脳卒中患者における急性期のリスク管理

今回は急性期における脳卒中患者の離床の際のリスク管理について書いていこうと思います。

 はじめに

離床についての文献を調べた方なら知ってると思いますが、発症後早期に離床をする事でその後のADLをより高めることが言われています。

ですが、発症早期の離床にはリスクも付きまといます。

そのため脳卒中発症後に脳にはどうゆう影響があり、疾患ごとにどのようなリスクがあるのかを知っておかなければいけません。

それでは勉強していきましょう!

脳卒中発症後に起こる脳への影響

自動調節能が破綻する

脳は体循環が変動しても脳血流を一定に保つ機能を保有しており、脳灌流圧の上昇下降に合わせて血管を収縮させたり拡張させて脳血流量を調整します。

この自動調整能は高血圧や動脈硬化により調節できる血圧の下限値が上がります。(例:下限値60mmHg→100mmHg)

つまり、通常では問題のない血圧低下でもこのような場合には脳虚血が生じる場合があります。

脳卒中の急性期には血管の運動麻痺が生じ病変周辺を含め脳血流の自動調節能が喪失した状態になります。

自動調節能が喪失した状態では血圧の増減がそのまま脳血流に反映されます。

脳循環予備能の低下

主幹動脈の狭窄・閉塞によってその領域の灌流圧は低下しますが、一定の限界値までは代償的に血管を拡張させるなどで脳血流の低下を補います。これを脳循環予備能と言います。

さらにこの限界値から下回ることで脳血流が減少すると言われていますが

この脳循環予備能の低下というのは血管がどのような状況を指すのでしょうか。

簡単にいうと

血管が虚血状態ですでに拡張している場合です。

脳循環予備能の評価には脳血流SPECTを用います

血管拡張剤を使用して負荷をかけた状態で脳血流が増加しているかそうでないかを画像で評価することができます。

虚血性ペナンブラ

脳梗塞の急性期において梗塞巣の周囲に血流が維持され、脳組織が壊死にまで至っていない領域があります。

それをペナンブラと言います。

この領域に早期の再灌流が起こることで梗塞巣となるのが防がれますが、

再灌流が起きなければ最終的には梗塞してしまいます。

脳梗塞急性期における理学療法の介入においてはこの再灌流を阻害しないように介入しなければいけません。

離床時のリスク(疾患別)

アテローム血栓脳梗塞

アテローム血栓脳梗塞の種類に関しては別の記事に詳しく書いていますのでもしよければご覧ください!

アテローム血栓脳梗塞で注意していきたい点としては

上で説明している虚血性ペナンブラです。

アテローム脳梗塞は徐々に血管が狭窄し、進行すると閉塞され脳梗塞に至ります。

狭窄している期間が長い場合、

慢性的に脳血流が低下し、脳循環予備能が低下しているため

ペナンブラ領域が梗塞化しやすく、BADや血行力学性脳梗塞など急性期に進行しやすい病型もあるため脳灌流圧低下の影響を受けやすいです。

そのためこまめな血圧管理が重要になってきます。

また、

内頚動脈を狭窄しているプラークが破綻して

末梢の脳血管を閉塞させる動脈原性塞栓症の場合には

頚動脈にプラークが残っていないか、可動性があるのかないかなどを

頚動脈エコーで評価してから離床する必要があります。

心原性脳塞栓症

不整脈などで左心房・左心室に形成された血栓が脳動脈に飛散し血管を塞栓することで完成します。

アテローム血栓脳梗塞と違い、その発症は突発的に起こり短時間で梗塞が完成します。

また、側副血行路が形成されていないため梗塞巣が広く重症化しやすいと言われています。

リスクについてですが

治療により再開通を果たした血管が閉塞により脆弱になっているため出血性脳梗塞を引き起こす可能性があります。

出血性梗塞はその他の梗塞にも起こりうると言われていますが、特に心原性能塞栓症に多く認められます。

対策としては出血性梗塞は脳梗塞発症から数日後以内に出現しやすいため、脳画像や神経症状をみながら経過を追っていく必要があります。

また、万が一出血性脳梗塞が発症した場合は安静度や血圧の上限を医師と相談する必要があります。

もう一つは塞栓症の原因となった不整脈が存在している事です。

運動を行うことで不整脈が出現したり、頻脈になることもあるため介入中は心電図を使用して運動療法の適応があるか(例えば致死的不整脈がないか)などを見定める必要もあります。

また、不整脈に加えて片麻痺などの運動障害を伴っているため病前よりも心臓への負荷が増大することにもつながるため心不全の出現(体重の増加、浮腫など)にも注意していく必要があります。

ラクナ梗塞・脳出血

出血と梗塞ではありますが、この二つは危険因子である高血圧と責任病巣である穿通枝が同様ですので病態としてはどちらも似たようなものとなります。

ラクナ梗塞に対する抗血小板薬と脳出血に対する降圧剤はその他の穿通枝を閉塞、破綻させる危険性があり、病巣が安定していたとしても過度な血圧の変動を起こさないような介入をしていく必要があります。

また、頭蓋内圧の亢進や自動調節能の破綻は双方とも認めるため、たとえ脳出血であっても虚血にたいするリスク管理は必要になってきます。

くも膜下出血

発症後4〜14日に出現する脳血管攣縮(スパズム)の管理が重要になります。

脳血管攣縮とは脳の血管(主幹動脈や穿通枝)がびまん性または局所的に細くなり、脳虚血症状が出現します。最悪の場合だと脳梗塞となり、その領域に該当する神経症状が出現します。

そのため、上記の期間にはより厳密な血圧管理が必要です。

詳細はまた後日くも膜下出血単体で勉強した際に書こうと思います。

自律神経障害

急性期においては自律神経系の過剰反応やカテコールアミン濃度の上昇などで自律神経のバランスが崩れやすいです。

自律神経障害に伴う症状は

過度な血圧変動、不整脈、頻脈、異常な発汗、発熱があります。

広範な脳損傷や、脊髄損傷、糖尿病のコントロール不良例の場合には上記の症状が現れやすく、起立性低血圧を引き起こしやすく

また、交感神経と副交感神経の切り替わりも過剰になるため迷走神経反射が起こりやすいです。

そのため練習中や終了後に急激な血圧低下を伴い、意識レベルが低下することが考えられます。

起立性低血圧と迷走神経反射の判断についてはまた後日勉強していきたいと思います。

終わりに

いかがだったでしょうか

今回は急性期での離床についての勉強をしました。内容が長かったため一つ一つの内容の詳細はまだ後日勉強して記載していく予定ですのでまたみにきていただけたら幸いです。

勉強になった方はシェアしてくれたら嬉しいです!

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