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はじめに

おばんです!Yu-daiです!!
今回は血ガスについて簡単にまとめていこうと思います!

人工呼吸器装着中の方や呼吸状態が不安定な方に介入するのであれば必須の情報だよ!!
血ガスの情報はもちろんのこと…
バイタルサインや人工呼吸器の設定、その他の検査項目全てを考慮しながら離床を進める必要があります!
治療手技はもちろん大切ですが
その段階に引き上げるための離床段階も非常に大切です!!
リスク管理ができていない状態での介入は
患者さんの不利益につながる可能性が高くなってしまうからここでしっかり学んでおきましょう!
血液ガスとは?→ガス交換と酸塩基平衡の指標!!

まずは、基本的なところから!
血液ガスとは…
血液ガス分析(けつえきがすぶんせき、blood gas analysis)とは、血液(動脈血あるいは静脈血)を検体として分析し、肺胞におけるガス交換能や、酸・塩基平衡を調べる検査である。
河合忠.異常値の出るメカニズム.医学書院,7版,2018,139-146
血液ガス分析は、血液中に含まれる
酸素(O2)
二酸化炭素(CO2)
酸塩基平衡(pH) などなど
これらを測定する検査です!!
測定には主に動脈血を使用します!

血液からこれらの数値が分かると何が分かるんですか?

すごく簡単に説明すると肺や腎臓、ひいては全身状態を把握するのに役立つよ!!
詳しくは下にまとめていくから一緒に読んでみよう!
血液ガス測定をする目的

まずは一般的にどのような目的があるのかを確認しましょう!
血液ガス分析を行う主なタイミングを以下に示す。
・体の酸塩基平衡のバランスを確認するとき
・呼吸不全があり、酸素化不良や二酸化炭素貯留の有無を確認するときしかし、ショックの患者や集中治療が必要な患者の小まめな乳酸値を含めた酸塩基バランス、貧血の推移のフォローが必要な場合や、糖尿病ケトアシドーシス患者での小まめな血糖管理が必要な場合などでは、時には動脈ラインの留置などを行って数時間ごとの定期的な血液ガス分析が行われる。
河合忠.異常値の出るメカニズム.医学書院,7版,2018,139-146
肺は呼吸によって酸素を取り込み不要な二酸化炭素を排出する換気(ガス交換)を行います。
血液を採取してO2やCO2などの量を調べると肺などの呼吸器が正常に機能しているかどうかがわかります!
酸塩基平衡について
ヒトの身体は通常、呼吸や腎臓の排泄機能の働きによって常にpHを7.4前後に一定に保とうとします。つまり、酸塩基平衡に異常を認めた場合には、肺(呼吸性)・腎(代謝性)のどちらかに異常があることが分かります。

教科書を読むと難しく考えちゃうけど、つまりは呼吸器や腎臓の状態を知ることに役立つんだね!

血ガスでわかることをおっきく分けてまとめるとこんな感じかな!!
肺が正常に機能しガス交換が行えているかどうか
肺(呼吸器系)・腎臓が正常に機能しているかどうか
他にも項目はありますが…
これらの情報を知り、
呼吸や腎臓、ひいては全身状態がどうなっているのかを判断するために血ガス測定は行われます!!

僕の職場の院内RST(呼吸サポートチーム)では
人工呼吸器の設定変更やリハビリの介入方針の検討材料に必ずと言っていいほど使われるよ!!
血液ガスの種類と基準値まとめ!!

それでは、本題の血液ガスの種類とその基準値をまとめていきましょう!!
血液ガスでは以下のような情報が入手できます!
- 酸素関連パラメータ
- 酸塩基パラメータ
- 電解質パラメータ
- 代謝項目パラメータ

なんだかいろんなパラメータ?があるんですね…覚えられるかな〜

臨床だとすべての項目がカルテに記載されているだけだから、どの項目がどんなパラメータに属しているのかを理解しておくことは重要だよ!!
酸素関連パラメータ
まずは酸素関連パラメータについてまとめていきましょう!!
酸素関連パラメータ | 基準値 |
---|---|
pO2 (酸素分圧) | >80mmHg |
SaO2 (酸素飽和度) | 95〜98% |
ctHb (総ヘモグロビン) | 男性: 8.4~10.9 mmol/L (13.5~17.5 g/dL) 女性: 7.1~ 9.6 mmol/L (11.4~15.5 g/dL) |
O2Hb (酸素化ヘモグロビン) | 90~95% |
COHb (カルボキシヘモグロビン) | 0.5〜1.5% |
MetHb (メトヘモグロビン) | >0.8% |
HHb (脱酸素化ヘモグロビン) | 1.4~4.9% |
ctO2 (総酸素濃度) | 男性: 8.4~9.9 mmol/L (18.8~22.2 mL/dL) 女性: 7.1~ 8.9 mmol/L (15.9~19.9 mL/dL) |

結構あるんですね…
覚えられるかな〜

要点を絞って覚えていけば大丈夫!!
肺における血液酸素化能力の指標
✔️Pao2の結果と組み合わせて換気不全or肺でのガス交換障害かを大別することが可能
✔️PaO2は吸入酸素濃度(FiO2)によって変化する(PaO2=FiO2×4〜5)
✔️加齢によって変化する(若年者約100torr、高齢者約80torr)
酸素飽和度のこと
(総ヘモグロビンのうち、酸素と結合したヘモグロビンが占める割合)
✔️SaO2は動脈血から、SpO2は経皮的に測定する。両方を総称してSO2と表示される
✔️SaO2は患者のPaO2の予測に用いられる(酸素解離曲線)

PaO2とSaO2の関係は別記事でまとめようと思います!!
ctHb(総ヘモグロビン)…血液中のヘモグロビン濃度
O2Hb(酸素化ヘモグロビン)…酸素と結合したヘモグロビン
COHb(カルボキシヘモグロビン)…一酸化炭素(CO)と結合したヘモグロビン
一酸化炭素中毒の重要な指標
MetHb(メトヘモグロビン)…鉄イオンが酸化され2価→3価鉄イオンになった核を有する
酸素結合・運搬能力が失われている
HHb(脱酸素化ヘモグロビン)…酸素と結合していないヘモグロビン

SaO2は
ヘモグロビン全体(O2Hb +HHb)の中のO2Hbの割合で求められます!!
CO HbやMet Hbは
異常ヘモグロビンと呼ばれ、一酸化炭素中毒や遺伝・薬物中毒によって上昇します!
酸素関連パラメータの項目を大別するとこんな感じです!!
- PaO2→酸素化の状態はどうか(酸素摂取量)
- ctO2,SaO2→どれくらいの酸素が運搬されているか(酸素含有量)
- Hb系→ヘモグロビン・異常ヘモグロビンの評価
- p50→組織への酸素放出(組織へ酸素が運搬されているか)

臨床場面では、Pao2やSaO2の値を多用することが多そうだね!!
酸塩基パラメータ
次は酸塩基パラメータです!!
酸塩基パラメータ | 基準値 |
---|---|
pH (水素イオン指数) | 7.35~7.45 |
pCO2 (二酸化炭素分圧) | 35~45torr |
HCO3− (重炭酸イオン濃度) | 22~26mEq/L |
BE (Base Excess:塩基過剰) | -2.0~2.0mEq/L |
AG (アニオンギャップ) | 12±2mEq/L |

酸塩基パラメータを覚える上でのポイントはどこですか?

基本的に上の表でまとめた項目は全部重要な指標だね!!
PaCO2が”換気”の指標としても用いられることは頭に入れておこう!!
酸塩基平衡を規定する因子であると同時に”換気”の指標でもある
✔️換気不全の重症度や慢性状態について、酸塩基状態の変化と合わせて判断が可能
✔️呼吸不全を1型呼吸不全(酸素化障害)、Ⅱ型(換気障害)に大別することが可能(CO2<45,≧45)
※肺胞気ー動脈血酸素分圧較差(AーaDO2)も関係する
✔️数値が低い場合は、過剰換気状態になっている。呼吸器設定が実際の呼吸状態よりも過剰な設定にされている場合に起こることが多い
PaO2とPaCO2は呼吸不全の分類にも使用します!
そちらについて気になった方はこの記事へ!!
重炭酸イオンと呼ばれ、
体内(細胞)から排出された二酸化炭素を吸収し、炭酸となり血液をアルカリ性に保つ
✔️腎臓によって再吸収される形で再利用され、調整される
✔️高い→代謝性アルカローシス、低い→代謝性アシドーシス
✔️BEと違い、代謝性でも呼吸性でも変動する
pHを7.40まで戻すのに要する酸の量を表し、代謝性の調整因子である
✔️BEが負の値であれば血液のpHが低いことを意味する
✔️-2未満の場合は代謝性アシドーシス、+2以上の場合は代謝性アルカローシスとなる
✔️BEは代謝性(腎臓による調整)でのみ変動する
✔️換気不全による呼吸性のアシドーシスを代謝によって代償している場合がある
代謝性アシドーシスの原因を鑑別するために用いられる
✔️測定可能な陽イオンから測定可能な陰イオンを引いたものから計算される
([Na+]-{[HCO3-]+[Cl-]})
✔️AG上昇→腎不全、敗血症、乳酸・糖尿病性・ケトン性・アルコール性・尿毒性アシドーシスetc
✔️AG低下→下痢、尿細管性アシドーシス、麻痺性イレウスetc

いやー、酸塩基平衡って結構複雑ですね…
しっかり勉強しなきゃ!!
BEやAGについても理解が進むとより的確な全身状態の把握が可能になります!
詳細はこちらの記事で!!
電解質パラメータ
血ガス検査とは別に生化学検査でも測定されます!
ICU入室時(特に呼吸器管理中や全身状態が悪い時)には
生化学検査よりも血ガスの方が1日で測定される頻度が多いため、
より介入時に近い数値を知ることができます!!
電解質パラメータ | 基準値 |
---|---|
K + | 136~147(mEq/L) |
Na+ | 3.6~5.0(mEq/L) |
CI− | 98~109(mEq/L) |
Ca2+ | 8.5~10.2(mg/dL) |

呼吸器系や代謝系も重要ですが…
電解質系も異常があれば、意識障害をはじめとする神経症状や
致死的な不整脈の出現などにも影響するため理解しておくことが必要ですよ!!
KやNaについては別記事でまとめているので気になった方は読んでみてください!!
代謝項目パラメータ
代謝項目パラメータ | 基準値 |
---|---|
Glu | 70~100mg/dL(空腹時) 140mg/dL未満(食後2時間) |
Lac | 1~1.5 mmol/L |
Bil | 0~2.0 mg/dL |
Crea | 0.6~1.4mg/dL |
糖尿病の診断とモニターが可能
糖尿病については以下の記事で詳しく説明しています!!
酸素供給が不十分な条件下で組織が産生するグルコースの代謝産物
(代謝→肝臓、排出→腎臓)
✔️ラクテート(乳酸)濃度が2 mmol/L以上の場合、ショックの可能性がある
✔️約4 mmol/Lを超えた場合には、早急な治療が必要
✔️敗血症の診断と治療効果の判定に有用な指標

ラクテートがそんなに重要は指標だとは思いませんでした…
僕らが知っておく必要性はありますか?

基本的には敗血症もしっかり治療された後で
安定している状態の時に介入の依頼が来るはずだけど…
臨床場面では、誤嚥性肺炎からの敗血症ってことも考えられるから
ラクテートが上昇している時にはDr.や看護師と相談してみよう!!
ヘモグロビンのヘムグループの分解代謝物(赤血球が破壊された後の物質)
血液によって肝臓に運ばれ、処理された後に胆汁の中に排出される
✔️肝臓に運ばれる前→間接ビリルビン、肝臓での処理後→直接ビリルビン
✔️肝臓・胆道疾患や溶血性貧血、黄疸の疑いがある場合に測定される
✔️最も一般的に用いられるのは新生児出生後の高Bil血症のモニター
ビリルビンは肝臓の機能をはじめ、
溶血を起こしていないかを確認するための指標の一つとなっているため
その数値が上昇している場合には注意しておく必要があります!!

詳細はまた別記事にしようと思います!
糸球体濾過率=腎機能を反映する
クレアチニンは腎機能を反映する急性期においては非常に重要な指標の一つです!!
心臓や脳卒中をはじめとする様々な疾患やその治療によって
”腎機能が低下したり””急性腎障害を呈したり”様々な要因が考えられます!
腎臓とリスク管理について知りたい方はこちらをCHECK!!
まとめ
これで今回の記事は終了になります!!
少し長くなってしまったため、
各詳細はまた別記事でまとめていくと思います!
急性期におけるリスク管理について気になった方は他にも様々な記事を書いているのでぜひ参考にして行ってください!!
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血ガスについての知識を
僕らが知っていることで何かメリットはあるんですか?
それよりもハンドリングや治療手技について学びたいなぁ