、その他の生化学検査や画像所見も一緒に確認して
より正確な病態把握に努めていきましょう!!
各疾患や検査におけるおすすめの記事を紹介します!
その他の血ガス項目について知りたい方はこちらの記事がおすすめ!!
生化学検査について知りたい方はこちらの記事へ!!
心臓について知りたい方はこちらの記事!!
脳卒中について知りたい方はこちらの記事です!!
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参考図書はこちら!!
血ガスを基礎から学びたい人にはおすすめの一冊!!
挿入画も多いため読むのが苦になりにくいです!!
応用的なものはあまり載っていないため慣れてきたら下の図書などで補足していくといいと思います。
こちらの書籍もおすすめ!!
血ガスの基本事項から解釈の仕方、症例提示までありより血ガスについて知れる内容になっています!!
上の書籍と比べると少し文字量が多いかな〜とは思いますが、一冊でより深く血ガスについて知りたいのであればこちらの書籍を勧めます!
上の書籍の続編です!!
より血ガスについて掘り下げられた内容になっています!
個人的には上の書籍を読んでみて”合う人”は買ってみてもいいかも知れません!
上の書籍だけでもリハビリとしては十分な知識を得られることができます!!
初めての介入の時に
離床をどれくらい進めればいいかなどを決める時にはどうしてる??