
はじめに
こんばんわ!ゆうだいです!!
今日は被殻について学びましょう。
皆さんは被殻についてどれだけ知っていますか?
今日は被殻について基本的なことや実習、臨床場面で役立つ知識を学んでいきましょう。
被殻は脳のどの辺りにあるの?
大脳基底核とは被殻をはじめ、尾状核や淡蒼球、視床下核、黒質で構成されています。
脳画像だと、こんな感じ

被殻はだいたい赤線の範囲内にあります。その内側は淡蒼球でこの2つを合わせてレンズ核と呼んでいます。
被殻にはどの血管が栄養を送っているの?
被殻を栄養する血管はレンズ核線条体動脈(中大脳動脈)です。最外側枝はCharcotの脳卒中動脈と呼ばれ、外側型の被殻出血の出血源にもなります。被殻出血は脳出血の中でも最も多く割合を占めています。
【タイプ別】被殻が障害されるとどんな症状が起きる??
Chung らは血管支配をもとに被殻出血を6タイプに分類しました。
タイプ別に出現する可能性が高い症状がなんなのか勉強してみましょう。
前方に広がるタイプ(Heubner’s 動脈領域)
前方へ血腫が広がった場合、損傷部位は
②内包前脚(前視床放線や前頭橋路)
さらに広がると。。。
主にこれらの部位に及びます。
症状としては、
- 注意機能障害
- 認知機能障害
- 遂行機能障害
- 運動麻痺(上肢優位)
この4つになります。
上の3つに関しては尾状核が認知情報処理を統合する役割を果たしていたり、前視床放線、前頭橋路が前頭葉との連絡繊維を持っているためです。
運動麻痺については皮質脊髄路の通り道について学んでいただければわかると思いますのでここでは書きません。
中間タイプ(内側レンズ核線状体動脈領域、淡蒼球と被殻に限局するタイプ)
いわゆるレンズ核と呼ばれる領域です。
大脳基底核ループを形成します。
大脳の多くの領域から基底核へと様々な連絡繊維が投射されます。
その中で、
淡蒼球に関しては認知ループや辺縁系ループにも関わってきます。
そのため、レンズ核が障害されると
パーキンソン病で馴染み深いこの症状が出現する可能性があります。
錐体外路症状について詳細は書きませんが、不随意運動や無動などの症状が出現します。
後内側タイプ(前脈絡叢動脈領域)
後内側タイプは主に内包後脚を障害します。
小脳における屈筋への出力を調整していると言われています。
しかし、ヒトにおいてはかなり退化していると指摘されているため頭の片隅にでも置いておいてください。
つまり、このタイプの場合、、、
運動麻痺
が出現すると考えておきましょう。どこに麻痺が出やすいかは皮質脊髄路について調べれば、簡単に学べますので後ほど調べてみてください。
後外側タイプ(外側レンズ核線状体動脈の後内側枝領域)
後外側タイプは主に内包後脚の後半を障害します。
皮質脊髄路、特に下肢の神経繊維は後脚の後半から最も近い箇所を通るため、
下肢優位の運動麻痺
が出現する可能性があります。
外側タイプ(外側レンズ核線状体動脈の最外側枝領域)
このタイプは外包と島の間の白質を中心に障害します。
上の後外側タイプと合わせて、被殻出血の60%台を占めていると言われていますが、
このタイプの場合は、出血量にもよりますが
失語症状が出現する可能性があります。圧迫しているだけであれば血腫の吸収に伴って、改善してくる可能性が高いです。
外側タイプと後外側タイプは血腫の進展にもよりますが、
比較的、歩行予後は良いといわれているようです。
あとは、実際の脳画像をみて、血腫の進展で判断していきましょう。
最後のタイプは大出血タイプ(尾状核と内包後脚は残存)ですが、他のタイプで説明している症状が重複しますので省略します。
被殻出血の予後予測について
最後は、予後予測について勉強しましょう。
以下は
酒向らの
回復期機能予後からみた被殻出血 314 例の急性期治療方針の検討
から引用しています。
出血量別の予後予測
退院時の BI,運動 FIM,認知 FIM,合計 FIM, 歩行自立度は血腫量別に有意差を認め,血腫量が少量 ほど良好であった.
- 20ml未満:約80%は介助なしでの歩行が可能。そのうち半数は屋外歩行可能。
- 20~39ml:約70%は介助なしでの歩行が可能。3分の1は屋外歩行可能。
- 40~59ml:約50%は介助なしでの歩行が可能。3分の一は屋外歩行可能。
- 60~79ml:約50%は介助なしでの歩行が可能。屋外歩行はその中で1割程度。
- 80ml以上:20~30%は介助なしでの歩行が可能。約半数は介助歩行止まり。
年齢や高次脳機能、既往歴なども関わってきますので、確実にとはいきませんが、出血が80ml未満であれば50%以上の確率で歩行獲得を目指せるようです。
より正確に予測するには高次脳機能などについてもしっかり学んでおく必要がありそうです。
年齢別の予後予測
退院時のBI,運動FIM,認知FIM,合計FIM, 歩行自立度は年齢別に有意差を認め,若年ほど良好であった.
- 70歳未満:70~80%は歩行自立。10%程度は介助歩行
- 70~79歳:40%程度は歩行自立となるが、屋外歩行可能は全体の5%程度。
- 80歳以上:半数は歩行困難。20%程度は歩行可能となる。30%は介助歩行。
歩行獲得に関しては年齢もかなり影響してくるようです。
ただ、臨床の場では年齢という数値だけで測れないことがよくあります。より正確に予後を予測するには患者本人やご家族からその方の生活背景や運動歴などの情報を聴取し、総合的に判断していくことが必要だと考えています。
年齢と出血量を揃えた治療方法別の予後予測
血腫量が 60 ml 以上では,手術治療群,特に,定位的血腫除去術で歩行自立が可能 となる症例を認めた.70 歳以上では,治療方法によらず不良な傾向を認め,70~79 歳では 40 ml 以上,80 歳以上では 20 ml 以上で歩行自立が困難であった.
これはつまり、血腫量が60ml以上の出血でも若齢で、手術を施行された場合は歩行自立となる可能性があると予測を立て、早期から起立練習や歩行練習などを開始してもいいのかもしれません。
CT分類別の予後予測
退院時のBI運動FIM,認知FIM,合計FIM,歩行自立度は脳室穿破を伴わない type aが脳室穿破を伴うtype b より有意に良好であった.
type III,IV,V 間で有意差を認め,typeが下がるほど良好であった.
- Ⅲa:80%が歩行自立
- Ⅲb:50~60%は歩行自立
- Ⅳa:70%が歩行自立
- Ⅳb:歩行自立は40%まで低下
- Va:60%が歩行自立
- Ⅴb:歩行自立は30%まで低下
脳室穿破している場合とそうでない場合とではここまで変わってくるんですね。
損傷側別
退院時の認知FIMのみが,右脳で有意に良好であり,他の評価では有意差を認めなかった.
左側では言語機能や書字、計算の障害が出現するので、このような結果となったのだと思います。
しかし、歩行などの運動機能に差はでなかったようですね。
僕の考えとしては、右側ではPusher現象や半側空間無視などの運動療法を阻害する高次脳障害が出現しやすく、また重症化しやすいと言われているので、急性期における積極的な介入には難渋しやすいです。なので、運動機能などにも影響してくると考えていたんですが、この研究だけでは分からなかったので他の文献なども読み漁ろうと思います。笑
まとめ
今回も、閲覧しにきていただきありがとうございました!
本日のまとめです!
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