頚動脈内膜剥離術(CEA)実施後のリハビリ介入について

こんばんわゆうだいです。

今回は頚動脈内膜剥離術と理学療法介入に必要な知識ついて勉強しましょう。

 頸動脈狭窄症について

頚動脈症と脳梗塞の関係

アテローム脳梗塞の記事にも記載しましたが、血管壁が傷つきそこに血小板が凝集することでアテロームが形成されます。その好発部位の一つに内頚動脈があります。

無症候性の場合もありますが、このアテロームから出現した血栓が閉塞したり、千切れて飛散して末梢血管で閉塞することで脳梗塞が完成します。

また、一過性に症状が消失するTIA(一過性脳虚血発作)が出現することもあります。

脳卒中ガイドライン 2015には70%以上の狭窄の場合は内科的な治療に加えてCEA(頚動脈内膜剥離術)の施行を強く勧められています。

もう少し詳しく知りたい方は検索して調べてみてください!

頚動脈狭窄症の診断

頚動脈狭窄症の診断にはMRA、3DCTA、CT灌流画像(CT Perfusion)、MRI灌流画像、超音波などを使用します。

その種類と用途は以下に記載しました。

MRA→狭窄部位の同定、狭窄率、プラーク評価、不安定性プラークの有無

3DCTA→頚動脈の全体像や石灰化の程度、潰瘍形成を評価

CT・MRI灌流画像→脳血流の程度

超音波→プラークの輝度や性状、可動性の有無

全て大切な評価ではありますが、CTやMRI灌流画像に関しては下記の合併症についても関係してきますので気になる方は合併症についても見ていってください。

合併症について

次は術後に出現する可能性のある合併症について説明します。

過灌流症候群

術後の重要な合併症である過灌流症候群。

臨床現場では“Luxury-perfusion”とカルテ上で記載されていることもあります。

簡単にどんな病態なのか説明すると、今までプラークによって遮断されていた血流が術後に遮断される前の状態に戻ったはいいが、少ない血流で慣れていた血管の許容を超えるほどの血流が注ぎ込まれてしまっている状態です。

過灌流症候群と定義されるには

  1. 術前の2倍以上の血流増加を認める場合
  2. 頭痛や痙攣、脳出血などの症状を伴っている場合

以上の2点になります。

発生する時期は術後数日と言われているようです。

脳梗塞

脳梗塞は術中の操作で動脈を遮断したり解放したりした際に血栓やアテローム片が生じる事があります。

この際、これらは内頚動脈から生じたもののため前大動脈領域、中大脳動脈領域の両方の領域に飛散する可能性があります。

下位脳神経麻痺

これは内頚動脈の周囲に舌下神経や大耳介神経、迷走神経の3つが走行している為、手術侵襲により神経の損傷が発生すると。。。

  • 舌下神経→構音障害
  • 大耳介神経→耳の後側の感覚障害
  • 迷走神経→嗄声、嚥下障害

これらの症状となって出現します。

言語聴覚士の処方が出ていない状態で、構音障害などが出現していることを発見した際にはリハ医に相談する必要があるかもしれません。

介入中の注意点

最後に理学療法士として介入するに際して注意しておいたほうが良いことについて記載します。

創部管理

運動療法上は特に禁忌はありませんが急激な頸部の回旋動作は行わないようにしましょう。

血圧管理

合併症の項目で説明した“過灌流症候群”の予防が最優先となります。

一般的に周術期での血圧管理は収縮期血圧が140mmHg以下になるようにと言われています。

リスクが高い症例に対しては120mmHg未満となることもあります。

また、反対側の内頚動脈やその他の血管に有意狭窄がある場合。

この場合、降圧も必要ですが降圧し過ぎてしまうと、血行力学性脳梗塞TIAなどが出現してしまうこともあります。

このような場合、医師の方から収縮期血圧の下限値も指示されている場合もありますが、されていないような場合には介入前に担当医やリハ医に相談する必要がありそうです。

また、なかなか血圧のコントロールがされず離床開始できない場合にも状況をみながら相談していく必要があります。

その他

頭痛や痙攣、神経症状の有無など毎回評価する必要があります。

また、認知機能障害が出現していないかなども合わせて評価し他職種と連携を図っていく必要もありそうです。

 終わりに

今回は内頚動脈狭窄症に対するCEA実施後の介入について勉強しました。

いかがだったでしょうか。

少しでも皆さんの勉強に役立てられたら幸いです。

勉強になった方はシェアしてくれたら嬉しいです!

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