【人間の脳の最高中枢!?】前頭葉の機能を部位別に10分で学ぶ!

はじめに

この記事を読んでいただいている皆さんは前頭葉をご存知でしょうか?前頭葉と聞くと皮質脊髄路が投射される中心前野やブローカ野などの方が先に頭に浮かんでくるのではないでしょうか?

今回の記事では、前頭葉の障害における高次脳機能障害を中心に勉強していきたいと考えていますので、その中枢である前頭連合野について学んでいけたらなと思っています。

前頭連合野ってどんな役割をするの?

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ヒトがヒトらしく生活するために前頭連合野は重要な役割を果たします。

ヒトらしくというのは、

お腹が空いていても店先に置いたある商品をお金を払わずに食べたりしない

立ち入り禁止と書かれている領域に立ち入らない

分かりやすくいうとこんなところでしょうか?

野生動物や残念ながら一部のヒトはやってしまうかもしれませんが、ほとんどのヒトは上に書かれているようなことはしませんよね?

前頭連合野は感情や欲求をコントロールすることで私たちが現在の社会の中で生活できるようにしてくれています。

私たちが社会活動を行なっていく上で必要な機能は多彩ですが、主だったものとして「認知・実行機能」、「心の理論・社会性機能」、「情動・ 動機づけ機能」といった機能が挙げられるようです。

まずはじめにそれぞれの機能を大まかに勉強していきましょう!

認知・実行機能 

まずは、認知・実行機能について。

この機能の特徴として

状況を深く理解し、推理する

計画を立案して、その計画に基づいて順序立てて行動する

展望記憶(将来の予定に関する記憶)

ルールに基づいて物事を行い、すべきでない行動を抑制する

ワーキングメモリー

そのため、この機能が障害されると

その状況に応じた対応を円滑におこなえなくなったり

計画的に物事を進められなくなったり

ルールを守れなくなったり

一時的な記憶の保存ができなくなったり

これらの障害が出現します。

心の理論・社会性機能

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この機能は他人の考えや感情を自分の中で考えて行動に移すための機能です。

専門用語では「心の理論」と言います。

では、この機能が障害されると、、、?

他者の考えや感情を推し量ること(心の理論)ができなくなる

つまり、言い方は悪いですが、、、

空気が読めなくなります。

具体的にいうと、

自分と相手の社会的な関係(例:上司と部下)を認知できなくなったり、

周りが泣いているような場面で1人大声で笑っていたり、

他者との関係や自分以外の状況を踏まえた対応が行えなくなります。

そのため、この機能が障害された方は社会生活において支障をきたすことがあります。

専門用語では

社会的関係の認知や社会的行動に障害と記載されています。

情動・動機づけ機能

この機能はその人の性格や周囲への関心や意欲に関係します。

そのため障害されると、、、

性格がだらしなく、物事に対してルーズになる

周囲に対して無関心になる

積極的に何かをしようとしなくなる

このような症状が出現するようになります。

また、

情動,動機づけに基づく意思決定に障害を示す

Hosokawa, T. & Watanabe, M.:Prefrontal neurons repre-sent winning and losing during competitive video shooting games between monkeys. から引用

ということも知られています。

動機づけってなに?

って思うかもしれませんが、

英語で表すと、モチベーション(motivation)と言います。

「俺もうモチベーションを保てないわ~」とか普段から使っていませんか?

動機づけ=モチベーションとは、

目標に向かって行動を維持・調整する過程や機能のことを言います!

もう一度簡単にまとめると

①性格がルーズになる

②周囲に興味を示さなくなる

③何かに対して積極的に行動しなくなる

以上が大まかな機能の説明になりますがいかがだったでしょうか?

ここからはどの部位が障害された場合にどのような症状が出やすいのかを確認していきましょう。

【部位別】脳画像からどの症状がでるのか予測しよう!

前頭葉は大きく分けて3つに分けられる

まずはじめに前頭葉は大きく分けて3つに分けられています。

・外側から見える「外側部」

帯状溝を左右に 2 分して現れる「内側部」

・脳底部に位置する「腹側(眼窩)部」 

この3つに分けられます。

それぞれ、

外側部→「認知・実行機能」

内側部→「心の理論・社会性機能」

腹側部→「情動・動機づけ機能」

このように対応しているようです。

ただ1つ諸注意として、、、

この機能区分はあくまでそれぞれの領域が「一定の機能により関わりが大きい」ということで提唱されているため,内側部はこれ!, 外側部はこれ!という風に理解しないでください!

程度は少ないながらもそれぞれの機能にも関わっていることに注意しましょう。

皆さんはBrodman(ブロードマン)の脳地図をご存知だと思いますが、これは機能的な違いでそれぞれ数字ごとに割り当てられています。

しかし、Petrides & Pandya(2002)は「前頭連合野の機能を記述する上では十分ではない」として、損傷事例や線維連絡、動物実験の結果なども含めて前頭連合野を区分し,上記のような分類を提唱しました。 

なので、ブロードマンの脳地図と分類の仕方が違うため混同はしないように気をつけてください。

では、部位ごとに対応する機能について学んでいきましょう!

外側部は遂行機能障害が出やすい!?

はじめに外側部についてです。

ブロードマンの領野でいうとこの領域!

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上・中・下前頭回の前部 , 10, 11, 46, 47 野が該当すると言われています。 

ここでは、皆さんが臨床現場でよく聞く単語とその簡単な説明も載せておきます!

【遂行機能】

・目的に応じて、目標設定、企図、反応施行、結果を評価し利用する機能

・自ら目標を設定し、目標設定のための計画を立案し、これを効率的に実行し、行動を評価し修正する能力。

また、遂行機能の障害というには他に条件もあるようです。

この論文にはこのように記載されています。

行動の開始困難や自発性の減退,認知 ないしは行動の転換障害,すなわち保続固執 行動の維持困難や行為の中断,行為の中止困難, 衝動性や脱抑制,誤りの修正障害などによって引き起こされるが,遂行機能そのものの障害というためには,注意やエピソード記憶,空間認知,知能などの基盤となる認知機能が保たれていることが重要である。 

前島 伸一郎ら  前頭葉損傷による高次脳機能障害のみかた から引用

【ワーキングメモリー

複雑な認知を必要とする行動を起こすための一次的な記憶の保持

例)電話番号や重要な内容などを聞いた後、メモに写すまで暗記しておく

【展望記憶】

上で簡単に説明しているので割愛します!

【注意障害】

注意障害はその他の部位への障害でも出現します!注意障害には何種類かありますのでこれはまた今度勉強しましょう!

たくさん書きましたが、難しいよ~、、、って方はまず

    外側部は遂行機能に関わっている!

これだけは覚えていってください!

内側部では発動性が低下する!?

内側部をブロードマンの地図に当てはめるとここになります!

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前部帯状回を含む24, 25, 32  

上の領域が障害されると、自身で意思決定ができなくなり,目先の報酬に引きずられてしまうようになります。

また、発動性の低下がみられ,何ごとに対しても無気力・無関心となることがあります。

機序としては、、、

外側部で意思決定がなされ、そこから発せられた命令は,前部帯状回を通って運動反応やそのための準備が行われると考えられています。

そのため、障害された場合はこの経路がうまくいかないため、発動性の低下が出現するようです。

ちなみに、文献によると内側部は背側部と吻腹部の2つの領域に別れていて、機能も少し違うようですが、今回は書きませんので、気になった方は調べてみてください。

腹側部(眼窩部)では脱抑制が起きる!!

腹側部をブロードマンの地図で当てはめるとここになります!

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11, 13, 14 野が該当します! 

脱抑制が起きると、思ったことをそのまま言動にうつしたり、怒りやすかったり、泣きやすかったりするようになります。それによって、学校や職場などの集団の中で適応しながら生活を送ることが難しくなります。

その根本的な原因としては、、、

この障害は,自分の言動を相手がどう思う かを理解できない問題と衝動コントロールの問題 が複合的に関与している。

前島ら  前頭葉損傷による高次脳機能障害のみかた から引用

と言われています。

まとめ

いかがだったでしょうか?

本日は前頭連合野について勉強してみました。

簡単にまとめると、、、

  • 前頭連合野には大きく分けて3つの機能がある
  • 外側部が障害された場合は遂行機能障害がでやすい
  • 内側部が障害された場合は発動性低下がでやすい
  • 腹側部(眼窩部)が障害された場合は脱抑制がでやすい

高次脳機能障害は非常に複雑で勉強するのも大変だと思いますが、ともに頑張りましょう!

では、また!!!

勉強になった方はシェアしてくれたら嬉しいです!

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